蛍―03― 彼女は、私がいることを確認すると、軽やかな足取りでやって来た。 私は、まず先日の礼を言った。 「こんにちは、この間はありがとうございました。本当に助かりました。」 「今日は、もう登っていたのですね。先日は、無事に帰れましたか。」 「えゝ、お陰様で、迷わず駐車場に行くことができました。」 「そうですか、それは良かったです。」 「僕は、あなたに会いたかった。今日は、会えて良かったです。」 「私も、会えて嬉しいです。」 私はリュックからキャンディを取り出して、彼女にあげた。 「ありがとうございます。山で食べると、美味しいですね。」 しばらく休憩を兼ねてお喋りをしていた。家では一人なので、話し相手はいない。彼女と話をするのは楽しかった。 彼女は決して多弁ではなく、どっちかと言うと聞き上手だった。私が喋っていると、笑顔で私の目を見ながら話を聞いて、ときどき相槌を打っていた。 30分ほどして下山にかかった。山頂から半分ほど下りてきたところで、彼女と別れる。彼女は家の方に、私は駐車場に向かって行った。 その日から、2〜3日毎に彼女に会うことができた。私は、毎日のように山に登り、彼女が来るのを待っていた。 彼女は、月、水、金曜日に登って来ることが多かった。 彼女に会えた日は嬉しかった。とりとめのない話をしているだけなのだが、お喋りをしていることが楽しかったのである。 7月になり、森の新緑はいつしか深い緑になっていた。あちこちで蝉がせわしく鳴いて、余計に暑さを感じさせている。 その日も暑かった。山頂の日陰で彼女が来るのではないかと思って待っていた。しかし、月曜日なのに彼女は姿を見せなかった。私は、がっかりして下山にかかった。いつも彼女と別れるところに来たとき、ふと彼女が帰って行く道の方に行ってみた。かなり険しい道を下りて行くと、下の方からせせらぎの音が聞こえた。崖の下に川があり、その先から滝の音が聞こえている。川まで下りて行くと、滝が見えた。高さ5mほどの高さから、水が流れ落ちている。滝つぼには、豊かな水があり周囲は岩場と砂浜になっている。そこの岩場に衣類が置いてあった。 私は、おそるおそる滝つぼに近付いて行った。そこにいたのは、彼女だった。身体には何も身に付けずに、滝つぼの中で泳いでいた。 私は、岩陰でゴホンと咳払いをした。その音に気付いた彼女がこっちを振り向いた。 水から出てこっちにやって来た彼女は、私の姿を見ると、前を隠そうともせず、にっこりと微笑んだ。 彼女は、均整の取れた美しい体形をしていた。胸は豊かではないが、きれいな形をしていて、小さな乳首が私の目に眩しかった。 彼女が言った。 「今日は、暑いでしょう。それで山に行くのをやめて、ここで泳ぐことにしました。ここは私の秘密のプールです。一緒に泳ぎませんか。」 私は、すぐに衣類を脱いで、水に入ることにした。彼女が全裸なのだから、自分も下着まで脱いだ。 ―続く― |