赤い糸・白い糸−16−
敬一とさつきは、飲んで数曲踊ったところで店を出た。 店を出たところで、敬一が言った。 「今夜は、君と一緒に過ごしたい。」 さつきは、返事こそしなかったが、拒否している様子はなかった。 敬一はさつきの手を取るようにして道玄坂を登って行った。そこにはラブホテルがあった。二人は、身を抱き合うようにしてそのホテルに入った。 部屋に入ると、すぐに抱き合ってキスをした。それからは男と女の愉悦の時間が続く。 終った後で、さつきが言った。 「部長、素敵。私、初めて女の歓びを知りました。主人は、自分だけ終ったらそれでおしまいなのです。」 「僕だって、さつきさんが素敵だからこんなにできたのです。家じゃとてもこんなに元気になれない。」 そう言いながら、再びさつきに挑んで行った。 敬一とさつきは、それをきっかけに度々不倫のデートを重ねるようになった。二人は、秘密を守ることには細心の注意を払っていた。会社にばれても、家庭にばれても大変である。連絡には携帯のメールを使ったし、会社を出るときは別々で、会う場所も渋谷や新宿で会社からは遠く離れていた。 しかし秘密はどんなところから漏れるかわからない。あるときから、二人の関係が怪しいとの噂が立ち始めた。さつきが更衣室に入ろうとしたとき、他のOL達が話しているのを立ち聞きしたのである。同じ頃、敬一の家でも妻が言っていた。 「あなた、最近、帰りが遅いことが多いけど、まさか女でもできたんじゃないでしょうね。」 敬一は、その場は誤魔化したが、内心ドキンとしていた。 二人が、交際を止めようと相談したのは、そのあとのことである。お互い、家庭を壊したくないし、仕事も失いたくなかった。相談はまとまった。 その頃、雲の上の神様達は・・・・・
「あ〜、赤城さんが大変だ。結ばれている糸の方に行って、何やら縺れさせているよ。」 「いけない、酔っ払っている。早くとめなければ。」 見ていた神様たちは、赤城さんの方に走って行って抱きとめた。 「あ〜あ、こんなにしちゃって。こっちの結ばれた糸と、こっちの結ばれた糸が絡み合っているよ。これが、下界では三角関係、四角関係になっているんだ。しかも今回は既婚者同士だぜ。赤城さんにも困ったものだ。早く、寝室に連れて行きなよ。」 「ウィッ、俺は酔っ払っちゃいないよ。」 騒ぐ赤城さんを、みんなで担いで寝室に運んだ。 −続く− |