男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2026/05/05 4:32:51|小説「蛍」
蛍―08―

蛍―08―

 二人とも衣服を付けたまま草のベッドの中にいた。
 彼女は、私の腕枕に頭を載せていたが、山登りをし、洞窟の掃除や焚火の火をおこしたりして疲れているのだろう。しばらくすると軽い寝息をたて始めた。
 私の顔のすぐ傍に彼女の頭があった。髪の毛の匂いがした。
 私は、このとき初めて彼女に女を感じた。私は、彼女の背中に手を回して優しく撫でたが、彼女が目覚める様子はなかった。そうしているうちに、私も再び眠りに落ちていた。
 真夜中に目が覚めた。焚火が消えかけていた。私は、彼女を起こさないように気を付けながら起き上がって洞窟の中に集めてあった枯れ枝を持って来て焚火にくべた。すぐに火がついて炎が上がった。
 私は、焚火の傍に置いた丸太の椅子に座って炎を見ていた。思えば不思議な出会いである。山でいろいろな人に出会うことはあったが、こうまで彼女と親しくなるとは思わなかった。最初の下山で道に迷ったことが、知り合うきっかけだった。
 そんなことを考えているとき、彼女が起きて来て私の横に座った。
「起きたの?」
「えゝ、よく眠りました。」
彼女の、顔が火に照らされて、赤く輝いている。
「美紀さん、可愛い。」
 私は、そう言うと、彼女の背中に手を回して、頬にキスをした。彼女は、拒む様子はなかった。私は、勇気を得たように今度は唇にキスをした。彼女はそれにも応じた。
 しばらく焚火の傍にいたが、彼女の手を引いてベッドに行った。
 彼女を横にすると、覆いかぶさるようにしてキスをする。キスは次第に濃厚なものになって行った。私は、自分のものがいきり立っているのを覚えた。
 私は、彼女のシャツのボタンを外していった。彼女は、肌シャツは着ているものの、ブラジャーはしていなかった。私は、肌着の中に手を入れると、彼女の乳房に触れた。柔らかい感触が手に伝わって来る。指先が、彼女の乳首に触れた。小さな乳首である。
 今まで、彼女の裸は何回も見ていたが、触れたことはなかった。滝で泳いでいるときは、全く女性であることを意識しなかったのだが、今は違う。隣に横たわっている彼女は、私にとって完全な“女”だった。
 私は、キスを続けながら、乳房を撫で、乳首を指で摘まんだ。彼女は、切なそうに身体を捩っている。キスをしながら彼女の身体に愛撫を加えた後、ひとつになった。その間も、彼女は切なそうな表情を浮かべていた。
 終わった後で、私が聞いた。
「どうだった?これで良かったのかな。」
 彼女は、返事をすることなく私を抱き締めた。それから二人は、抱き合ったまま眠りに落ちた。
 夜が明けた。彼女は先に起きて、焚火に枯れ枝をくべていた。私は、彼女の後ろから近付いて、うなじにキスをした。彼女は、振り向いて私にキスを返した。
 私は川に釣りに行き、彼女は芋を焼いた。魚と焼き芋の朝食が終わると、二人は帰り支度をした。

           ―続く−








2026/05/04 4:15:16|小説「蛍」
蛍―07―
蛍―07―

 しばらくすると、魚が焼けるにおいがしてきた。食欲をそそる良いにおいである。
 焚火で焼いた山女は美味しかった。美紀も美味しそうに食べている。塩をかけただけなのだが、それ以上の調味料は必要がないと思った。
 魚を食べ終えると、周囲の草刈りや木の伐採をした。彼女は、草を束ねた箒で洞窟の中の掃除をしていた。
 隠れ家は、次第に人の棲み家らしくなっていった。板を持って行って簡単な棚も作ったし、塩や砂糖、醤油などの調味料も揃え、鍋などの食器も揃えた。   
 次第にできていく隠れ家を見るのは楽しみだった。彼女も、嬉しそうで、刈った草の片付けをしたり、広場や洞窟の掃除をしたりとまめまめしく働いていた。
 私が魚を釣り、彼女は家の畑で作ったと言うサツマイモや栗などを持って来て、一緒に洞窟のかまどで焼いて食べた。縄文時代とか弥生時代のような原始社会に近い過ごし方だったが、どっちも美味しくてとても幸せな時間だった。最近は、アウトドアのためのいろいろな道具を売っているが、私には何にも増して素晴らしいアウトドア生活のように思えた。
 お腹が満ちると眠くなった。山に登り、隠れ家の整備や釣りをして疲れたせいかも知れない。
 私は、洞窟の中に作った草のベッドに横になると、すぐに眠りに落ちたようだった。
 目が覚めた時、外は薄暗かった。洞窟の入り口から僅かな明かりが入って来てはいるものの、焚火が燃えている明かりの方が目についた。
 しばらくして、自分が洞窟にいることを思い出した。家に帰っても誰が待っているわけでもない。ここで一夜を過ごしても良いと思って、また横になった。
 そのとき、「目が覚めました?」と言う声がした。振り向くと美紀だった。
「まだいたの?」
「えゝ、あなたが気持ち良さそうに寝ているものですから。」
「こんなに暗くなって、帰れないだろうに。」
「はい、私も今晩はここに泊まります。」
「でも・・・・・」
「いけません?」
「そんなことはないけど・・・」
「じゃあ、いいのですね。」
「うん・・・」
 ベッドは、杭と竹で囲んで草を敷いただけの簡単なものだったが、広さは十分にある。彼女は、ベッドに入ると、私の隣に横になった。
           ―続く―







2026/05/03 2:00:44|小説「蛍」
蛍―06―

蛍―06―

 二人は、全裸のまま岩に座ってお握りを頬張った。山を歩き、泳いだ後のお握りも美味しかった。
 美味しそうにお握りを食べている彼女は、天真爛漫そのものだった。決して自分を飾ろうとはせず、振る舞いが自然そのものなのである。そんな彼女に、私は、色情を覚えることがなかった。全裸の女性を前にして、こんなことは今までになかったことである。それも彼女の、性格から来るものだろうと思った。
 30分ほどして、再び彼女が水に入って泳ぎ始めた。私も、彼女の後ろを泳いだ。
 夏とはいえ、山に囲まれた谷あいの滝の場所は日暮れが早い。3時には、陽が陰り始めた。私達は、水から出て衣服を身に着けると、帰ることにした。
 帰りの車の中で、私は彼女のことを思い出しては、一人で笑顔になっていた。しかし、家に帰って一人で飲んでいると、寂寥感に襲われた。昼間あったことと、今の自分が置かれた立場のギャップが大きすぎるのである。
 すっかり恒例になった山に登ってから彼女と滝に泳ぎに行く日が待ち遠しかった。約束の日に雨になったりすると、その日は憂鬱だった。
 9月に入ると、山は次第に秋らしくなり、さすがに泳ぐには寒い。
 滝から30メートルほど離れた茂みに、岩の洞窟のようなものが見えた。草や灌木に覆われていて、かき分けながら行ってみると、案の定そこに洞窟があった。
 入り口は狭いが中は広くなっており、深さが10mほどで天井も高かった。洞窟の前の広場は10m四方ほどあった。私は、洞窟を二人の隠れ家にしたいと思った。
 次に山に行ったとき、そのことを彼女に提案すると、彼女はすぐに賛同してくれた。
 次の日は彼女が来ない日であったが、私は持って行った鎌や携帯用ののこぎりを取り出して広場の草刈りを始めた。まずは、通路の確保である。滝つぼから洞窟までの草刈りに3時間を要した。
 その日から、私は毎日のように洞窟に行って、広場やその周囲の木を伐ったり、洞窟の中の掃除をした。
 洞窟の中には切った木と竹で囲いを作り、その中に草を入れてベッドを作った。また川で拾った石で簡単なかまども作った。
 石を拾いに川に行ったとき、山女が泳いでいることに気が付いた。次の日、私は、簡単な釣り道具を買って来て、釣ってみた。餌は、石の下にいる川虫である。人が来ることもないので、警戒心も薄いのだろう、魚はよく釣れた。竹串に刺して焼いてみたが、美味しかった。次に彼女が来たときに食べさせたいと思った。
 彼女と山で出会ったのは、1週間後だった。私は、彼女を洞窟に連れて行った。洞窟の様子を見た彼女が言った。
「まあ、きれいになりましたねえ。素敵です。」
そう言いながら、洞窟の周囲や中を見ていた。
「川に山女がいるよ。釣って来るから、火をおこしてくれない?」
 そう言うと、私は川に下りて行った。30分ほどで6尾の山女が釣れた。洞窟に戻ると、彼女が火をおこしていた。
 私は、山女を竹串に刺すと、塩を振って火の傍に立てた。
           ―続く―








2026/05/02 5:07:09|小説「蛍」
蛍―05―
蛍―05―

 その日も良い天気だった、私はコンビニでお握りやお茶、おやつなどを買って、リュックに詰め込むと山に向かった。山に登る途中では、蝉が賑やかに鳴いている。
 1時間半ほどで山頂に着いた。時間を約束していたわけではないので、彼女いつ来るかはわからない。私は、木陰の岩の上で、持って行った本を広げて待った。
 1時間ほど待ったところで彼女がやって来た。この日、彼女はライトブルーのシャツを着ていた。この季節は虫が多いので半袖は避けている。
「こんにちは。今日は、お揃いになりましたね。」
 私も同じ色のシャツを着ていたのである。
「三嶋さんが、この色のシャツを着ていたので、買って来ました。」
「早速ですが、昼食にしませんか。」
 彼女を私の隣に座らせ、そう言ってリュックからお握りを取り出すと、彼女もリュックから包みを取り出した。やはりお握りだった。沢庵や卵焼きが添えてあった。
「アハハッ、ここでも意見が合いましたね。」
 私達は、先に彼女が作って来たお握りから先に食べることにした。
 山で食べる食事は美味しかった。ましてや彼女と一緒に食べる味は格別である。
 いつもは家で、一人で食べている。たまにはステーキや刺身など贅沢なものを買って来ることもあったが、山の上で彼女と食べるお握りの味にはとても及ばないと思う。
 1時間ほどお喋りをしながらの食事を終えたところで、私が言った。
「この間のところに泳ぎに行きましょうか。」
「いいですね。暑いですものね。」
 話が決まると、急いで下山の準備をした。谷あいにある滝は、陽が沈むのが早いので、陽が照っているうちに行きたかったのである。下りるとき彼女も思いは同じようで速足だったし、私も必死で後に着いて行った。
 急いで下りたせいで、40分ほどで滝に着いた。
 早速、二人は衣類を脱いだ。彼女は恥ずかしがる様子もなく滝の方を見ながら衣類を脱いでいった。私も、彼女に引かれるように来ているものを脱いだ。
 裸になった彼女は、勢いよく水に飛び込んだ。私も、彼女の後ろから水に飛び込むと、彼女の後ろを追うように泳いだ。
 相変わらず彼女は泳ぎが上手で、私は必死に後をついて行った。同じところをグルグル回るだけなので、いつしか彼女が私の後ろに来ていた。
 30分ほど泳いだところで、私が先に水から出てリュックから自分が持ってきたお握りとお茶を取り出して彼女を呼んだ。
「ねえ、おやつの時間にしましょう。」
 彼女は、前を隠すでもなく水から上がると私のところに歩いて来て横に座った。
           ―続く―







2026/05/01 4:51:12|小説「蛍」
蛍―04―
蛍―04―

 私は、水に入った。これまで散々汗をかいていたので、水の冷たさが心地良かった。
 滝つぼは、広く深かった。直径が10mほどの広さで、深いところでは私の胸ほどの高さがある。彼女はその中をぐるぐる回りながら泳ぎ、私も彼女の後ろから泳いだ。
 30分ほど泳いでから、私達は裸のまま岩に座った。私は息を切らしていたが、彼女は平然としていた。彼女の裸身が、太陽に光に眩しかった。
 私が、「山野さんは、随分泳ぎが上手ですね。」と感心するように言うと、彼女は「わたし、子供の頃から夏は川で泳いでいました。」と言った。きっと子供の頃から、自然の中で育って来たのだろう。
 周囲は、深い緑で覆われていて、滝の落ちる音だけが聞こえている。そのとき、何かが叫ぶような音が聞こえた。私が、驚いて振り向くと、彼女が言った。
「猿です。この辺には何頭かいますが、人を襲ったりはしませんから大丈夫です。」
「この辺には、猿がいるのですか。」
「えゝ、いろいろな動物がいます。猿の他にイノシシもいますし、キツネやタヌキもいます。みんな悪戯はしますが、人間を襲ったりはしません。彼等は、ある意味で森の仲間なのです。」
「そうですか、山野さんは怖くはないのですね。」
「そうですね、山の中で暮らしているとみんな友達のようなものです。」
 彼女は、やゝ自嘲気味にそう言うと、また水に入った。私も、後を追うように彼女の後に続いた。
 その後、30分ほど泳いでは休み、30分ほど泳いでは休んだ。夏とはいえ谷あいの森の日暮れは早い。3時になると、すっかり陽が陰る。
 彼女が衣類を身に着けるときの様子は、いかにも純真そのものだった。私が目をやっても、恥ずかしがるような様子はない。私の方を見て、微笑んでいた。
 私達は、服を着終えると滝を後にした。
先に歩いている彼女が、分かれ道に来たときに言った。
「ここから一旦山の方に戻るのは大変でしょう。こっちの道を行けば、平坦な道を通って駐車場に行けます。」
そう言うと先に歩き始めた。私は、彼女の後ろを一緒に下りて行った。分かれ道に来たとき、彼女が言った。
「私はここで失礼しますが、こっちに行けば駐車場に行きます。ちょっと距離はありますが、一本道ですから間違えることはないと思います。」
「今日はありがとう。とても楽しかったです。また一緒に泳ぎたいですね。」
 私はそう言うと、彼女の肩に手を載せて身体を引き寄せ、唇に軽いキスをした。
 彼女はちょっと驚いた様子だったが、すぐに私のキスに応じた。それは唇と唇が触れるだけの軽いものだったが、私の胸は高鳴っていた。
 私達は、2日後に会うことを約束してそれぞれの道を歩いて行った。
           ―続く―