人妻−14−
月曜日に、出社するとすぐに洋子がコーヒーを淹れてくれた。普段と変わらない態度だった。金曜日のことなど、まるでなかったようである。それを見て、私は安心した。 社内不倫は、タブーだった。ましてやそれが上司と部下など、社内で噂にでもなれば今の地位だって危なくなる。そのことは、洋子も十分承知のことだった。 社外の不倫は、トラブルが無ければ問題はないが、新聞や週刊誌ネタにでもなれば、会社も放っておけない。 私は、先日洋子が言った社内恋愛をする者がいるということを思い出し、そういう目で人を見るようになった。お互いが独身であれば問題はないが、不倫となると問題になる。人事の耳に入れば、放ってはおかないだろう。 私は、第2課長の武田の素振りがおかしいのに気が付いた。彼は、仕事ができるので私が抜擢した男だったが、部下の女性社員といかにも親しげにしていた。時たま、目配せをしたりしている。私が気付くくらいだから、女性社員の間では気付いている者がいると思われる。 ある日、打ち合わせを理由に彼を呼び出して一緒に飲みに行った。そこで単刀直入に切り出した。 「こんなことを言うのも気が引けるのだが、君と吉永君が親しげにしているのをよく見掛ける。周囲の目もあるし行動に気を付けてくれないか。」 彼は、素直に頷いた。 「申し訳ありません。以後気付けます。」 「君の行動にとやかく言うつもりないが、君の経歴に傷がついてもいけないからね。さあ、飲もう。今日は、それだけが言いたかったんだ。」 吉永は、「ありがとうございました。」と言って、私のグラスにビールを注いだ。 私と祥は、毎朝の通勤で一緒になった。満員電車の中で、抱き合うようにして、お互いの耳元で囁き合う。 「また逢いたいね。」 「えゝ、私も。」 「今日はどう?」 「すみません。今日は、会議があります。」 「そうか、それは残念だ。僕は、こんなに元気なのに。」 私がそう言うと、彼女は私の股間に手をやって言った。 「まあ、可哀そうに。私のおっぱいも寂しがっていますわ。」 「早く、二人を逢わせてやりたいね。」 「本当に、そうですね」 そんな会話を交わしているだけで、二人は十分に快感を楽しんでいた。 結局、二人の都合が合ったのは、次の火曜日だった。二人は、朝の電車の中でお互いの予定を確かめ合った。 「今日は大丈夫だね。」 「えゝ、何としても都合をつけますわ。あなたこそ、大丈夫?」 「あゝ、僕も何としても都合をつけるよ。」 そう言うと、人が見ていないことを確認して、祥の額にキスをした。 ―続く− |