人妻−24−
この日の夕食も美味しかった。下関から取り寄せたと言うフグ三昧の食事だった。祥も私も、刺身に、鍋に舌鼓を打った。酒も進んだ。 部屋に戻ると、すぐに祥を抱き寄せ、布団に横たえた。今日が、二人が一緒にいられる最後の夜で明日は祥を送って行かなければならない。その思いが、二人を情熱的にした。 長い抱擁と熱いキスが続く。私は、祥の浴衣を脱がせながら、全身に愛撫を加えて行った。耳たぶを咬み、うなじにキスをする。時間を掛けながら、徐々に唇を下の方に移動させ、まだ小さい乳首を口に含んで、舌で転がすようにした。祥の口から、歓びの声が漏れる。その声に、私の物も奮い立った。私は、堪え切れずに祥とひとつになった。私は激しく動き、祥は私の背中に回した手に力を入れていた。これまでに祥とは何回も身体を交えていたが、もっとも情熱的な行動のように思えた。 長い情熱的な愛の時間が過ぎて行き、終わった後、二人は深い眠りに落ちていた。 翌朝目が覚めたときは、夏の早い陽が既に窓のカーテンを明るくしていた。 私の腕を枕にしていた祥が言った。 「もう行かなくてはいけないのね。」 「寂しいねえ。でも、また逢えるよね。」 「そうしたいけど、なかなかねえ。あなたは、転勤でまた東京に帰って来られるの?」 「う〜ん、こればっかりは何とも言えないけど、前例だと3、4年で帰っているみたいなんだ。」 「そんなに待つと、私、おばあちゃんになっちゃうわね。」 「そんなことはないよ。君は、十分に美しい。」 そう言うと、私は覆いかぶさるようにして祥にキスをし、朝の食事前、二人はしばし愛の時間を過ごした。 いよいよ出発である。旅館のチェックアウトを済ませると、祥を博多まで送って行くために車に乗り込んだ。 別れは、寂しいものである。次にいつ逢えるかはわからない。祥がそう何度も九州に出て来ることはできないだろうし、私が東京の本社に出張で帰ることはあるだろうが、その時はおそらく自由になる時間はないだろう。 私は、祥の膝に手を置いたまま、無言で車を走らせていた。 博多駅で彼女を見送ると、無性に寂しくなった。まるで人生の目標を失ったような空虚な感じだった。 それでも、社宅に帰ってからの彼女とのメール交換だけが楽しみだった。 ―続く− |