人妻−29− 洋子と逢った次の日、私は週末の日課のようにしている公園の散歩に出た。歩いて30分ほどだし、公園は広いので、日頃ほとんど歩くことが無い私にとって良い運動になる。 公園には、家族連れや恋人らしいカップル、一人者など、たくさんの人が来ていた。 しばらくすると、一組のカップルがすぐ目の前を歩いているのが目に入った。何となく見たことがあるよう気がしてよく見ると、女は洋子だった。男は、後ろ姿で確認はできなかったが彼女の夫だろう。彼女は夫の肩に頭を寄せるようにして歩いている。それは、いかにも仲の良い夫婦だった。 私は、彼等に気付かれないよう、そっとその場を離れた。 私と逢っているときの彼女からは考えられない姿だった。今日の彼女と、私と逢っているときの彼女は、どっちが本当なのだろうかと疑った。 どっちも本当なのかも知れない。家庭生活では良い夫で、夜の生活以外は満足していることも考えられる。いずれにしても、私は複雑な気持ちだった。 月曜日、電車で一緒になったとき、洋子はいつものように明るい笑顔で挨拶をした。私は、公園で見掛けたことを話そうかと思ったが、話してどうなるものでもないので止めて、月並みな会話を交わしていた。 しばらくしたとき、私はある会社との過去の契約資料が見たくなり、地下の資料庫に行こうとした。私の動きに気付いた洋子が、どこに行くのかと聞くので、「資料庫に行く」と言うと、「お手伝いします。」と言った。 資料庫は、古い資料がスチール製の棚に山積みにされていて、探すのが大変だった。洋子は、昔、資料整理をしていたことがあるので、ある程度詳しいはずである。 私が、契約年度と契約相手方の名前を言うと、彼女は手際よく探し始めた。そして30分もしないうちに、目的の資料を探し出した。 「常務、これでよろしいでしょうか。」 「うん、これだ、これだ。これを探していたんだ。僕一人じゃ、とても見付からなかったよ。ありがとう。」 「じゃあ、ご褒美にキスして下さい。」 「・・・・・」 「ネッ、いいでしょう。」 そう言うと、彼女は抱き着いてキスをせがんだ。私は、彼女を抱き寄せて唇を合わせた。 社内でのキスは、異様な興奮を呼び起こした。私は、思わずブラウスの上から彼女の胸を撫で、彼女は私の股間に手を伸ばしていた。 しばらくそうしていたが、二人が長く席を外しているのは不自然である。 「続きは、今宵・・・」 私がそう言うと、二人は身体を離してオフィスに戻った。 ―続く− |