男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2025/02/09 5:22:47|小説「妖精の歌」
妖精の歌−13−
妖精の歌−13−

 私がベッドに座って冷蔵庫から取り出したビールを飲んでいると、バスタオルを纏った美鈴が出て来て、私の横に腰掛けます。私は、もうひとつのグラスを美鈴に渡してビールを注ぎました。
 二人でビールを飲み干してグラスを置くと、私は美鈴の手を取り引き寄せます。美鈴の身体が、勢い良く私の腕の中に飛び込んできます。私はしっかりと美鈴を抱き、キスをします。熱い抱擁と口づけは、いつしか激しい愛撫から、愛の行為へと進んで行きました。
 その夜の短い時間の間に、私は二度も美鈴と激しい愛の行為を繰り返していました。二度目が終わった後でしばらくまどろんで、ふと時計を見ると11時を回っています。このまま一緒に一夜を過ごしたいという強烈な欲望に駆られますが、もしそうなると家に帰って一波乱あるでしょう。私は美鈴と別れなければならないようなことはしたくない、そんな想いから敢えて言いました。
「もう、帰らなくては。」
 美鈴は、ちょっと寂しそうな顔をしましたが、私の想いを悟ったのでしょう、軽く頷きました。私は、ベッドから出ようとする美鈴を押し止め、一人ベッドから出て衣服を身に着けます。そしてベッドの美鈴にキスをすると、「また、会おう。」と言って部屋を出て行きました。
 帰りの電車の中、この次にどうすればまた美鈴と会えるだろう、そのことばかりを考えていました。翌日から、あのとき私が美鈴をそのままホテルに置いて来たことで深い後悔の念に悩まされていました。別れ際の美鈴の寂しそうな顔を見たとき、一緒に一晩過ごすべきだったと思うのです。
 しかし、一方で、あれで良かったんだという気持ちもありました。もしそのまま泊まれば、嘘の下手な私はきっと妻に責められ疑われてしまうでしょう。そうなると、美鈴と会うことすらできなくなってしまいます。
二度目に会ってから、益々、私の美鈴に対する思いは益々深まって来ました。切ないというか、会っていないことに対する不安感というか、とにかくじっとしていられない心境なのです。
 美鈴もまた、そんな思いをメールで書いて寄越しましたし、時々、歌にして送ってくれました。

 紫陽花の 心変わりを恐れつつ 雨は止めども 想いはやまず
                      
 この歌は、美鈴が仙台に旅しているときに送ってくれたものですが、美鈴の気持ちが見事に、しかも素直に表現されています。こんな歌が、私の美鈴に対する思いを更に深いものにしていました。
              ―続く―







2025/02/08 5:42:24|小説「妖精の歌」
妖精の歌−12−
妖精の歌−12−

 私はグラスのウイスキーを飲み干すと、美鈴の肩を抱くようにして店を出ました。二人は手を繋いで、彼女が泊まっているホテルに向かいます。美鈴がフロントでキーを受け取っている間、私はエレベーターの前で待っています。
彼女の部屋は最上階の8階、窓辺に寄ると新宿の灯りがきれいに見えます。
窓辺に駆け寄った美鈴がカーテンを開け、「ねえ、とてもきれい。来てみて!」と、嬉しそうに叫びます。私も美鈴の横に立って、夜景に見とれます。私は美鈴の肩を抱き、美鈴も私の肩に頭を寄せてじっと外を眺めていました。
 私は、美鈴への想いが次第に抑制できなくなり、肩を抱いている手に力を入れて私の方に向けさせると、そっと抱き寄せてキスをします。最初、軽く触れていた唇と唇が次第に強く合わされ、濃厚なキスへと変わる頃には、お互いしっかりと抱き締めあっていました。
「汗を流そう。」
 私が言い、美鈴の背中に手を回すとワンピースのボタンを外します。ワンピースがふわりと床に落ちます。白い胸が私の目を刺激します。私は、胸の谷間に思わずキスをしました。美鈴が下着をとっている間に私も着ている物を脱ぎ、いっしょに浴室へと入ります。
 浴槽にお湯を張っている間、私は美鈴を椅子に座らせて、背中を流します。
「今日は、疲れたんだろう。」
 そう言いながら、背中をゴシゴシと洗っていきます。美鈴は、気持ちよさそうにしています。後ろから見る美鈴のうなじは、白くてとても色っぽく私の目を刺激します。私は思わず、そこに口づけをします。
しばらく背中を流していると、美鈴が「今度は、私が流してあげるわ。」と言い、私から泡のついたタオルを取り、背中に回ります。美鈴は上手に私の背中を流してくれます。力はないけど、優しく丁寧に洗ってくれています。そのうちにお湯が溜まり、二人は石鹸を落としていっしょに浴槽に入ります。私が先に入り、美鈴が入って来ると彼女を引き寄せ、膝の上に座らせるようにしました。
 私は後ろから美鈴を抱きしめるようにして、うなじや背中にキスを繰り返し、手で乳房を優しく撫でます。美鈴は次第に感じて来ているようでした。そんな様子に私も興奮を覚え私の物がピクピクと美鈴のお尻を突き上げるようにしていました。
 お湯のせいか、美鈴の魅力のせいか、私は熱さでのぼせそうになり、浴槽から出て身体を拭きます。先に私が浴槽から出て、美鈴が出て来るのを待ちました。
              ―続く―







2025/02/07 6:19:50|小説「妖精の歌」
妖精の歌−11−
妖精の歌−11−

 ビールを飲み干すと、今度は日本酒にします。魚の造り物が出され、お酒と和風料理がピッタリと合います。お喋りをしている美鈴の頬がほんのりピンクに色づき、とても艶っぽく見えます。
「わたし、すぐに赤くなるでしょう。」
「ほんのり赤くなっているのが、とても魅力的だよ。」
「いやだ、恥ずかしいわ。」
日本酒は、酔いを早めるようです。この頃になると、美鈴も私も出会ったときの固さがすっかり溶けてきていました。
「今日は、ゆっくりできるの?」
気になっていた私が、美鈴に聞きます。
「ええ、中野にホテルを取っています。」
「じゃあ、ゆっくりして行っていいんだね。」
美鈴は、黙って頷きます。
「じゃあ、そのホテルの近くで飲み直さない?」
「いいわ。」
 私達は小料理屋を出て、タクシーに乗り中野に行き、一旦美鈴の泊まるホテルに行ってチェックインを済ませて、近くのスナックに入ります。
 土曜日のスナックは、空いていました。カウンターの中には初老のバーテンダーがいて、店には他に一組の客がいるだけでした。私達は、ウイスキーの水割りを頼み、ゆっくりと飲みます。
 しばらく飲んでいると、有線放送の音楽が流れてきます。
「踊ろうか。」
私が言います。美鈴は、黙って小さく頷きます。私は美鈴の手を引いてフロアに立ち、背中を抱くとゆっくりとステップを踏んでいきます。美鈴は頭を私の胸に預け、私は美鈴の背中に回した手で優しく力を入れて、二人はいつしか愛の世界の入り口に入り込んでいました。
 胸を合わせると、ワンピースの上から彼女の乳房に触れます。美鈴は、ビクッと身体を振るわせます。私は、彼女が既に昂っているのを感じました。
「ホテルに行こう!」
 私は、美鈴の耳元で小さくささやきました。美鈴も、私の肩に寄せた頭で小さく頷きました。
                ―続く―







2025/02/06 5:21:38|小説「妖精の歌」
妖精の歌−10−
妖精の歌−10−

 美鈴は、淡いブルーのワンピースを着ていて、前よりずっとずっときれいに見えました。
「やあ、会いたかったよ。」
「お元気そうですね。」
 私は、すぐに美鈴の手を取って、以前行ったことのあるちょっと品のいい小料理屋に連れて行きました。
「とてもきれいになったね。」
「あら、そんなこと。」
 美鈴は恥ずかしそうにそう言って俯きました。その仕草で私は、美鈴も、私のことを好きになってくれているんだということを確信しました。
「さあ、何を飲む?」
「私は、何でもいいです。あなたは?」
「私はビールにしよう。」
「じゃあ、私も。」
 美鈴は遠慮深そうにそう言います。料理をいくつか頼んで、ビールを飲みますが、最初に会ったときより二人とも無口で静かな雰囲気でした。
 ビールが出され、お互いにジョッキを持って乾杯します。
「講習、お疲れさま!」
私が、少し元気を取り戻して言います。
「久し振りの出会いに乾杯!」
美鈴も、笑顔でそう言ってくれます。
二人は揃ってビールを飲みます。
 お酒は、人の心を開放的にします。確かに私もお酒は好きなのですが、それは嗜好として好きというより、お酒の持つ雰囲気が好きなのです。仲間と楽しく飲む酒、一人嫌な思いを慰めるために飲むお酒、いろいろありますが、やはり一番いいお酒は美鈴のように好きになった人と楽しく飲むお酒です。美鈴は飲みながら今日の講習の話や、この前に会ったときから後にあったことなどを楽しそうに話してくれます。その話し方が、本当に生き生きとしていました。
 私は、笑顔で黙って聞き手に徹します。美鈴のお喋りを聞いているだけで楽しいのです。
 そのうちに料理が出されます。この小料理屋の料理は、新鮮な材料と料理にちょっとした工夫がされているので、けっこうおいしいのです。
「これ、とてもおいしいわ。」
 美鈴が、山菜の和え物に箸を付けながら言います。出汁を上手に使っているのでしょう、確かにおいしいのです。
               ―続く―







2025/02/05 3:38:56|小説「妖精の歌」
妖精の歌−09−
妖精の歌−09−

 それから数日、私は仕事も手につかないくらいでした。仕事中もボーッしていて、部下から「どうかしましたか」と聞かれるほどでしたし、車で走っていてぶつかりそうになったこともありました。毎日家に帰れば美鈴にメールを書きました。ところが、今までだと何でも書けたのですが、会ってからは書く内容に困るようになりました。
 会いたい、と思う気持ちは募るばかりですが、それを書くのも何か心に咎めるような気がしましたし、好きだと繰り返し書くのもいかにも不自然なような気がするのです。美鈴のことを大好きであることには違いないのですが、好きになれがなるほど、上手に書きたい、うまく表現したいという気持ちが強くなります。すると途端にキーボードに向かう手が重くなってしまうのです。回数は増えるものの、メールの文章は短いものになっていました。
 一方、美鈴からも毎日のようにメールは届いていましたが、それは生き生きとした文章でした。日々の楽しかったこととか、保育園であったことなどが簡単であるけど素直な表現で、端的に書かれています。
 文章を書くにも、性格やその人の心の状態が大きく影響するようです。自分でも、美鈴に会う前の方が自分の気持ちを正直に表現できたように思います。
 美鈴と会ってから何度も、また会いたいと思いますが、そう休暇ばかり取っているわけにもいきませんし、休日もなかなか都合がつきません。結婚前の息子を持ち、家庭に荒波を立てるわけにもいきません。私にとって、じっとパソコンに向かって美鈴からのメールを読み、また美鈴にメールを書いているときだけが一番幸せな時間でした。
 しかし一ケ月もすると、会いたいと思う気持ちがどうしても強まり、いよいよ居ても立ってもいられない気持ちになります。ある日のメールの最後に、私はとうとう「どうしても、また会いたい。」と書き加えました。
 美鈴からもすぐに返事が来て、「今度の土曜日、講習会があって東京に出て行くから、そのときに会いましょう。」と言ってくれました。美鈴から希望を与えられた私に、再び明るい日々が戻って来ました。日々の行動が活発になり、ちょっとしたことでも笑顔でいられるようになりました。
 男が女を、あるいは女が男を好きになることは、本当に不思議なことです。普通、町で出会っても何の感情も持たない男女が、好きになったということで、相手のすることが気になり、会えないだけで胸が苦しくなってしまうのです。
 美鈴が出て来る日がやって来ました。昼間は講習があるので、美鈴と会えるのは夕方です。私は昔の仲間が出て来て宴会があるからと言って家を出、美鈴と会う約束の新宿に出掛けて行きました。
                ―続く―