妖精の歌−11−
ビールを飲み干すと、今度は日本酒にします。魚の造り物が出され、お酒と和風料理がピッタリと合います。お喋りをしている美鈴の頬がほんのりピンクに色づき、とても艶っぽく見えます。 「わたし、すぐに赤くなるでしょう。」 「ほんのり赤くなっているのが、とても魅力的だよ。」 「いやだ、恥ずかしいわ。」 日本酒は、酔いを早めるようです。この頃になると、美鈴も私も出会ったときの固さがすっかり溶けてきていました。 「今日は、ゆっくりできるの?」 気になっていた私が、美鈴に聞きます。 「ええ、中野にホテルを取っています。」 「じゃあ、ゆっくりして行っていいんだね。」 美鈴は、黙って頷きます。 「じゃあ、そのホテルの近くで飲み直さない?」 「いいわ。」 私達は小料理屋を出て、タクシーに乗り中野に行き、一旦美鈴の泊まるホテルに行ってチェックインを済ませて、近くのスナックに入ります。 土曜日のスナックは、空いていました。カウンターの中には初老のバーテンダーがいて、店には他に一組の客がいるだけでした。私達は、ウイスキーの水割りを頼み、ゆっくりと飲みます。 しばらく飲んでいると、有線放送の音楽が流れてきます。 「踊ろうか。」 私が言います。美鈴は、黙って小さく頷きます。私は美鈴の手を引いてフロアに立ち、背中を抱くとゆっくりとステップを踏んでいきます。美鈴は頭を私の胸に預け、私は美鈴の背中に回した手で優しく力を入れて、二人はいつしか愛の世界の入り口に入り込んでいました。 胸を合わせると、ワンピースの上から彼女の乳房に触れます。美鈴は、ビクッと身体を振るわせます。私は、彼女が既に昂っているのを感じました。 「ホテルに行こう!」 私は、美鈴の耳元で小さくささやきました。美鈴も、私の肩に寄せた頭で小さく頷きました。 ―続く― |