男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/01/19 5:53:17|小説「春風の唄」
春風の唄−7−(最終回)
春風の唄−7−(最終回)

 私が黙っていると、彼女が話し始めた。
「実は、私に結婚話があるのです。親が持って来た話で、悪い条件ではないみたいです。」
 彼女は、ポツリと言った。そして、私の目をじっと見ている。私に、どうすれば良いかと、尋ねているようである。私は、しばらく考えていた。彼女を、離したくない気持ちはある。でも、彼女を束縛することはできない。いつまでもこうしていることはできないのである。いずれ、彼女は結婚するなり何なりの形で自分から離れて行くことになるだろう。それなら早い方が、彼女のためである。
 私はしばらく考えてから、「そう、それはおめでとう。」と言った。彼女は、ちょっと悲しそうな顔をしたが、意を決したように言った。
「今日で、お会いするのは最後にしたいと思います。最後の思い出に、今宵はご一緒していいですか。」
そう言って、目を伏せた。
 ホテルに着くと、私はちょっと堅苦しい気持ちで部屋に入った。彼女も、同じようであった。私は、彼女を抱きしめたが、今ひとつ気が乗らない。このまま彼女を抱いて良いものだろうかという気がする。結婚することが決まった彼女を抱くには、いかにも気が引ける。彼女を抱いて、ベッドまで運んだが、ベッドに入ってからも彼女に挑む気が起こらない。両腕で、彼女を抱きしめたまま、じっとしていた。彼女も、私の胸に顔をうずめたまま、じっとしているだけである。私も、彼女も、無言のままじっとそうしていた。1時間もそうしていただろうか、彼女が突然言った。
「お願いです。抱いて下さい。」
そう言うと、着ているワンピースを脱ぎ出した。私は迷った。このまま彼女を帰した方が良いのではないかという気持ちが、頭の中を去らないのである。
 でも彼女も、意を決しているようである。その無口な状態から、突然自分から、抱いてと言いだしたことからもそのことが分かる。私は、身を起こして着ているものを脱いだ。私は、しゃにむに彼女に挑んでいった。彼女は、声を出すわけでもなかった。ただ、私のなすがままにしていた。
 夜が明けた。私も彼女も、ベッドの中でじっとしていた。私は、浅い眠りについていたが、彼女はおそらく一晩中寝なかったのかもしれない。目を真っ赤に腫らしている。
 二人で、衣服を身に着けて、そのまま別れることにした。何か喋れば、それだけで未練が残りそうな気がする。彼女も、同じ気持ちだったに違いない。 部屋を出て、私がフロントで支払いを済ませる間に、彼女にホテルを出て行くように言った。
 それが彼女と会った最後だった。その後、手紙も来なかった。私は、彼女が本当に結婚したのかどうかも確認しようがなかった。店の方にも行ってみたが、連絡はないとのことだった。
 それから、3年の歳月が過ぎた。私が、町を歩いていたとき、彼女にそっくりの親子連れを見かけた。男と真ん中に小さな子供の手を引いて歩いている様子は、幸せそのものだった。遠くからだったので、それが彼女かどうかは確認できなかったが、私は、それが彼女であれば良いと思った。
 通りには、春の爽やかな風が吹いていた。
                ―完―







2021/01/18 6:00:56|小説「春風の唄」
春風の唄−6−
春風の唄−6−
 
 ある土曜日のことである。例によって、私達はテニスを楽しんだ。そして、そのままホテルに行った。くちづけを交わした後で、私は、彼女に、テニスウェアを着てみるように言った。私は、以前から、テニスウェアには色気を感じていた。テニスウェア姿の相手と、セックスしたいという欲望を持っていた。しかし彼女は、「嫌よ。あんなの、汗くさいわ。」と言った。今まで、私の申し出を拒否したことのなかった彼女であるが、今回だけはかなり強い調子である。私も、負けていなかった。どうしても着せたいと頑張った。でも彼女も、何としても頑固である。それで、私は提案した。
「じゃあ、この次のときに、洗濯したものを持っておいで。それならいいだろう。」
彼女は、この場を逃げるためということもあったのだろう、しぶしぶオーケーした。
「じゃあ、この次は必ずだよ。」と、私は念を押した。
その日の私は、何となく心に残るものがあったが、この次はという思いもあって、彼女に没頭していった。
それから2週間後に、私達はテニスで会った。私は、彼女のコーチのせいもあって、テニスはかなり上達していた。まだ彼女に勝てるほどではなかったが、それでも何とか試合ができるくらいにまでなっていた。
 初夏のコートで汗びっしょりになっていたが、快い疲れである。終ってから冷たいシャワーを浴びると、むしろ気持ちが良い。
 それからは、いつものとおりホテルに向かう。部屋に入ると、さっそく彼女に、テニスウェアに着替えるように言った。彼女は、しぶしぶとバッグから、新しいテニスウェアを取り出すと、私に、「あっちを向いていて。」と言って、着替えた。
「もう、いいかい。」と言って、私が彼女の方を見ると、彼女は昔ながらの短いスコートのテニスウェアに着替えていた。スコートからすらりと伸びた足が、艶めかしい。私は、思わず彼女の方に行って、彼女を抱きしめた。彼女は、観念したように私のなすがままにしていた。
 その日、私は燃えた。私は、彼女にテニスウェアを着せたまま、下着だけをとって、愛した。私の昂りを感じ取ったのだろう、彼女もまた燃えた。私にとって、こんなに燃えたことは、ここのところなかったことである。
 秋が来るころ、仕事が終わって、いつものように彼女と会った。私は、彼女が何となく元気がないのに気がついていた。夕食を一緒にしているとき、「お話したいことがあります。」と言った。
                ―続く―







2021/01/17 17:13:00|小説「春風の唄」
春風の唄−5−
春風の唄−5−
 
 この日の彼女は、紺のミニスカートにブラウス、その上にカーディガンを羽織っている。私は、車を郊外に走らせた。夕暮れになり、そろそろ家のあかりが灯りはじめている。道路は山道に差しかかった。私は、彼女の手に自分の手を置いた。彼女は、「危ないわ。」と言ったが、手を引っ込めようとはしなかった。
 郊外のレストランで食事をした後で、私は彼女に言った。
「今日は、もう少し付き合ってくれないか。」
察しの良い彼女は、私の言葉の意味を感じ取ったらしい。彼女は、返事こそしなかったが、黙ったまま小さく頷いた。
 私は、丘の上のホテルに車を寄せると、フロントで空いている部屋があるかどうか聞いた。さいわい、部屋は空いていた。私は、さっそく車にいた彼女を呼んで、チェックインの手続きをした。
 私は、ドアを開け、彼女の背中を抱くようにして部屋に入れた。部屋に入ると、さっそく彼女を抱き寄せて、唇を求めた。彼女は、覚悟はできていたのだろう、素直に応じた。そのまま私は彼女を抱きかかえで、ベッドに運んだ。そして再び、彼女にくちづけをした。私は、くちづけをしたまま、右手でカーディガンのボタンを外し、薄手のセーターの下から彼女の胸に手を持っていった。彼女の胸はそんなに大きくはなかったが、若さのせいか張りがあった。彼女は、身をよじった。私は、しばらく胸を愛撫したあとで、スカートのホックに手をかけて外し、スカートを脱がせた。その間、彼女はじっと私のなすがままにしていた。
「君が、好きだ。」
私か彼女の耳元でささやくと、彼女は私を抱いている手に力を入れた。
 彼女は、行為の間も素直な性格のとおり、悦びをそのまま身体で表現した。心も体も健康なのであろう。
 私は、とても彼女の健康さにはついていけない。でも経験と技巧はある。一人の健康な若い娘を、喜ばせるだけの力も残っている。それを彼女は素直に受入れ、素直に表現してくれた。
 セックスにも、健康的なセックスと不健康なセックスがあるような気がする。彼女とのセックスは、まさに健康的なセックスである。秘密の恋にしては、後暗さもなく、終わった後での虚しさがない。その日、私はすっかり満ち足りていた。
 その後、何度か彼女に会った。会うのはいつも、ニ人の仕事が終わった後である。彼女は、別の用事でもない限り、私の誘いに応じてくれた。渋谷で会って、夕食を一緒にして、その後で近くのホテルに行く。
 私達は、その度に燃えた。彼女のセックスも、次第に奥深くなって行くようであった。最初は淡白であったのが、少しずつ濃厚なものになっていった。悦びの表現も、次第に大胆になってきていた。私は、私によって変っていく彼女を見るのが、楽しみでもあった。女が、自分の思うような女に変わっていくのを見るのは、男にとって夢である。
                ―続く―







2021/01/16 6:21:51|小説「春風の唄」
春風の唄−4−
春風の唄−4−
 
 裕美子と話をしていると、絵画や音楽などにもけっこう知識があった。それに海外旅行にも何回か行ったことがあるようで、話題も広い。私は、退屈することなく彼女の話を聞いていた。
 私くらいの年齢になると、なかなか人の話を聞くのが苦痛になる。ましてや相手が若い女の子ともなると、話題にすら困ってしまう。でも彼女は、そんなことを少しも感じさせない。話題の豊富さに加え、相手の気持ちをちゃんと読んでいて、退屈させないように心配りをしている。
 私は、そんな彼女に心が傾いて行く自分を感じていた。
 私は、水曜日は別の宴会があって行くことができず、金曜日の8時過ぎにそのスナックに行った。裕美子は既に来ていたが、他の客の相手で忙しそうである。今日初めて会う別の女の子が私の横に座った。
「洋子です。よろしくお願いします。」と、丁寧に言った。色白でちょっと可愛い感じの女の子である。私は、洋子と話をしながらも、裕美子のことが気になった。他の客と楽しそうに話をしているのを見ると、軽い嫉妬さえ覚える。
 裕美子が席を立ったときに、私は彼女と目が合った。彼女は、軽い会釈をしたが、そのまま氷を取るために奥に入っていった。
 私は、彼女の会釈で救われる思いがした。もし全く私に知らない顔をしていたとしたら、私はがっかりしたに違いない。
 しばらく私は、洋子と話をしていた。彼女もなかなか可愛いのであるが、私の心は完全に裕美子にある。もし、本当に人を好きになったら、目の前にどんないい女性がいたとしても目が向かないのが人情ではなかろうか。今の私も、そんな気持ちである。確かに、洋子も魅力的な女性である。彼女には可哀想だが、今の私には彼女には全く興味が湧かないのである。話の内容や、受け答えも自然おろそかになる。そんな私の気持ちが彼女にも伝わるのだろう、洋子は何となくつまらなさそうである。次第に、話題も少なくなってくる。ちょっと気まずい雰囲気になってくるが、どうしようもない。私達は、黙って飲んでいた。
 11時近くになって、さっきからいた客が帰って行き、別の客が入ってきた。このときに洋子は、席を立って新しく来た客の方に行き、その代わりに客を送りに行っていた裕美子が帰ってきて、私の横に座った。私は、ほっとした。裕美子となら、気まずい雰囲気はない。さっきからこのときを待っていたのである。
「また一緒にテニスがしたいね。」
私は、早速切り出した。金曜日は、客の帰りも遅い。彼女が帰る時間を待っていても、きりがない。私は、裕美子と土曜日のテニスの約束をして、しばらく話をした後で店を出た。
 2回目の彼女とのテニスは、午後3時からだった。私にもテニス仲間は何人かいる。彼等を誘ってダブルスだともっと楽なのであるが、私は裕美子と二人でいたかった。相変わらず、コートでの彼女は元気だった。2時間、びっしょりと汗をかいた後で、私は彼女をドライブに誘った。疲れてはいたが、彼女と一緒なら少しも気にならなかった。彼女はすぐにオーケーした。
                ―続く―







2021/01/15 4:43:05|小説「春風の唄」
春風の唄−3−
春風の唄−3−
 
 少し休んで、今度はゲームをすることにした。シングルスでのゲームは、私にとってはちょっときっかったが、二人しかいないのでは仕方がない。
 ゲームでの彼女の動きは、もっと素晴らしかった。試合では私は彼女に適わなかったが、彼女のアドバイスの効果もあって、ときおり自分でも驚くようなストロークやスマッシュを決めることができた。そんなとき、彼女は大きな声で私を褒めてくれる。その一言で、私は余計にやる気になった。きっと教え上手でもあるのだろう。
 2〜30分ゲームをしては、10分休憩するというようなことを繰り返した。私は、歳のせいもあって、段々疲れを感じていたが、彼女は一向に疲れた様子がない。若いということもあるが、無駄な動きがないことも彼女が疲れない理由なのだろうと思った。結局、3時間もコートに立っていたことになる。私は、全身ヘトヘトになっていた。
 ゲームを終えてから、私達はクラブハウスに戻り、シャワーを浴び着替えをすませると、私は彼女を食事に誘った。青梅街道を郊外に向かって30分も走ったところに、私が以前行ったことのあるレストランがある。私は、彼女をそこに連れて行った。
 土曜日の夕暮れのレストランは、家族連れでけっこう混んでいたが、さいわい私達は前の客との交替で、窓際の席に座ることができた。彼女はステーキを、私は舌平目のムニエルを注文した。私は、車なので酒は飲めないが、彼女に何か飲むかと聞くと、私に遠慮してか何もいらないと言う。酒のない食事は、あっという間に終わった。いつも飲みなれている私には、ちょっと物足りない気がした。
 私は、彼女を新宿の外れのマンションに送って行ってから、家路に着いた。
彼女がそのスナックにくるのは、週のうち、月、水、金の3日だということを聞いていたので、次の月曜日、仕事が終わると、私はさっそくそのスナックヘ急いだ。彼女はまだ来ていなくて、ママさんと別の女の子が来ていただけだった。彼女が来るのは、8時頃だという。それまで私は、ママさんとその女の子と3人で世間話をしていた。
8時ちょうどに彼女は、やって来た。彼女は、私の横に座ると、「おとといは、ありがとうございました。」と言った。私達が、一緒にテニスをしたことを隠すつもりはないらしい。ママさんと、もう一人の女の子は、何かあったのというような目つきで私達を見た。
私は、「彼女にテニスを教わったんだよ。」と、言った。もう一人の女の子が、「ワー、うらやましい。私も誘って。」と、言ったが、私は返事をしなかった。
 そのうちに別の客がやってきて、もう一人の女の子はそっちの相手に行ってしまったし、ママさんは奥へ行ってしまって、裕美子だけが私のところへ残った。
                ―続く―







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