男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/01/24 3:47:02|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−5−
小鳩の風景−5−

 私は、公園の森に住む小鳩です。
 春3月は、春と冬とか交互にやって来て、次第に春が冬を圧倒して行く季節、いつも私がとまっている桜の枝の蕾もだんだんと大きくなっています。
 今からちょうど一月前の夕方のことです。
学生服とセーラー服を着た男女が、私のとまっている枝の下のベンチにやって来ました。
「何の用事なの?急に呼び出したりして。」
「ねえ三宅君、これ私が作ったの。受け取ってくれない。」
女の子は小さな包みを男の子に渡しました。
「そうか、今日はバレンタイン・デーだったんだね。でも、何で僕に?昼間、何人かの人に
配っていたでしょう?」
「ええ、あれはお友達なの。本当は、三宅君にあげたかったのだけど、三宅君は堅い雰囲
気でとても受け取ってくれそうになかったわ。だから、こうして電話をして来てもらったの。」
「僕は、そんなチャラチャラしたことは嫌いなんだ。受験も迫っているし、そんなことをしている時間はないよ。」
「三宅君は、私のこと嫌い?」
「嫌いとか、好きとか、そんな気持ちはないよ。」
「そうね、三宅君は部活と受験準備で忙しいものね。」
「親もうるさいんだ。受験に失敗したら、何を言われるかわからないよ。」
そんな話をしばらくしていましたが、やがてこんなことをしてはいられないという雰囲気で男の子の方は帰って行きました。
残された女の子は、しばらくベンチに座ったまま寂しそうにしていました。
 それから何度か、女の子は一人でこのベンチにやって来て座っていました。
どうやらこの女の子は三宅と呼ばれる男の子を好きなようで、男の子を呼び出しては待っているようなのです。しかし男の子の方は関心がないようで、やって来ず、女の子はしばらく待っていては寂しそうに帰って行きました。
 今日のことです。
やはり女の子はベンチに座っていると、しばらくして男の子がやって来ました。
「アッ、三宅君。今日は、何の用事なの?三宅君の方から、私を呼び出してくれるなんて珍しいね。」
「うん、これ受け取ってくれない?近くのデパートで買ってきたんだ。」
「マア、嬉しい!何だろう!」
「開けていいよ。大した物じゃないけど。」
女の子が包みを開くと、ハンカチが出てきました。
「マア、素敵なハンカチ。ありがとう。大事に使うわ。」
「実は、いろいろ考えたんだ。この前、手作りのチョコレートくれたでしょう。それが嬉しかったんだ。今まで女の子からチョコレートなんか貰ったことなかったしね。」
「でも三宅君は女の子の人気者で、たくさん貰っていると思っていたわ。」
「そんなことないよ。確かにいくつか貰ったことはあるけど、みんな義理チョコなんだ。」
「そうだったの。」
「それでいろいろ考えたよ。僕は、今まで親に言われて、部活と受験勉強ばかりだったけど、美香がチョコレートをくれて、これでいいのかと思ったんだ。」
女の子は黙って聞いています。
「僕のことを好きな女の子がいてくれる、そう思うと本当に嬉しくなったんだよ。」
「・・・・・」
「美香、好きだよ。」
「エッ!本当?」
「うん、大好きだ。」
夕暮れの暗くなっている公園のベンチ、二人はしっかりと抱き合っていました。
不器用なキスが、いかにも新鮮に見えました。
 人間の恋も、若くて純粋なときが一番美しいようです。
                  ―続く―







2021/01/23 8:02:46|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−4−
小鳩の風景−4−

 私は、公園の森に住む小鳩です。
 今日は月曜日、みんな学校や会社に行って公園はひっそりとしています。私は群から離れて、いつものお気に入りのベンチの上の桜の枝にとまっていました。桜の枝の先では、もう蕾もかなり大きくなっています。
 しばらくすると、年老いた男女がやって来てベンチに座り、話を始めました。
「ねえ、幸平さん、この前のゲートボールのとき美代さんに親切そうに教えていたでしょう?私、妬けてしまったわ。」
「だって、美代さんはまだ60歳になって老人クラブに入ってきたばかりじゃあないか。ゲートボールのルールだって知らないんだよ。君達女性は誰も教えてあげようとしないんだもの。どうしていいかわからない風で可哀想だったから教えてあげたんだよ。」
「私はゲートボールを始めるときは、ちゃんと本を読んで勉強したわ。でもあの人は、何もしないでやって来て、最初から男の人に教わる気なのよ。我が儘よ。」
「いいじゃないか。その方が、早いんだもの。」
「来たら最初に男の人に色目を使っていたわ。どの男がいいか物色していたのよ。」
「そうかなあ。不安そうに見えたよ。」
「違うわよ。女の目から見ればわかるわ。あの人、若い頃にご主人と離婚しているのでしょう。」
「うん、そうらしいね。」
「それに、若い頃から町内ではいろいろ噂があるのよ。いろいろな男と関係があったって。」
「早く一人身になれば、そんなこともあるかも知れないね。」
「不潔よ!」
「・・・・・」
「君だって、ご主人があるのに僕とこうして二人きりになったりするじゃあないか。」
「だって主人は寝たきり、話もできないのよ。こうしてお話するくらい許されるわ。あの人の場合、いろいろな人と付き合っているわ。だから不潔なのよ。」
「そうか、君と美代さんじゃ、違うんだね。」
「そうよ、いっしょになんかしないでよ。」
「ところで、来月の隣町の老人クラブとの試合、頑張らなくちゃね。絶対に、あの山田には負けたくないんだ。」
「そうね。でも、あの人いい人よ。この前も試合の後の打ち上げのとき、いろいろゲートボールのコツを教えてくれたわ。」
「嫌な奴だよ。女性と見ると、デレデレするんだ。」
「そうですかあ。なかなか親切だわ。」
「しかも、相手が男となると敵意を剥き出しにするんだ。」
「試合だから、仕方がないわよ。」
「前回は残念ながら負けてしまったけど、今度は絶対に勝つからね。」
「ええ、頑張りましょう。」
 それからしばらくいろいろな話をしていましたが、やがて二人は仲良さそうに手を繋いで歩いて行きました。
                  ―続く―







2021/01/22 5:35:12|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−3−
小鳩の風景−3−

 私は、公園の森に住む小鳩です。
 季節は3月、群の男も女も、みんな恋に忙しくなっています。
まだ私達が小さくて巣立ちをする直前のことです。お母さんが、私と妹に言いました。
「ねえ、お前達。男というものはね、最初から相手を決めて付き合っては駄目よ。たくさんの男を見て、その中からいい男を選ぶの。でないと、いい子供を産むことはできないのよ。それから男って、じらさなくちゃ駄目よ。すぐに体を許すなんて、だめ。とんでもないことだわ。私なんかね、何羽もの雄が後を追い掛けて来ていたわ。その中から、強くて逞しそうなのを選んで、体を許したの。そうしてできたのがお前達なのよ。」
それから私の方を向いて言いました。
「なのにどうしてお前はこんなに体が小さいのかねえ。私はこんなに大きくて立派だし、お前の父親だって立派だったのにねえ・・・。きりょうだって良くないし、将来、苦労するだろうね。」
そう言うと、フーッとため息をつきました。しかし、本当にため息をつきたかったのは、私の方でした。
 私は、今日も群を離れていつものベンチの上の枝にとまって休んでいますと、幼稚園くらいの子供が二人やって来ました。
「まあちゃん、早くこっちにいらっしゃい!」
「待ってよ、みきちゃん。そんなに急がないでよ。」
「ここにベンチがあるわ。ここに座りましょう!」
「うん。」
二人は、並んでベンチに座りました。
「わたしね、きのうの夜おしっこに行きたくて、目が覚めたの。すると、隣にいたお母さんがいないのよ。心配になって、どこに行ったのかとさがしたの。するとお父さんが寝ている部屋の方からお母さんの声がしたわ。苦しそうな声だったの。私はいよいよ心配になって、ドアのところに行って中をそっとのぞいてみたの。するとお父さんがお母さんの上になっていたわ。
わたしは部屋に入って行こうかと思ったけど、でも入って行ってはいけないような気がしてやめたの。しばらく見ていたけど、わたしの部屋に戻ったわ。お父さんとお母さん、なにをしていたのかしら。」
「体をもんでいたんじゃない?僕のお父さんは、よくお母さんの背中とか、肩をもんであげているよ。」
「でも、お母さんはあおむけだったわ。背中をもむんだったら、うつぶせでしょう?」
「そうだねえ。みきちゃんのお父さんとお母さん、なにをしていたんだろうねえ。」
「それからね、お父さんはお母さんのおっぱいをもんだり、おっぱいを飲んだりしていたわ。おとなになっても、おっぱいを飲むのね。」
「ぼくも、おかあさんのを吸ってみたけど、出なかったよ。みきちゃんのお母さんのは出るんだね。」
「わからないわ。わたしも飲んだことないもの。」
「ねえ、みきちゃんのおっぱいは出るのかなあ?」
「わたしのはでないわ。」
「でも吸ってみないとわからないよ。」
「そうだねえ、まあちゃん吸ってみる?」
そう言うと、シャツをはだけてまだ全然膨らみのない胸を開きます。
「これじゃ、吸えないよ。みきちゃん、おちちないもの。」
「でも、吸ってみて!おちち出るかもしれないから。」
男の子は小さな唇で女の子の胸に吸いつきますが、何度やってもうまくいかないようでした。
「やっぱりだめだよ。ぼく、できないよ。」
「みきのおっぱいが小さいからだめなのね。」
女の子は、がっかりしたように言いました。
「みきちゃんがおとなになったら、おっぱいも大きくなるよ。となりの小学校に行っているみよちゃんのは大きくなりはじめていたよ。」
「みたの?」
「うん、おねえちゃんが見せてくれたんだ。」
「じゃあ、みきもだいじょうぶね。」
「うん、おとなになったらきっと大きくなるよ。」
そう言うと、また元気にあっちの方に駆けていきました。
 私は、人間も小さい頃から自分の体にはコンプレックスを持っているのだと思いました。
                  ―続く―







2021/01/21 5:01:30|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−2−
小鳩の風景−2−

 私は公園の森に住む小鳩です。
 今日は朝から良い天気、春の来るのを前に、群の雄鳩達は自分の恋のお相手探しに余念がありません。
 お母さんも妹も、そんな中でいかにもウキウキした感じで、飛び回っています。自分達の姿を見れば、雄達が追い掛けてくるのを知っているからです。
 公園は、たくさんの人出で賑わっています。広場には出店があって、そこでお菓子や焼きソバそれに鳩の餌も売っていて、子供達が餌をばら撒いてくれます。いつもだと体の大きな鳩達に負けてしまってなかなか私は食べられないのですが、他の鳩達は恋の方に忙しいらしく、今日は私もお腹いっぱい食べることができました。
 お腹いっぱいになって枝に止まっていたら、すぐ下に中年の男と若い女性がやって来ました。
「ねえ、部長。私達、どうなるの?」
「どうなるって・・・・・」
「だって、もう3年もお付き合いしているのよ。結婚してくれるって言ったでしょう?」
「うーん、もうちょっと待ってくれないか。」
「もうちょっと、もうちょっとって言うけど、私はもう33歳よ。田舎の両親だって、結婚はどうするのかとうるさいのよ。」
「でも、女房がなかなかね・・・」
「で、奥さんには話したの?」
「・・・・・」
「まだ話していないのね。そうでしょう!」
「なかなか言い出す機会がないんだよ。」
「私を騙したのね。最初からその気だったんでしょう!」
「そんなことはないよ。君を好きなことに間違いはないんだ。」
「好きだったら、ちゃんと態度で示してよ。結婚してくれるの、くれないの?」
「うん、もうちょっと待ってくれないか。」
「いいわ、でも期限を切りましょう。あと3ヶ月以内に奥さんと離婚すること。でないと、私、社長に訴えますからね。」
「社長!とんでもない!あの社長は、社内恋愛には、ものすごく厳しいんだ。そんなことをしたらすぐに僕は首だよ。」
「私達の場合、恋愛じゃなくて、不倫だものね。首は、間違いないわ。ネッ、奥さんとの離婚の話、いいわね。」
「待ってくれよ。そんなに急に言われても・・・」
「何が、急よ!もう2年も前から言っているわ。」
「・・・・・」
「どうなのよ。」
「実は、これから子供が高校受験なんだ。今、離婚したら子供ために良くないんだよ。」
男の方が情けなさそうに言います。
「じゃあ、受験が終わったら結婚してくれるの?大学受験のときはいいのね!」
「うーん・・・・」
「はっきりしない人ね。じゃあ、きっぱりお別れする?私だって、次の男を探すわ。ちゃんと、結婚してくれる男をね!」
「それは・・・・・。」
「離婚もしない。結婚もしない。なのに私を縛っておくと言うの?そんな勝手な話はないわ。」
「・・・・・」
 もうこうなっては男の方に勝ち目はないようです。
「わかったわ。300万円で手を打ちましょう。私の失った3年間の代償よ。本当は、もっと欲しいのだけど、あなたにもそれほどゆとりはないでしょうから、これで勘弁してあげるわ。」
「そんな・・・」
「そんなもこんなもないわ。来週までに現金で持ってらっしゃい。いいわね。でないと、社長に直訴しますからね。」
そう言うと、女はさっさと公園の入り口の方に歩いて行きました。
 人間は、結婚という不思議なルールを作っていますが、私達鳩から見れば実に不思議なルールです。生きている間には、気持ちも変わります。いつまでも同じ人を好きであるとは限りません。その時その時に自分が一番好きな相手の子供を残す、私達鳩の暮らしと、一生相手を変えずにいようとする人間の暮らし、本当はどっちが合理的なのでしょう?
                  ―続く―







2021/01/20 9:40:44|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−1−
小鳩の風景−1−

 私は公園の森に住んでいる鳩です。去年の春、生まれました。
 巣は、桜の枝にあって、歩いている人たちのすぐ上にあるのですが、小さくて簡単なので誰も気がつかないようでした。
 兄弟は4人、いえ4羽いたのですが、可哀想なお兄さんは巣から落ちてカラスに食べられてしまいましたし、次のお兄さんも痩せて死んで行きました。今、元気なのは私と妹だけです。
 私達は群を作って暮らしています。一日の大部分は公園にいて、子供達がくれるポップコーンやパン屑、木の実や草の実などを食べています。
 冬は、私達にとっては大変住みづらい季節です。人出が少ないので餌をくれる子供達もあまりいませんし、木の実、草の実もみんな食べ尽くしてありません。お腹を空かせている時間が多いのです。しかもお父さんやお母さん達は、春の準備をしなければなりません。春には、子供を生んで育てなければならないのです。私達の社会では、決まった夫婦というのがありません。季節毎に相手を見つけては、愛を交わし子供(卵)を産んで育てるのです。ですからこの季節は大変です。
 私達のお父さんも、お母さんも、恋愛ごっこに忙しいのです。お母さんはなかなかのやり手です。顔は凛としていますし、毛並みもいいし体格も大きいので、男達の人気の的なのです。
 今朝も見ていたら、5羽も6羽もの男達に囲まれて追いかけられていましたが、それをみんな袖にしていました。結局、今日はどの男にも体を許さなかったようです。
 妹も、母に似たのか体格は立派で羽の色艶もいいし、おませでもう何羽かの雄達に追いかけられていました。まだ半分子供なのに、大の男達を上手にあしらっています。
 私は誰に似たのか、体は小さいし、羽にも艶がありません。私達の世界では、決して美人ではないのです。男達も妹は追いかけても、私の方には目もくれませんでした。そのせいか、私は世間を何となくクールな目で見るようになっていました。
 公園は、私達の生活の場であるとともに、人間達の憩いの場でもあります。公園に来る人間達の様子を見ていると、私達鳩の世界と同じように面白い光景にたくさん出くわします。
 昨日の夕方、一日が終わって私が桜の枝で休んでいたときです。
すぐ下のベンチに若いカップルがやって来て座りました。
「ねえ、ねえキスしていいだろう?」
「だめよ、人が来るわ。」
「こんな時間に来ないよ。」
「でも・・・・・」
「ねえ、いいだろう?」
「・・・・・」
無言を了解したと思ったのか、男の顔が女の顔に重なりました。
「ムムムッ・・・」という声がして、しばらく静かになったと思ったときです。
パチッということがしたと思うと、「痛い!」と男の声がしました。
「何するんだよ。」
「私、無理にそんなことする人、大嫌い!」
「だって、嫌がっていなかったじゃないか。いいと思ったんだよ。」
「私、キスしていいなんて言わなかったわ。」
「そんな、この前のときはおとなしくキスさせてくれたじゃないか。」
「この前はこの前、今日は違うのよ。」
「なんでだよ?」
「あなた、昨日の夕方、みちるといっしょに歩いていたでしょう。」
「ああ、あれは帰り道に偶然いっしょになっただけだよ。」
「偶然出合って、肩に手を回したりするの?」
「いや、それは・・・」
「それは、何なのよ!」
「偶然、手が肩に触れただけだよ。」
「触れただけで、あんなに抱きつくような恰好になるわけ?」
「誤解だよ!」
「何が、誤解よ!」
そう言うと、今度は女性がシクシクと泣き始めました。
「ごめん、僕が悪かったよ。」
今度は男の方がしきりに謝っています。
女の方は、何も言わずに俯いて泣いています。
男の方は、どうしていいかわからずにただオロオロしていました。
 これで勝負は完全についているようでした。しばらく男をオロオロさせた後、女は男に食事をおごる約束をさせ、二度とみちるとは会わない約束もさせられていました。そして二人の影が重なり、長い間ひとつになっていました。
 どうやら、私達鳩の世界も人間の世界も、女の方が強いのは同じようです。
                  ―続く―







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