男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/02/13 5:51:40|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−25−
小鳩の風景−25−

 私は公園の森に住む小鳩です。
 今日も朝から良い天気、昼休みになるとサラリーマンやOL達が公園にやって来て弁当を広げています。彼等の何人かは私達の姿を見つけてご飯を投げてくれますので、それが楽しみで近くにいることが多いのです。
 いつもの私の留っている枝の下のベンチにはOLが3人やって来て座り、弁当を拡げました。3人は、いかにも仲が良さそうにお喋りを始めました。
「ワーッ、美智の弁当、いつも豪華でいいわね。」
「これ、お母さんが作るのよ。優香のだって、なかなかじゃない?」
「私のはダメよ。自分で作るから、つい簡単なものになってしまうの。」
「有希も自分で作っているの?」
「そうよ。だって誰も作ってくれる人なんかいないんだもの。」
しばらく弁当談義が続きます。どうやら美智という人が親といっしょに住んでいて、優香さんと有希さんは一人暮らしのようです。
「一人暮らしが羨ましいわ。私なんか、いつも親の監視付きでしょう。息苦しくって。」
「あらっ、親といっしょにいられるなんて幸せよ。弁当だって作って貰えるし、それに何かと経済的にも楽でしょう?」
「違うわよ。この歳になって親の監視付きだなんてたまらないわよ。昨日の日曜日だって父親と言い合いになってしまったの。」
「そうか、確かに経済的には大変だけど、一人の良さもあるのかなあ。」
「聡子なんか、この前も彼氏が部屋に来てくれたって自慢していたわ。私なんか、そんなこと絶対にあり得ないのよ。」
「あらっ、私もそんなことないわよ。寂しいものよ。有希はどうなの?」
「ええ・・・、まあ・・・」
「あらっ、男の人が部屋に来たりするの?」
「だって、ホテルだとお金がかかるでしょう!」
「彼って、どんな人なの?」
「ええ、公務員なの。お正月にパブで知り合ったのよ。スポーツマンだし、とてもハンサムなの。」
「ヘーッ、いいわねえ。なぜ今まで黙っていたのよ。」
「別に隠すつもりじゃなかったの。美智だって、優香だって、彼氏はいるんでしょう?」
「・・・・・」
二人とも、黙っています。
「心配しなくてもすぐにできるわよ。出会いなんて、突然やって来るんだもの。」
「・・・・・」
「私ね、仕事でクサクサして、一人でパブに行ったの。そうしたら後で彼がやって来て声をかけてくれたのよ。それから付き合うようになって、3回目にはホテルに行ったわ。でも回を重ねるうちに、ホテルじゃ勿体ないってことになったの。」
「・・・・・」
「彼ったら、なかなかのテクニシャンなの。私、何人かの男の人と寝たけど、彼が一番パワフルだし、テクニックも凄いの。もう私、彼とは絶対に離れられないわ。」
「・・・・・」
二人は、黙ったまま白け切った顔をしています。そんなことにも気が付かず、有希は喋り続けています。
「ねえ、私達の結婚式には、美智も優香も来てくれるわね。きっと彼、もうすぐプロポーズしてくると思うの。」
「・・・・・」
「アッ、いけない。私、課長に言われた用事を思い出したわ。先に、帰るわね。」
 取り残された二人は、しばらく顔を見合わせていましたが、美智が言いました。
「何よ、あの娘。自慢たらしそうによくもあそこまで言ったわねえ。」
「そうよ。なにがプロポーズよ。今にきっと振られるわよ。あの顔で、そんなにもてるわけがないじゃない。きっと体を利用されているだけよ。」
「そうよ、そうよ。もし間違って結婚しても、誰が行ってなんかやるものか。」
「そうだよね。今から行けない言い訳を考えておかなくっちゃね。」
 どうやら、女の妬みは鳩よりも人間の方が激しいようです。
                  ―続く―







2021/02/12 6:24:20|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−24−
小鳩の風景−24−

 私は、公園の森に住む小鳩です。
 お母さんや妹たちは、このシーズンの結婚相手が決まって巣作りに忙しい日々を送っています。晩生で恋人のできない私は、群の端っこで一日餌をついばんでいましたが、夕方になって群から離れ、いつもの枝に帰って来ていました。
 薄暗くなった頃、若い男女が枝の下のベンチにやって来ました。
「ねえ、ここにベンチがあるよ。ちょっと座って行こうよ。」
「ええ、いいわ。」
「僕達を紹介してくれた部長がいるでしょう。僕、仕事でも、私生活でもとても尊敬しているんだ。」
「とても優しくて良さそうな人ね。」
「うん、君のことを、取引先の会社に素敵な女性がいるから会ってみないかって言われたんだよ。」
「そうだったの。私には、うちの課長から、あなたの会社の部長から呼ばれているから行くように言われただけで、見合いだなんて知らなかったの。」
「ねえ、最初に会ったときに付き合って欲しいとお願いしたけど、そろそろ返事を聞かせて貰えないかな。」
「ええ、お付き合いはいいわ。でも、結婚を前提だって言われると・・・・・」
「でも、もう一と月になるんだよ。」
「まだ一と月だわ。あなたに会って、今日がまだ3回目よ。」
「ごめん、もっとデートしたいんだけど、今、ちょっと仕事が忙しいんだ。」
「そうじゃないの。あなたのことをもっと知ってから結論を出したいと思うの。」
「僕は、君のことを大好きなんだよ。」
「私だって、あなたのこといい人だと思っているわ。でも結婚するとなると、誰だって慎重になるわ。」
「そうかなあ。僕は、もう結論は出しているんだ。君と是非結婚したいってね。」
「もうちょっと待ってね。」
「うん、仕方がないよね。じゃあ、キスしていい?」
「エッ、ここで?人が来るわ。」
「誰も来ないよ。来たって、誰だかわかりゃあしないよ。」
「でも・・・・・」
 男はそれ以上言わず、両腕を掴んで彼女を引き寄せると、唇を合わせます。彼女の方も、特に抗うようなことはしません。
 長いキスが続きます。
 最初ちょっとぎこちなさそうでしたが、少しずつうっとりとした顔になって行きます。男の手は、最初背中を抱き締めていましたが、やがて彼女の脇腹から胸の方をなぞるようにしながら徐々に移動して行きます。
長いキスの間、ときどき彼女の「ハアーッ!」というため息のような声が洩れて来ます。
男が耳元でささやきます。
「君が好き、大好きなんだよ。」
「ああ、あなた素敵。」
二人はしっかりと抱き合っています。
「ねえ、このままホテルに寄って行こうよ。君が大好きだし、君が欲しいんだ。」
「ダメ・・・・・、それはダメよ・・・・」
「いいじゃないか。僕は、君と結婚したいんだ。」
「ダメ・・・、まだダメよ。いけないわ。」
「でも、僕はもう我慢できないよ。君をこんなに好きなのに!」
「待って、もうすぐお返事するわ。お願いだから、それまで待って。」
二人は、それからしばらくキスをしたり、話をしたりしていましたが、居酒屋に寄って行こうという話がまとまったようで、手を繋いで歩いて行きました。
 私はじっと様子を見ていましたが、彼女がもう結婚を受け入れる気であることは間違いないように思えました。
 私のお母さんや妹も、男を相手にしての駆け引きはなかなか上手で、どんなに気に入っている雄鳩に誘われてもすぐには結論を出しません。しばらく相手をじらして頃合いを見てから、やっとOKするのです。
 この辺の女のテクニックは、人間も鳩も同じようです。
                  ―続く―







2021/02/11 5:23:14|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−23−
小鳩の風景−23−

 私は、公園の森に住む小鳩です。
 春が過ぎて、ときどき暑い日があるようになり、公園に来る人達も半袖のシャツを着たりしています。
 そんなある日の午後のこと、私が枝に留まっていますと一人のまだ高校生かと思われるような少女がやって来てベンチに座りました。誰かを待っているようにキョロキョロあたりを見回しています。
 しばらくすると、これは30歳をかなり超えている男がやって来て、立ち止まって、やはりキョロキョロしています。しばらく二人とも誰かを探しているようでしたが、やがて男が「美奈さんでしょうか?」
と声を掛けました。
「はい、そうですが、光次さん?」
「ええ。」
「でも・・・・・」
女の子の方は、ちょっと戸惑っている様子です。
「うん、君も・・・・・」
二人の会話が、どうもしっくりしません。
「あのメールで、25歳、保育園の保母さんだって言っていた美奈さんですよね。」
「はい、そうですが、あなたは27歳のサラリーマンだって言っていた光次さんでしょう?」
「そうです。ごめんなさい、僕は実は今年で33歳になります。独身で、結婚相手を探してメールしたのですが、ちょっと歳をごまかしてしまいました。ところで美奈さんは、本当に25歳なんですか?ずっと若く見えますが。」
「実は、私、保母には間違いないのですが、この春短大を卒業したばかり、まだ20歳なんです。ごめんなさい。」
「アハハッ!じゃあ、二人とも歳をごまかしていたんだ。33歳だなんて言うと、メールの相手をしてもらえないんじゃないかと思って。」
「私も、20歳だなんて言うと、子供扱いされるんじゃないかと思いまして、つい歳を多く言ってしまいました。」
「で、ここに座っていいですか?」
「ええ、どうぞ!」
「美奈さん、恋人募集ってあったけど、本当なんですか?」
「ええ、今、一人暮らしのものですから、どなたか付き合っていただける人がいればと思いまして、あのメールを投稿してみたんです。」
「ふーん、歳は離れていますが、僕ではどうですか?」
「光次さんは、結婚相手を探しているんですか?」
「ええ、でも、いきなり結婚相手ってわけにもいかないでしょうから、お付き合いいただければ嬉しいのですが。」
「ええ、とりあえずお付き合いだけということでしたら。」
「いいのですか。嬉しいです。」
「じゃあ、これからお茶でもいかがでしょう?」
「はい。」
二人はベンチから立ち上がると、いたわり合うようにして歩いて行きました。
 男と女の出会いは、いつも新鮮です。それが若ければ若いほど新鮮で、私にはこの二人がやがて結婚するのではないか、そんな予感がしました。
                  ―続く―







2021/02/10 4:59:32|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−22−
小鳩の風景−22−
 
 私は、公園の森に住む小鳩です。
 雨の季節になりました。今日も朝から晴れたり曇ったりしています。いかにも不安定な天気で、陽が照っていたと思うと急に空が暗くなったりしていましたが、それでも午前中は何とか雨も降らずにすんでいました。
 昼休みのことです。公園はほどほどの人出でしたが、急に空が暗くなったと思うと強いにわか雨が降り始めました。今まで公園にいた人々は、慌てて駆け出しています。
 私も餌をついばんでいたのですが、急いでいつもの枝に戻りました。ここは森が繁っているので、雨よけにはちょうどいいのです。
 それからすぐに、男女が私の枝の下に駈け込んで来ました。
「ここなら雨よけにちょうどいいよ。小降りになるまで休んで行こう。」
「はい、こんなに急に降り出すとは思いませんでした。降るとわかっていれば傘を持って来ましたのに。」
「悪かったね、こんなときに食事に誘ったりして。」
「いいえ、とんでもありません。私、課長に誘って頂いて嬉しかったですわ。それにあのワイン、とても美味しかったです。」
「君には、いつも世話になっているからねえ。ちょっとしたお礼のつもりだったんだ。あのワインは、ちょっと有名なワインなんだよ。」
「世話になっているだなんて、課長のお仕事をお手伝いするのは課員として当然ですわ。」
「うん、君は、仕事はできるし、気はつくし、何にも増して優しいよ。他の課員にも君の爪の垢を煎じて飲ませたいよ。」
「まあ、そんな!」
「本当だよ。係長のK君なんか、君の半分も仕事ができないよ。だけど、やたら調子ばかり良くて、部長の前ではゴマばかり摺っている。君とポストを入れ替えたいくらいだよ。」
「あらっ、係長は頑張っておられますわ。それに私より10年も先輩社員ですもの。」
「そうは言っても、会社は仕事中心だからね。今度のボーナス査定は君に有利に意見をあげておくからね。」
「マア、ありがとうございます。」
「それも君が頑張ってくれるからだよ。」
「ええ、課長のためなら、これからも頑張りますわ。」
「そう言ってくれる君が大好きだよ。」
 そう言うと、男は女の子の腕を掴んで引き寄せ、唇を合わせようとしました。女の子の方も、逆らうことなく男の唇に自分の唇を合わせました。しばらくキスが続きます。キスが終ると、女の子は「ハアーッ!」と息をつきます。
「美由紀君、とても素敵だよ。」
「はい、私、課長が大好きです。」
「ああ、僕も、君が大好きだよ。前から好きだったんだ。」
そう言うと、二人は再び抱き合い、キスをしました。
強く抱き締めながらも、手はお互いの背中をまさぐっています。
しばらく抱き合ってキスをしていましたが、やがて体を離しました。
「あっ、雨が小降りになったよ。今のうちに帰ろう。」
「はい、私が先に帰りますから、課長は少し遅れて帰って下さい。課に戻ったら熱いお茶を入れて差し上げますから。」
「うん、じゃあ、先に行きたまえ。」
それから、またキスを交わします。
やっと体を離すと、女の子は「ハイ!」っと返事をして、駈けて行きました。
それからちょっと間をおいて男が駈けて行きました。
 雨が結んだ仲でしたが、この二人がこれからどうなるのか、私には何となく見えるようでした。
                  ―続く―







2021/02/09 6:00:58|小説「小鳩の風景」
小鳩の風景−21−
小鳩の風景−21−

 私は、公園の森に住む小鳩です。いつも、公園の森のちょっと奥まったところの桜の枝に留っています。
 この季節、あちこちで雄の鳩達が、彼女を求めて「デデーッ・ポーポー、デデーッ・ポーポー」と鳴いています。恋の季節、お母さんも妹も、強くて逞しい男を捜しに出掛けています。恋が成立すると、やがて巣作りをし、子供を産むのです。
 私は恋には奥手、まだそんな気になれません。体も小さくて、雄達も私に対しては誘って来ないのです。
 いつものように枝に留っていますと、おじいさんとおばあさんが仲良くやって来てベンチに座りました。おじいさんは足が悪いのでしょうか、おばあさんが手を引いています。
「おじいさん、息子達も大きくなってもう孫もいるのだし、私達ももうそんなには長く生きていられないのでしょうねえ。」
「ああ、そうかも知れないね。でも、僕達の人生は、幸せだったよねえ。」
「そうですねえ。」
「息子達にもいろいろあったよなあ。」
「裕太が、交通事故に遭ったときは、どうなるかと思ったわ。」
「ああ、あのときは本当にもう駄目かと思ったよ。お前は、3日間寝ずにベッドの横で看病していたよね。」
「心配で、心配で、眠れなかったのですわ。」
「裕太が目を覚ましたときには、お前は泣いて喜んでいたよなあ。」
「私、あのときは本当に神様がいるんだって思ったわ。今はお医者さんになってくれて、本当に良かったわ。」
「賢二が、万引きで警察に補導されたことがあったね。」
「あのとき、あなたは何もおっしゃらなかったわ。」
「うん、本人が十分反省しているみたいだったからね。」
「私は、ただオロオロしているだけだったわ。」
「マア、いいじゃないか。今は警察官なんだから。」
「そうねえ、でも圭三には困ったものねえ。」
「うんん・・・、36にもなって、定職には就かないし、結婚はしないし、一体どうするつもりなんだろうねえ。お前は、小遣いをやっているの?」
「ときどきやっているわ。アルバイトじゃ、足りないっていうの。アパート代が払えないっていうのよ。」
「そうやって甘やかすからいけないんだよ。」
「だって、お金がなくちゃ困るし、悪いことでもされたら大変だわ。」
「でも、それじゃあ、いつまでたっても独り立ちしないよ。」
「そうは言っても、放っておけないわよ。」
「そうやって甘やかすから、ああなったんだよ。」
「あらっ、私のせいだとおっしゃるの?あなただって、小さい頃からあの子を甘やかして、思春期の年頃になった頃には相手にもしなかったわ。高校の成績が下がっても関心も示さなかったじゃないの?」
「あの頃は仕事に忙しかったんじゃあないか。リストラの嵐は吹き荒れるし、生活のためにはそれどころじゃなかったんだ。」
「休みの日はあったでしょ。なのにゴルフに行く時間はあっても、子供達の話を聞く暇はなかったのね。」
「あれだって、お客さんの接待だから、仕方ないじゃないか!」
「それにしては嬉しそうに出掛けていたわ。」
「そんなことないよ。」
「男の子が思春期のとき、とても母親の手には負えなくなるのよ。そんなときにあなたが子供を放任していたからああなったのよ。あなたのせいなのよ。」
「冗談じゃない!俺は、お前や子供達が食べて行くために働いているだけで精一杯だったんだ。お前が甘やかしてばかりで、厳しくしてやらないからああなったんだ。」
「アッ、そうですか。全部、私のせいだとおっしゃるのね。いいですわ。私、帰ります。」
 そういうとおばあさんはスタスタと帰って行ってしまいました。
おじいさんはしばらくベンチに座っていましたが、やがて立ち上がるとびっこをひきながら肩を落として歩いて行きました。
                  ―続く―







<< 前の5件 [ 1346 - 1350 件 / 2753 件中 ] 次の5件 >>  << 最新の記事へ >>