遅かった春−02− 焼酎のボトルを追加すると、沙千恵が話を続けた。 「ホント、最近の男ってどうなっているのかしら。これじゃ人類は滅びてしまうわ。そう言えば、昔は、逞しい先輩達がたくさんいたわねえ。佐藤さんや池田さん、それに田中さんだってそうだし、福田さんだって頑張っていたわ。中曽根さんなんて仕事は厳しかったけど、よく飲みに連れて行ってくれたわね。それに比べて今の部長や課長なんて何よ。自分の出世のことしか考えていないのよ。去年も社長へのお歳暮は何にするかなんて相談しているのよ。あ〜あ、昔の人が懐かしいけど、みんな結婚しちゃったわ。」 「そうねえ、私が入社した頃も、まだいい人が多かったわ。隣の課長だったけど、岸さんなどよく昼食を奢ってくれたわ。帰りには飲みに誘ってくれたし。」 「そうね、あの人も仕事は厳しかったけど、仕事が終ったときには優しかったみたいね。」 「ねえ、沙千恵先輩って、今までにたくさんの男の人と付き合ったのでしょう。」 「でもみんな屑ばかりよ。いい人は奥さんがいるし、独身の男はだらしなかったり、ゴマスリにしか感心がなかったりで、頼りになりそうな男はいなかったわ。加代子はどうなの?」 「私もそうなの。何人かの男性と付き合ったけど、未だにこうして独身でいるんだもの。」 「あ〜あ、いい男はいないかしらねえ。」 「そうねえ・・・・・」 二人はため息をつくと、店員を呼んで「このボトル、キープしておいて。」と言い、店を出た。 「ねえ、今までにあったことをお互いに話しましょうよ。そうすれば、これからのことの何かの参考になると思うの。」 「そうね、また飲んだときに話しましょう。加代子も話すのよ。」 「はい。」 そう言いながら、二人は電車に乗った。 −続く− |