男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/04/02 6:41:32|小説「遅かった春」
遅かった春−07−
遅かった春−07−
 
 加代子が話を続ける。
「でもそのときよ。また玄関のチャイムが鳴ったの。私、今度こそ出てやるものかと思ったわ。するとしつこいの。何度も何度も鳴らすのよ。とうとう彼が言った。出て行ってみなさいよってね。行ってみると、今度は宅急便だったわ。すぐに判子を押して荷物を受け取ると、部屋に戻ったわ。彼は、ベッドに横になったままで私を待っていた。私は、ブラウスを脱ぐとブラジャーを外して、彼の上に抱きついて言ったの。『さあ、続きをお願い。』って心の中で言ってね。彼は、私を抱くと、続きにかかったわ。私のスカートに手を入れると、太腿のあたりを撫でるの。初めての経験なので、胸が震えたわ。」
沙千恵がまたビールを飲む。
「そのとき、机の上の時計が見えた。5時を過ぎていたのよ。5時半には母親が帰って来るの。私は、いけないって言った。だって彼が勉強を教えに来るってことも内緒だったのよ。昔風の母親だったから、見つかると何を言われるかわからないわ。そのことを先輩に話すと、先輩も急いで身づくろいをしたわ。」
沙千恵は、なんだつまらないと言うような顔をすると、店員に「焼酎をお願い!」と言った。
「でもね、先輩が帰るときに、この次は絶対ねと約束したの。先輩もすっかり気をそがれてしまったようだったけど、うんと言って帰って行ったわ。私は、先輩を送り出すと、玄関で見送った。先輩の姿が通りの角から見えなくなったとき、入れ違いに母の姿が見えたの。間一髪だったのよ。」
「それでその先輩とはその後どうなったの?」
そう沙千恵が聞いたとき、隣の席にまた客がやって来た。どこかで飲んだ二次会の後らしく、随分賑やかである。とても話をするような雰囲気ではない。
「続きは次回にネ! また来ましょうよ。」
「そうね、こんな話のできる雰囲気じゃないわね。」
沙千恵も残念そうに席を立った。
                  −続く−







2021/04/01 5:11:46|小説「遅かった春」
遅かった春−06−
遅かった春−06−
 
 沙千恵が追加のビールを注文した。加代子は、話を続けた。
「私は、宅急便だと思って出ることにしたわ。慌てたわよ。急いでブラウスのボタンをしめて、スカートが皺になっていないか確認して玄関に出たの。すると宅急便ではなく、お隣のおばさんだったの。回覧板を持って来ました、だって。そして玄関にある靴を見ると、お客さんですかって聞くのよ。このおばさんは、近所でもお喋りで有名なの。私が、家庭教師の人ですと言うと、受験が大変だとか、家庭教師の費用も大変なのでしょうなどと、長々とお喋りを始めたの。早く部屋に戻りたかったけど、なかなか放してくれないのよ。ごめんね、勉強の邪魔をして、と言って帰って行ったときには30分も喋ったあとだったわ。部屋に戻ると、彼はすっかり白けた様子なの。ああいうのは、一気に行かないと駄目なのね。」
「それで、その後は?」
「何だか白けたので、また勉強に戻ったわ。でももう勉強なんか頭に入らないわよ。私の方から、先輩、続きをしましょうって言った。ちょっと勇気がいったけどね。私は、自分からブラウスを脱いだの。下はブラジャーだけ、先輩がごくりと唾を飲み込むのがわかったわ。」
「先輩は、再び私に覆いかぶさるとキスをして、私のブラジャーの上からおっぱいを撫でたわ。とても上手な手つきなの。私は、おっぱいに触られると身体が震えるような気持ちになっていた。彼ったら、私のことを可愛いとか、好きだとか耳元でささやきながらよ。それが余計に私を痺れさせたの。」
ここでまた沙千恵が喉を鳴らせてビールを飲んだ。向こうの方では、さっきの男達が大声で騒いでいるのが聞こえている。
「彼ったら、手を背中にまわして、私のブラジャーを外そうとするの。私は、反対側を向いて彼がホックを外し易いようにしてあげたわ。そして私の乳首を摘むようにして揉むの。ちょっと痛かったけど、それもやがて陶酔に変った。彼の手が私のスカートに入ろうとしたのよ。私は、夢中で彼にしがみついていたわ。」
 沙千恵は、また喉を鳴らせてビールを飲んだ。
                      −続く−







2021/03/31 6:41:34|小説「遅かった春」
遅かった春−05−
遅かった春−05−
 
 「おや、隣はすごい美人だぜ。お姉さん達、一緒に飲まない?」
男の一人が、半ば茶化すように沙千恵達に声を掛けた。
「何よ、あんた達、失礼な人達ね。」
沙千恵が、迫力のある目で相手の男を睨みつけた。
「お〜、怖い! ここはやめて、他の席に行こうぜ。」
男達は、別の席に移って行った。
 「ねえねえ、それでどうしたの?」
沙千恵が加代子の話を促した。
「私、彼が私の胸の方をチラチラ見るのがわかるでしょう。それで彼の横顔をじっと見つめていたの。そしたら、彼がどうしたのって聞くのよ。私、先輩の目をじっと見つめて、好きですと言ったの。先輩だって、勉強を教えるのは上の空だったに違いないわ。しばらくお互いの目を見詰め合っていたの、ああいう時間って長く感じるのね。」
「・・・・・」
「彼、その長い時間に耐えられないように私を抱いてくれたわ。私たち、キスをした。とても甘いキスなの。彼、きっとこういうことが初めてじゃないって気がしたわ。」
「・・・・・」
「彼は、私を立ち上がらせると、ベッドに運んだの。部屋に机とベッドが置いてあったからすぐなのよ。私を横たえると、上から被さるようにしてもう一度キスをしたの。今度は、舌を差し入れてくるのよ。私、胸がドキドキして頭がボーッとして来たわ。」
沙千恵は、またビールのジョッキを掴むとグイッと一気に飲んだ。
「彼の手が、私の胸に触って来たの。私、痩せているけどけっこうボインでしょう。彼、嬉しそうに、とても可愛いおっぱいだね、なんて言うのよ。私は、身体全体が痺れるように思えたわ。彼はキスをしたまま、ブラウスのボタンをひとつひとつ外しにかかったわ。私は、彼の手が動き易いようにじっとしていた。」
沙千恵は、息を止めて加代子の話に聞き入っている。
「やっと彼がブラウスのボタンを外し終えたとき、玄関のチャイムが鳴ったのよ。私、出ようかどうか迷ったわ。そう言えば、一昨日北海道の親戚から宅急便を送ったからと電話があったのを思い出したの。」
「で、どうしたの?」
沙千恵は、またビールを飲んだ。ジョッキは空になっていた。
                  −続く−







2021/03/30 5:33:36|小説「遅かった春」
遅かった春−04−
遅かった春−04−
 
 「私、高校時代に好きな人がいたの。バドミントン部のふたつ先輩で、1年生のとき入部したときのキャプテンだったの。とてもハンサムだったのよ。でも私が2年生になるときには卒業して行ったわ。」
次の週に飲みに行ったとき、今度は加代子が話し始めた。
「私、こう見えても、最初は進学を目指していたの。だから3年生になったとき、町で偶然彼に出会って勉強を教えてくれませんかと頼んだのよ。彼がOKしてくれたとき、わたし『ヤッター!』って思ったわ。」
「ふ〜ん、それから?」
「彼は、週に2回、教えに来てくれることになったの。母親は仕事に行っているでしょう。そこで母親がいないときに来てくれるように頼んだの。私の部屋でよ。」
「じゃあ、いいわねえ。」
「私と彼と二人っきり、最初はドキドキしたわ。でも、だんだん慣れて来た。それに勉強を教えているときの彼って、とても素敵なのよ。彼ったら、理工系に行っているでしょう。数学が得意なの。私、微分だの積分なんていうとからっきし駄目でしょう。数学のことなんか考えているより、彼の横顔ばかり見ていたわ。そんな彼を見ていて、誘惑したいと思ったわ。」
「それでどうしたの?」
沙千恵は、ごくりとビールを飲んだ。
「春の急に温かくなった日、私は半袖のブラウスを着て、上のボタンをふたつほど外しておいたの。」
「それで?」
「彼を玄関に迎えたときからずっと彼はチラチラと私の胸に目をやるの。ほら、女って自分が見られているときって、よくわかるでしょう。部活では絶対的な存在だった先輩が、私の召使のような気になったわ。」
「それで?」
沙千恵は、もう一度ビールを飲んだ。
 そのとき、ドヤドヤと数人の若い男が店に入って来た。
「おい、ここが空いているぜ。」と言いながら、沙千恵達の隣のテーブルに座った。
                    −続く−







2021/03/29 5:39:30|小説「遅かった春」
遅かった春−03−
遅かった春−03−
 
 次の金曜日、二人はまた居酒屋で飲みながら話をしていた。喋っているのは沙千恵である。
 「会社に入って、最初に私が目を付けたのは、鳩山という主任だったの。今は転勤して、大阪の支社に行っているわ。それはハンサムだったの。高校時代に野球をしていたというだけあって、体格も良かったし、とてもハキハキしていたわ。憧れている女の子も多かった。その中で私は、彼が週末に野球の練習をしたり、試合に行ったりすることを知って、コーヒーを作って行ってあげたり、夏には冷たい飲み物を持って行ってあげたりして、けっこう良い仲になったの。」
「それって素敵じゃない。」
「ある日、私の方から彼を誘ってデートに行ったの。渋谷で映画を見に行ったの。マディソン郡の橋という不倫の映画よ。あの映画を選んだのは私、帰りにはすっかりいい気分に盛り上がっていたわ。」
「私、映画はしばらく見ていないわ。」
加代子が、あまり関係のないことを言ったが、沙千恵は気にすることもなく話を続ける。
「そして二人で飲みに行ったの。かなり飲んだけど、彼は崩れなかった。お酒も強いのよ。その後で、私の方からホテルに誘ったの。彼は、いいのかいなどと言っていたけど、黙って着いて来たわ。」
「それからどうしたの?」
加代子は、ゴクッと生唾を飲み込んで聞いた。
「私は、処女だった。ホテルに入ったけど、どうして良いかわからなかったの。黙って、彼にしがみついていたわ。」
「で、それから?」
加代子は、ビールのジョッキをグイッと飲み干して、店員を呼ぶと追加の注文をした。
「彼も、不器用に私を抱いていた。しばらくそうしていたけど、二人ともその先どうして良いかわからなかったの。二人とも抱き合ったままベッドに寝ていた。」
「服は脱がないで?」
「そうなのよ。」
「彼も何もしなかったの?」
「うん。」
「キスくらいしたんでしょう?」
「それが駄目なの。結局、最後まで抱き合っていたけど、彼が寝ちゃったのよ。」
「その後も、彼とは付き合ったの?」
「ええ、何度かね。でもしばらくして試合を見に行ったとき、彼のところに女の子がいたのよ。わたしに、高校時代からの友達だなんて紹介するのよ。後で聞いたら、昔からの彼女なんだって。結局、それっきりになっちゃったわ。」
 加代子は、なんだつまらないというような顔をして、店員に焼酎のボトルを持って来るように言った。
                        −続く−







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