恋盗人(こいぬすびと)−02− 私が、人のものを欲しがるのは、ある意味で病的だったと思います。普段は欲しいと思わない物でも、人が持っていると欲しくなるのです。親に言って同じものを買ってもらえばよいようなものですが、それでは満足できないのです。窓香さんの人形がまさにそうでした。彼女の人形は、しばらくは一人のときに遊んでいましたが、すぐに飽きて遠くまで行ってゴミ箱に捨ててしまいました。 私には、3歳下の妹の明美がいました。明美もよく私に懐いてくれて、私も明美を可愛がっていました。雨の日、外で遊べないときには、いつも明美の相手をしていました。両親は、仲の良い姉妹だと喜んでいました。 小学校に入る頃になると、窓香さんと私は、よく明美と一緒に遊んでいました。二人とも、まだ歩けるようになったばかりの明美が可愛くて仕方がなかったのです。 それでも2年、3年と進むに従って、友達も多くなりました。私自身は、明るい性格だと思っていました。誰とでも、抵抗感なく話せましたし、けっこうウィットの効いた冗談ばかり飛ばしていたので、近寄って来る友達は多かったのです。女友達もいれば、男友達もいました。 小学校4年のことです。クラス替えで隣の席に座ったのは春佳さんでした。ぽっちゃりとした顔の可愛い女の子で、彼女に憧れている男の子も多く、彼女に話し掛けたり、あるいはわざとからかったり悪戯をしたりしていました。私が見ていても、悪戯は好意の逆の表現だというのがわかります。 そのうち、春佳さんは一人の男の子とよく話をするようになりました。隆介君です。隆介君も、眉毛の濃い、目の大きな男の子で、クラスでは人気者でした。二人は、家が近いのか下校時にはよく一緒に歩いて帰っていました。二人は、いかにも仲良さそうにお喋りをしながら歩いています。青いランドセルと赤いランドセルが並んで歩いている後姿を見ていると、羨ましいというか、私も彼のような友達が欲しいと思いました。 私には、よく話し掛けて来る男の子がいました。同じクラスの義男君です。「一緒に帰ろう」とか、「今度一緒に遊ぼうよ」などと言って来ます。でも、私は相手をしませんでした。言い寄られると興味が湧かなくなるのです。 ある日の学校からの帰り、隆介君が私の前を一人で歩いていました。私は、彼のところに行って話し掛けました。 「今日は、1人?」 「うん。」 「一緒に帰りましょう。」 「うん、いいよ。」 彼の返事に、私は妙に胸がドキドキしていました。 ―続く― |