男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/04/28 2:36:38|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−07−
恋盗人(こいぬすびと)−07−
 
 芳浦さんは、キスをしながらも、手でTシャツの上から優香の胸に触ろうとしました。優香は、しばらく拒むような仕草をしていましたが、結局、芳浦さんの手を払いのけました。芳浦さんは、仕方なさそうに、再び優香にキスをしていました。私は、そんな二人の行動に、自分の身体の火照りを感じていました。長いキスの後で、身体を離すと、芳浦さんがしばらく優香の耳元で何かを話していました。優香も何か話していましたが、何を言っているのかはわかりません。しかしお互いが好意を持っていることは確かです。
 二人が、帰途に就くのを見た私は、急いでその場から離れて宿に戻り、入り口のホールのソファに座って雑誌を読むふりをしていました。すぐに優香が帰って来ました。
 私が聞きます。
「どこに行っていたの。景色の良いところとかはあった?」
「ええ、海岸に行っていたの。夕陽がきれいだったわ。」
「そっか、私も誘ってくれれば良かったのに。」
「でも、一人の方がロマンチックよ。京美も明日にでも行ってみたら。」
「そうね、西伊豆は夕陽がきれいなので評判だものねえ。行ってみるわ。」
 それから5分ほどして、芳浦さんが帰って来ました。
「先輩、お帰りなさい。お散歩ですか?」
「うん、夕陽がきれいだと言うので、海岸に行ってみたんだ。」
「きれいでした?」
「うん、あれは感動的だったよ。君も、明日にでも行ってみたら。」
「そうですね、先輩。そこに私を連れて行ってくれませんか。」
「う、うん・・・」
「いいでしょう。先輩と、きれいな夕陽を見たいんです。」
 芳浦さんは、しばらく困ったように考えていましたが、「うん、わかった。」と言いました。私は、夕食後に三本松のところで逢いましょうと具体的な約束をして部屋に戻りました。
 部屋では、優香が楽しそうにしています。
「優香、何か良いことでもあったの?」
「いや、別にそうじゃないけど、夕陽がきれいで感動したものだから。」
「そう、そんなにきれいだったのねえ。」
「そうね、行くといいわ。」
明日は、私が芳浦さんと海岸に行くのです。何も知らない優香は、きっと明日になって焦るに違いないと思いました。嬉しそうに言う優香に、私は心の中で舌を出していました。
 翌日の朝食のとき、私は芳浦さんの隣に座りました。芳浦さんの正面には優香が座っています。優香は、食事の間にもときどき芳浦さんの方をうっとりとした目で見ています。私は、手で芳浦さんの太腿に触りました。芳浦さんは、ちょっと驚いたようでしたが、すぐに何食わぬ顔に戻ります。私は、夕方、彼が私と一緒に来てくれることを確信していました。
                ―続く―







2021/04/27 5:29:40|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−06−
恋盗人(こいぬすびと)−06−
 
 テニスの練習が終わって、部室で着替えているとき、私たちは、着替えながら、お喋りをしていました。
 2年生の美佳さんと、1年生の優香が話をしています。
「ねえ、ねえ、優香。三浦先輩って、素敵だと思わない?」
「あらっ、私は芳浦さんの方がタイプだわ。美佳先輩は、イケメンタイプが好きなのね。私は、逞しい芳浦さんの方が好みだわ。」
3年生の三浦先輩も、2年生の芳浦先輩も、テニスは上手だし、背が高くてなかなかの美男子です。
 その話を聞いていた女の子達が集まって来て、男性評が始まりました。美佳さんに賛成派、優香さんに賛成派がいますが、別の男子が良いという娘もいて、みんなでワイワイ話をしています。こういうことは珍しいことではありません。男子達も、私たちの話をしているに違いありません。
 1年生の夏の合宿は、男女合同で西伊豆の民宿で行われました。1週間の予定です。町営のコートを4面借りて練習をします。昼間の練習は、午前2時間、午後3時間と厳しいのですが、民宿には温泉もあって、昼間の激しい練習の疲れを癒してくれました。部屋は4人一部屋です。1階には大きな温泉の風呂があって、お風呂と食事がみんなの楽しみでした。お風呂では、女の子だけなのでみんなでワイワイ騒いでいますが、食事は男子と同じ食堂ですから、それなりの遠慮もあります。
 最初の夕食の時、男子キャプテンの倉本さんが、女子キャプテンの宏美さんに、「食事のときは、席を男女交互にしてはどうか」と提案しました。宏美さんは、どうだろうかというような顔をして私達の方を見渡しましたが、3年生達が賛成と言いましたので、話はすぐにまとまりました。
 男の子達と一緒に食事をすると、話題も自然変わって来ます。今まで賑やかにお喋りをしていた上級生達もおしとやかにしていました。中には、この機会に親しくなる人達もいました。食事が終ると、自由な時間です。部屋でテレビを見る人もいれば、散歩に出る人もいます。
 私は、海岸を散歩しました。しばらく歩いていると、優香が2年生の芳浦さんと二人で歩いている姿が目に入りました。ホテルを出るときは一人でしたから、あらかじめ約束して人目の少ない海岸で落ち合ったに違いありません。二人は、私がいることには気付いていないようで、松の繁る岬の方に歩いて行きます。私は、隠れるようにして二人の後をつけました。
 二人は、親しそうに話しながら、岩陰に向かって歩いて行きます。私は、岩に隠れるようにして二人の様子を見ていました。陸地から突き出た岩と岩の間に行くと、両手を岩について優香を覆うようにしてささやいていた芳浦さんが、いきなり優香にキスをしました。優香は、最初はちょっと驚いたような様子でしたが、すぐに芳浦さんの背中に手を回してキスに応じていました。
 それを見ていた私も、身体が痺れるような感覚に陥っていました。
                ―続く―







2021/04/26 5:39:18|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−05−
恋盗人(こいぬすびと)−05−
 
 次の日の学校からの帰り、私が歩いていると隆介君が後ろから私に声を掛けながら、近付いて来ました。振り向いてみると、隆介君と春佳さんが一緒にいます。
「ねえ、一緒に帰ろうよ。」
「でも、いいの?」
私は、春佳さんの方を振り向いて言いました。春佳さんは、返事をしません。
「いいんだよ。一緒に帰ろうよ。」
隆介君は、私と肩を並べて歩き始めましたが、春佳さんが近寄って来る様子はありません。私は、自分が勝ったのだという優越感のようなものを感じていました。
 それからは、隆介君も私と一緒に帰り、私も隆介君の家に遊びに行くようになりました。隆介君と春佳さんは、すっかり絶交状態のようでしたし、私と春佳さんもほとんど口をきかなくなっていました。だからと言って、私は嫌な気はしませんでした。それは勝負に勝ったスポーツ選手と同じ気持ちだったのかも知れません。
 隆介君の家に遊びに行ったときは、本を読んだりテレビを見たりしていましたし、ときどきお互いの身体に興味があって、最初のときのようにキスをしたり、裸になって身体を見せ合ったりしていました。勿論、それ以上のことはありませんでしたが、お互いが胸をときめかしていたことには違いありませんでした。
 隆介君と仲良くし始めてから半年が過ぎた頃、私は隆介君に新鮮さを感じなくなりました。彼は、何事にもやる気がなく投げやりなところがあるし、決して明るい性格ではないのです。次第に私は、隆介君の家に遊びに行かなくなりました。隆介君の方は、学校帰りなどにしきりに話し掛けて来ますが、私は愛想のない返事をしてばかりいました。隆介君の方も、そんな私の気持ちを察したのか、いつしか遠ざかってしまいました。
 やがて、隆介君と春佳さんが一緒に学校から帰る姿が見られるようになりました。私は、全く気になりませんでしたが、私と春佳さんが話をすることはなくなったままでした。
 その後、中学校、高校へと進み、高校ではテニス部に入りました。男子15人、女子8人ほどのメンバーで、放課後に練習をします。軽い気持ちで入ったのですが、部活が始まってみるとけっこう練習はハードでした。それでも辞めようとは思いませんでした。
 練習は、同じテニス場でするものの男女別々でした。しかし隣り合ったコートですし、たまには一緒に練習もしていました。
 この頃になると、私たち女子の胸は膨らみ、男子達も髭が生えている人が多くなります。男子達が、私たち女子を興味深そうに見ているのが感じられていました。夏のコートは暑く、汗びっしょりになると、ユニフォームが肌にへばり付きます。そこに男子達の視線が集まって来るのを、女の子達はみんな知っていました。
                ―続く―







2021/04/25 3:56:50|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−04−
恋盗人(こいぬすびと)−04−
 
 隆介君が迷っているようなので、私は目を瞑って唇を差し出しました。隆介君が、私の肩を掴んでキスをしました。ちょっと荒々しいキスです。私は、初めてのことなので胸がドキドキしましたが、隆介君のするようにさせていました。1分ほどもしていたでしょうか。隆介君が唇を離しました。
「ねえ、隆介君。どうだった?」
「京美さんの唇って柔らかいんだね。京美さんはどう?」
「大人の人がキスするってどんな気持ちなのかしらねえ。」
「愛し合っているからキスをするんだろう。」
「私たちも愛し合っているのかなあ。」
「う〜ん、愛し合っているかどうかはわからないけど、京美さんのことは好きだよ。」
「そうね、私も隆介君のことを好きよ。」
「好きならキスしてもいいんだよね。アメリカの人達は、いつもキスしているものね。」
「じゃあ、もう一回しましょうよ。」
私たちは、もう一回抱き合ってキスをしていました。それは、さっきテレビで見たのと同じようなキスでした。
 私は、しばらく隆介君の家でテレビを見ながらお喋りをしていました。学校の友達のことや先生のことなど、どっちかと言うと私ばかりが話していて、隆介君はそれを聞いて相槌を打っていました。
 部屋の時計が5時を打ちました。
「私、そろそろ帰らなくっちゃ。」
「そうだね、6時にはお母さんも帰って来ると思うんだ。ねえ、また来てくれる?」
「いいわ。それから今日のことはみんなには内緒よ。」
「うん。」
「じゃあね!」
 私は、スキップをしたいような気持で家に急いでいました。そのとき、向こうから春佳さんがやって来るのが見えました。私は、一瞬身体を隠そうとしましたが、隠れる場所もありません。私に気付いた春佳さんが声を掛けて来ました。
「あらっ、京美さん。こんなところでどうしたの?」
「うん、ちょっと散歩をしていたの。夕焼けがきれいだから。」
「そうね、きれいな夕焼けね。」
春佳さんは、それ以上聞きませんでした。
 春佳さんと別れてから、彼女に対して秘密を持ったことに優越感のようなものを感じていました。それは快感に近いものでした。
                ―続く―







2021/04/24 4:58:46|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−03−
恋盗人(こいぬすびと)−03−
 
 私は、隆介君と並んで歩きました。
「隆介君は、兄弟はいるの?」
「ううん、いないよ。一人っ子なんだ。」
「じゃあ、家では何をして遊んでいるの?」
「うん、テレビを見たり、ゲームしたり・・・」
「でも、それじゃあ飽きない?」
「そうだね、兄弟がいるといいと思うことはあるよ。」
「ねえ、私が一緒に遊んであげましょうか。」
「うん、いいけど・・・」
「じゃあ、これから隆介君の家に行っていい?」
「いいけど、でも三崎さんは、一度家に帰らなくていいの?」
「大丈夫、お母さんも今日はいないからいいのよ。」
私は、嘘をついていました。お母さんはちゃんと家にいるのですが、そう言わないと隆介君が怪しむからです。
「そうか・・・、でもうちに来ても何もないよ。」
「いいの、隆介君と一緒ならそれだけで嬉しいわ。」
「じゃあ、おいで。」
 私は、隆介君の横に並んで、彼の腕を掴んでいました。もし春佳さんがいたら、見せ付けてやりたいような気持でした。
 隆介君の家までは15分ほどでした。ランドセルから鍵を取り出してドアを開け、子供部屋に行きました。広い部屋で、机やベッド、テレビが置いてあります。
「家には誰もいないから遠慮しないでいいよ。お母さんは、仕事で会社なんだよ。」
「そう、寂しいわね。」
「平気さ。いつもこうだからね。」
「ねえ、何かして遊びましょうよ。」
「テレビゲームする?」
「つまらないわ。せっかく二人でいるんだから、もっと楽しいことをしましょうよ。」
「何がいいだろう?」
そう言われて私も困りました。いつも女の子達とは遊んでいるけど、男の子と二人きりで遊んだことはありませんでした。
そのとき、隆介君が、テレビでも見ようかと言って、スイッチを入れました。しばらくチャンネルを変えていましたが、途中で若い男と女がキスしているシーンがありました。隆介君は、そこでチャンネルを止めました。テレビに見入っています。
「隆介君は、キスしたことある?」
「ないよ。京美さんは?」
「私も、ないわ。」
「じゃあ、見たことは?」
「テレビでならあるけど。」
「僕は、公園で見たよ。若い男の人と女の人だった。」
「ねえ、私たちもキスしてみる?」
「・・・・・」
隆介君は、どうして良いかわからず困っているようでした。
                ―続く―







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