男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/05/05 5:09:39|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−14−
恋盗人(こいぬすびと)−14−
 
 人の物が欲しくなる、これは私の悪い癖だと思っています。しかし、自分ではその欲望を抑えることができず、どうすることもできませんでした。
 次の日曜日は、秋晴れの良い天気、私は朝から何を着て行こうかと悩んだ末、短めのピンクのスカートとブルーのブラウスの上に薄いピンクのカーディガンを羽織りました。そして昨日作っておいた、サンドイッチの入ったバスケットを手に、約束の高尾山口の駅に行きました。彼も同じ電車に乗っていたらしく、私達はホームで出会うことができました。
「おはよう!」
「おはよう!」
 田野内君も、ご機嫌のようです。
 山に登るにはケーブルカーやロープウエイもありますが、私達は行きは歩いて登ることにしました。田野内君は、無口なわりには細かいところに気が付いて、ちょっと急な坂道になると私の手を引いてくれました。それは私の作戦でもありました。お互いに身体を触れ合えば、親しさも湧いて来るはずです。急な坂道に差し掛かったとき、私は足を滑らせて転びそうになりました。私は、支えようとした田野内君の胸に身体を預けるような格好になりました。田野内君は、ちょっと驚いたようで「大丈夫?」と聞きましたが、無論大丈夫です。二人の目と目が合いました。しばらく見つめ合っていましたが、私が目を瞑ると、彼は私にチュッとキスをしました。しかし後ろから人の声にすぐに身体を離し、また坂道を登り始めました。
 キスしたことで、田野内君も親しみを覚えたようでした。少しずつ私のことも聞くようになりました。家族のこととか、日頃は何をしているのかなどと言っています。私は、妹がいること、普段は本を読んだり映画を見たりしていることなどを答えていました。今まで、無口であまり女性に関心がないように見えていた田野内君の中に明らかに心境の変化が生じているのがわかりました。
 頂上近くにある神社の前を通り過ぎ、更に行くと、広場があります。遠くには、富士山も見えています。私は、シートを敷いて、サンドイッチの入ったバスケットを開けました。
「君が作ったの?」
「ええ、卵とハムと野菜だけですけど。」
「美味しそうだね。」
「美味しいと良いんだけど。」
 そんな会話の後で、サンドイッチをつまんだ田野内君は、「美味しい、美味しい」と言いながら食べてくれました。私は、そんな田野内君を眩しそうな目で見ていました。
「僕の顔に何かついてる?」
私が見詰めているので田野内君が聞きました。
「いいえ、美味しそうに食べてくれるのが嬉しくて。」
私は、そう言ってほほ笑みました。
                ―続く―







2021/05/04 5:43:55|その他
恋盗人(こいぬすびと)−13−
恋盗人(こいぬすびと)−13−
 
 早紀と友里とは、ときどき会って食事をし、愛の行為を続けていましたが、それは月に一回程度でした。
 2年の秋の試験が終わった時、私達英文科のメンバーでコンパがありました。場所は、池袋駅の近くの居酒屋です。女子が11名に対して男子は4名なので、どうしても賑やかになってしまいます。
 早紀と友里は、隣同士に座っていましたが、私は離れて座っていました。隣には、田野内君がいました。田野内君は、睫毛が濃く鼻筋が通っていて、4人の男の子の中では一人イケメンです。柔道部にいて精悍な体つきをしていますが、無口でほとんど自分から話すようなことはありませんでした。
 そんな田野内君に、向こう隣に座っていた千鶴が、しきりに話し掛けています。田野内君は、黙って耳を傾けているふうでした。
「ねえ、柔道部の練習って大変なのでしょう。」
「うん、けっこう大変だね。」
「合宿もあったのでしょう。」
「うん。」
「どこに行ったの?」
「軽井沢。」
「軽井沢、いいわねえ。あそこは随分涼しかったでしょう?」
「うん。」
こんな調子です。千鶴の田野内君の気を引こうとする気持ちはよくわかりましたが、田野内君が千鶴に対してどう思っているのかよくわかりません。
このとき私の競争心に火がつきました。
「田野内君って、どこに住んでいるの?」
「八王子。」
「八王子って、良いところでしょう。高尾山も近いよね。」
「うん。」
 私が、田野内君と話を始めたので、千鶴は不快そうな顔をしています。私は、それを気にもせず、田野内君に話し続けていました。
「ねえ、今度高尾山に連れて行ってくれない?」
「柔道の練習のない日ならいいよ。」
「じゃあ、約束よ。」
私は、小指を出して指切りげんまんをしました。千鶴は、ムッとした顔をしています。私は、優越感に浸っていました。
 コンパが終った時、私は念を押すように田野内君を二次会に誘いました。二人で居酒屋を出る姿を見た千鶴が、「田野内君、どこに行くの?」と聞きましたが、私は「二人で話があるの。」と言って突っぱねました。千鶴は、不満そうな顔をしていましたが、仕方なさそうに他の人達と行ってしまいました。
 私達は、駅の近くの小さなスナックに入りました。
 私は取り留めのない話をしていました。無口な彼を退屈さえさせなければ、話す内容は何でも良いのです。
 千鶴のことを好きかと聞いたら、嫌いじゃあないと言います。私は、絶対に彼を奪ってやろうと思い、結局、次の日曜日に高尾山にハイキングに行く約束をしていました。
                ―続く―







2021/05/03 5:41:25|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−12−
恋盗人(こいぬすびと)−12−
 
 私たちは、早紀のマンションや友里のマンションで、自炊の食事をしてから、その後で愛し合うようになりました。
 秋のある日、食事のときに、私が聞きました。
「ねえ、二人はどうして愛し合うようになったの?」
「喫茶店でお喋りしているとき、友里が私を見詰めているのに気が付いたの。その目が輝いているような、うっとりとしているようだったので、それでこうして食事に誘ったのよ。そうして話しているうちに、友里が女性に興味を持っていることがわかったの。」
「友里は、昔からそうだったの?」
「そうね、自分が女性に興味を持っているとわかったのは、中学校の頃かしら、男の子には興味が湧かなかったけど、クラスにいた明美という可愛い娘がいたのを見て、胸がときめいたの。高校に入っても同じだったわ。可愛い娘がいると胸がときめくの。男の子には興味が湧かないのにね。」
「二人とも、そうなの?」
「いいえ、私は、友里と違って、男の子にも惹かれるわ。でも友里と愛し合っていると、女も良いものだと思う。京美は、男性経験はあるの?」
「経験というか、お互いにキスをしたり、ペッティングをしたことはあるけど、セックスをしたことはないわ。」
「私達との愛は、どう?」
「いいわ。男とは違った感じね。男も女も、それぞれの良さがあると思う。」
「私もそう思うわ。」
「早紀は、男性経験はあるの?」
「そうね、近所の大学生よ。近所に住んでいて勉強を教わっていたの。そのうちに身体の関係ができてしまったわ。」
 そこまで言ったところで、早紀と友里がベッドに行き、抱き合ってキスを始めました。しばらくキスをしていましたが、やがてお互いに着ている物を脱がせ合うと、裸になって全身を愛撫し合っていました。
 早紀が男役で友里が女役のようで、早紀の方がずっと愛の行為をリードしているように見えました。二人の行為は、女同士でもここまでするのかと思うほど激しいものでした。
 行為が一段落したところで、早紀が言いました。
「ねえ、京美も来ない?」
私は、おずおずと二人のいるベッドに行きました。二人は、私を挟んで両脇から私に愛撫の手を加えました。このときばかりは、二人が男役で私が女になっていました。
 3人の中で、私は新参者、どっちかというとよそ者の感じでした。もし愛の対象が男で、それを女性と張り合っていたとすれば、私の欲望も燃えあがったのでしょうが、今回はそうはいきませんでした。私は、二人のなすがままに身を任せていました。レスビアンに対しては、それなりの快感を得ることができて決して嫌悪感はなかったのですが、それにのめり込むようなことはなかったのです。
                ―続く―







2021/05/02 5:14:24|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−11−
恋盗人(こいぬすびと)−11−
 
 それでもステーキの美味しさと、ワインの美味しさに、グラスを口に運んでいましたが、しばらくすると強烈な眠気に襲われました。いつしかコクリコクリとしていたようです。
 気が付いたときには、私は早紀のベッドに寝かされていました。見るとテーブルはきれいに片付けられ、椅子に座った二人が抱き合ってキスをしています。私は、驚いて目を瞑りましたが、今度は薄目を開けて二人の様子を見ていました。
 二人のキスは、長く続いています。お互いに相手の乳房に手を当て、撫でています。私は、胸が高鳴っていました。世の中にレスビアンの人達がいることは知っていましたが、実際に見るのは初めてです。
 私は、見てはいけないように感じました、よく考えてみると、私がいることを知って愛し合っているのかも知れません。二人だけで愛し合いたいのなら、私まで呼ぶ必要はありません。私は、ウウウーッと唸り声を出すと、大きく寝返りを打ちました。
 二人がこっちを見ました。
「大丈夫、気分はどう?」
声を揃えて言いながら、私の寝ているベッドの方にやって来ました。
「ええ、大丈夫。でもさっきは地球が回っているのを身体で感じたわ。」
「冗談が言えるなら、もう大丈夫みたいね。」
「あなた達、レスビアンなの?」
「見ていたのね。どう思った?」
「どうって・・・、でも見るのは初めてだわ。」
「ねえ、京美もしてみる?」
「・・・・・」
「女同士も良いものよ。」
 そう言うと、早紀が私にキスをしました。私は、黙ってキスを受け入れました。その様子を見ていた友里が、私の胸に手を当てると、乳房を撫でます。私の身体に、痺れるような快感が走りました。高校時代、芳浦先輩とお互いの身体を愛撫し合ったことはありましたが、それとは違った感覚です。芳浦先輩のは男の荒々しさがありましたが、二人のキスと愛撫は柔らかくて優しいものでした。私は、いつしか陶酔の世界に入っていました。
 二人の愛撫は、次第にエスカレートしていきました。最初は、ブラウスの上から撫でていた友里の手が、ブラウスの中に入って来ます。直接、乳首に触れると、思わず声を出していました。
「京美、どう?」
「気持ちいいわ。」
 その日は、長い時間をかけましたが、キスと胸への愛撫で終わりました。
夕方になって、「またしましょうね。」と言って、友里と私は早紀の家を出ました。
                ―続く―







2021/05/01 5:22:40|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−10−
恋盗人(こいぬすびと)−10−
 
 高校2年の夏休み頃まで、私と芳浦先輩のデートは続きました。デートと言っても、学校帰りに一緒に喫茶店に行ったり、芳浦さんの家に勉強を教えてもらうという名目で遊びに行ったりしているだけでしたが。キスや愛撫はするものの、それ以上のことはありませんでした。家に行っているとき、芳浦さんの方から何度か求められましたが、それは断りました。そんなとき、私は手でしてあげました。
 夏の合宿が終ると、芳浦さんは本格的な受験勉強に入り、次第にデートの回数は減って行きました。
 高校3年の夏の合宿が終ると、私も受験勉強に本格的に取り組まなければなりません。女子大と共学の私大の両方を受けることにしていました。私自身は、どっちでも良かったのです。さすがにこの時期は私も必死で勉強をしました。大学生になっていた芳浦先輩からは、たまにメールが来ていましたが、私は返事もしなかったので、いつしか連絡も来なくなっていました。
結局、大学は両方共受かり、迷った末に共学の私大に行くことにしました。共学とはいっても文学部なので女子が多く、大きな違いはないように思いました。
 キャンパスは池袋にありましたので、家から通うことができます。私のいる英文学科は15人ほどで、11人が女子学生でした。入学するとすぐにクラブ活動の勧誘がありました。テニス部の見学に行きましたが、さすがに大学の部活はレベルが高く、入部は諦めました。
 キャンパス生活は楽しいものでした。高校時代と違って、部活をしないので、時間も自由ですし行動も自由でした。通学は、電車で1時間ほどです。授業は、大抵午後3時には終わります。
 そんな中で、山口県から来たという早紀と、京都から来た友里と仲良くなりました。私達は、よく3人で一緒に行動しました。授業が終わると喫茶店でお喋りをしたり、町を散策したりしました。私は、早紀や友里の故郷の話を興味深く聞いていましたし、彼女達を池袋や新宿、渋谷などの町を案内して歩きました。彼女達は珍しそうに景色を眺めていました。
 早紀も、友里も、大学から比較的近いところにマンションを借りて住んでいました。
 ある日、早紀が、自分の部屋に来ないかと言いました。夕食を一緒にしようと言うのです。私も友里もすぐに賛成しました。一緒に材料を買い込んで、一緒に料理をするのです。何にしようかと相談した結果、3人とも難しい料理はできないので、簡単なステーキとサラダを作ることにしました。
 早紀の部屋は、8畳ほどのワンルームマンションでした。部屋には、机と本棚、ベッドや組み立て式の衣装ケースなどがあり、その奥がキッチンと浴室になっています。
 一緒に料理をするのは、楽しいものでした。早紀も友里も、一人暮らしなので料理はよく作っているようで、それなりに手際よくしていますが、私は不器用です。そんな私の様子を、二人はおかしそうに見ていました。
 料理が出来上がり、私と友里がテーブルに並べていると、早紀が「お肉だから、赤ワインがいいわね。」と言いながら、ワインを持って来ました。
 私は、お酒を飲むのは初めてです。乾杯をしてから、ステーキを食べていると、身体が熱っぽくなって来ました。
                ―続く―







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