男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/05/14 5:46:06|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−23−
恋盗人(こいぬすびと)−23−
 
 私は、苦しそうな声を出しながら、寝返りを打ちました。
「気分が悪いのかい?」
新関GLは、そう言いながら私の顔を覗き込むようにしました。
 そのとき私は、彼の首に抱き着いて言いました。
「リーダー、好きです。」
「き、君!」
「私、リーダーを好きなんです。」
彼は、当惑したようですが、決して拒みはしませんでした。こういうとき男性がどんな気持ちでいるかは、私もわかっているつもりです。
「脱がせてください・・・・・」
私は、そう言って身体をベッドに仰向けになって両手を広げました。
 彼が、ゆっくりと私のスーツのボタンを外し始めます。私は、目を瞑って僅かに触れる彼の手の感触を味わっていました。ブラウスのボタンを外し終わったところで、「三崎君!」と私の名前を呼ぶと、いきなり私の胸に頬をこすり付けて来ました。私は、無言のまま首をのけ反らしていました。酔っていることを装っているのですから、他にどうして良いかわからなかったのです。彼が、ブラジャーをずらせて乳首にキスをしました。酔った私の身体に快感が走ります。
「ううっ・・・」
私の口から、思わず声が出ていました。
 新関さんは、上着とズボンを脱ぐと、私の隣に身体を横たえました。そして舌と手で私の全身を愛撫しています。さすがに既婚者、その愛撫は今までに受けたことがない上手さです。
 その夜、私達は結ばれました。彼は、何度も愛してくれました。
「リーダーって、本当にタフなのですね。」
「それは、君が魅力的だからさ。」
「でも、リーダーには奥様がいらっしゃいます。」
「それは、君も承知だったんだろう。」
「ええ、そうです。私、リーダーに結婚を迫ったりしませんからご安心ください。」
「それを聞いてホッとしたよ。また、こうして逢ってくれるかなあ。」
「でも、あまり頻繁だと、疑われますわ。」
「そうだね、だからバレない程度に逢おうよ。」
「いいですわ。よろしくお願いします。」
私は、そう言って彼にキスをしました。
 新関さんは、隣の部屋を取っていたようですが、結局、私のベッドで一夜を過ごしました。私は、彼の腕枕で満たされた気持ちでした。彼の奥さんに会ったことはありませんが、まさに彼女に対してしてやったりの気分でした。今までは恋人から奪っていたのですが、今回は奥さんから奪ったのです。そのことだけで十分に興奮していたのです。
                ―続く―







2021/05/13 5:43:25|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−22−
恋盗人(こいぬすびと)−22−
 
 二人は、グラスを手に持って乾杯しました。
「今日は、遅くまで付き合ってくれてありがとう。」
「いいえ、リーダーもお疲れさまでした。」
「お客さんとの交渉など、営業の仕事は面白いけど、数字を弄ぶような事務の仕事は嫌いというか苦手なんだ。お陰で助かったよ。」
「お役に立てて嬉しいです。」
 時計は11時近くになっています。私は、お手洗いに立った時、母親に「今日は残業で遅くなる。もしかしたら泊りになるかも知れない」とメールを入れておきました。
 お手洗いから帰って来ると、新関GLは待っていたように私のワイングラスにワインを注いでくれました。
 私は、お酒が強くありません。ワインを3、4杯も飲めば眠くなってしまいます。自分でもよくわかっていますので、普段は控えめにしていました。
 私は、ステーキを食べながら、ゆっくりとワインを飲んでいました。お腹が空いているので、ステーキもワインもとても美味しく感じ、ワインによる酔いとともに時間が遅いことも忘れていました。
 そのとき、ウエイターがやって来て、「お飲み物のラスト―オーダーの時間です」と言いました。
「あっ、もうこんな時間だ。そろそろ帰ろうか。」
時計を見た新関GLがそう言ったので、立ち上がろうとした私はよろめいてしまいました。足がふらつくのです。
「大丈夫かい?」
「はい、だいじょうぶ・・・」
どうやら舌も縺れているようでうまく話せません。
「本当に大丈夫かなあ・・・」
私は、心配そうにそう言う彼の肩に掴まって凭れかかっていました。
「弱ったな。これじゃあ帰れないなあ。タクシーで帰っても、寝込んじゃったら大変だしなあ、今日はホテルにでも泊まるかい。」
私は、返事もできずに頷いていました。
 新関GLは、ホテルに電話をして空部屋があることを確認すると、タクシーを拾って近くのシティホテルに連れて行きました。私は、タクシーを降りるときも、身体を支えられていました。
 ホテルに着くと、私をソファに座らせてチェックインの手続きをしています。そこからは、新関GLとボーイに助けられて部屋に行きました。私をベッドに寝かせると、ボーイは出て行きました。
「水でも飲むかい?」
私の苦しそうな様子に、彼は帰るに帰れないようですが、女の私の扱いにもどうして良いか困っているようです。
「う〜ん、困ったなあ。このままじゃスーツも皺になるだろうし・・・」
 彼は腕組みをしたまま、ベッドサイドに立っていました。
                ―続く―







2021/05/12 5:14:36|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−21−
恋盗人(こいぬすびと)−21−
 
 次の月曜日、私は早速そのことを河城さんに話しました。案の定、彼は嬉しそうにしていました。
 さらに次の日の朝、河城さんが言いました。
「ありがとう、君のお陰で早速彼女とデートの約束ができたよ。」
私は、いつの間にそんな約束をしたのかと思いましたが、おそらく仕事と同じ調子でかなり強引に約束を取り付けていたのだと思いました。
 その後も、彼女との様子を話してくれていましたが、話ではけっこううまく行っているようでした。
 河城さんが、出張で不在にしているときのことです。新関GLが遅くまで残業をしていて、私も仕事のお手伝いをしていました。来期の売り上げの見積もりの提出期限が迫っていたのです。私は、計算を手伝いながらコーヒーを出してあげていました。彼は、何度も「もう帰っていいよ。」と言いましたが、なかなか大変そうなので帰る気になれませんでした。
 時計は9時を回りました。
「リーダー、まだ時間がかかりそうですか。」
「うん、もうちょっとだから、君は帰っていいよ。明日は休みだし、デートでもあるんじゃないかい?」
「いいえ、そんなのはいません。お仕事のお手伝いをしたいのですが、それよりお食事はどうかと思いまして。コンビニで弁当か何か買って来ましょうか?」
「そうだねえ、腹も減ったね。じゃあ、これを片付けたら一緒に食事にでも行こうか。」
「あっ、はい。でも、いいんですか。リーダーは、奥さんが夕食を作って待っておられるのじゃないですか?」
「アハハッ、そんなことはないよ。いつも夕食は不規則だから、家に帰っても夕食なんかないんだよ。」
「じゃあ、いつもはどうしているのですか?」
「うん、適当に飲んだり食べたりしてから帰っているんだ。もっともお客さんが相手のときが多いけどね。」
「お客さんが相手のときは大変でしょうね。」
「そうだねえ、飲んでも飲んだ気はしないね。たまには、ゆっくりと飲みたいよ。」
 私は、チャンスだと思いました。密かに新関GLに憧れを抱いていたのです。彼の奥さんが、魅力的な人だったと聞いた時から、奥さんに対する対抗心のようなものが芽生えていて、それが新関さんへの憧れになっていたのです。
 10時になって、仕事も一段落したようで、彼が言いました。
「さて、今日はこれまでにしておこうか。遅くまでありがとう。さあ、食事にでも行こうか。」
私は、大きな声で「はい!」と言うと、急いで着替えを済ませました。
 会社を出ると、新関GLがタクシーを拾い、一緒に乗り込みました。着いたのは渋谷の近くのレストランでした。
「ここはステーキが美味しいんだけど、君は、肉は大丈夫?」
「ええ、何でもいただきます。」
新関GLは、ステーキと一緒にワインを頼みました。出されたワインは、銘柄を知らないものですが、高級そうなものでした。
                ―続く―







2021/05/11 5:38:07|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−20−
恋盗人(こいぬすびと)−20−
 
 次の日から、私は、受付嬢の美香さんの前を通るときは、意識して顔を合わせて挨拶をするようになりました。彼女も、笑顔で会釈を返してくれます。
ある定時退社の日、偶然美香さんと帰りが一緒になりました。
「お疲れさまでした。」
「お疲れさまでした。」
二人は、同時に挨拶を交わしました。私は、チャンスとばかりに話し掛けました。
「私、営業の三崎です。平野さん、今日はこれから何か用事がありますか?」
「ええ三崎さんは知っています。特に用事はありませんが、何か?」
「食事でもご一緒していただけませんか。私、一度平野さんとお話がしたかったのです。」
「いいですわ。どんなお話でしょう。」
「ちょっとここでは・・・。難しい話でもないのですが、簡単に申し上げられる話でもないのです。」
「わかりました。」
そうは言ったものの、彼女はまだなぜ私に誘われたのか、腑に落ちないような顔をしていました。
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
私は、そう言って、半ば強引な感じで駅の近くにあるレストランに連れて行きました。
「すみません。無理やりお誘いして。」
「とんでもない。私こそ、嬉しいですわ。」
私達は、パスタとワインを頼みました。
 私が言いたいのは河城さんのことですが、どこから切り出して良いかわかりません。
「受付の人って、きれいな人ばかりで私達の憧れの的なんですよ。」
「営業の人こそ、憧れですわ。だって、皆さんエリートですもの。」
「うちの新関GLの奥さんも、受付の仕事をされていたんですよね。」
「彼女は、私の前任者です。あの大恋愛は、社内でもしばらく噂になっていました。彼女はラッキーだったと、私達はよく話していました。」
「男性で、平野さんに憧れている人も多いんですよ。」
「あらっ、冗談でしょう。私なんか三流大学出ですし、営業の皆さんはみんなエリートですもの。」
「いえ、本当です。はっきり言うと河城さんで、私の部署の人です。」
「まあ・・・」
「でも、彼は言い出せなくて一人悩んでいたのです。私が、無理に聞き出してわかりました。また平野さんには既に恋人がいると聞いてがっかりしていました。」
「あゝ、あれですか。私も、あの噂には迷惑しています。高校の同級生が出て来たので、一緒に食事をしただけですわ。」
「そうだったのですか。恋人じゃなかったのですね。」
「そうよ、いい迷惑だわ。」
「ねえ、このことを河城さんに話していいかしら。」
「ええ、いいわ。彼、真面目そうな人ですわね。」
 私は、河城さんが喜ぶ顔が目に浮かぶようでした。
                ―続く―







2021/05/10 5:20:10|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−19−
恋盗人(こいぬすびと)−19−
 
 食事は、楽しい雰囲気のもとに進んで行きました。部屋の雰囲気と上司と一緒で緊張気味の私を女将が上手にとりなしてくれています。多分、接待で使っている店で、常務と女将とは馴染みの仲なのでしょう。
 帰りは、タクシーで送ってくれましたが、タクシーを待っている間に常務が言いました。
「君の配置希望のことは承知した。すぐというわけには行かないが、いずれ考えておくよ。」
 それから1年ほどしたときです。春の異動で、私は営業部に配置されることになりました。常務が約束を守ってくれたのです。辞令が出たらすぐに、私は常務にお礼を言いました。
 一方、営業の響子は、総務に来るようになっていました。入れ替え人事だったのです。営業に行くと決まったとき、得意顔だった響子が、がっかりしている様子が目に浮かぶようでした。
 営業部では、取敢えず新関GL(グループリーダー)の下で、先輩の河城さんと一緒に彼の仕事のお手伝いをすることになりました。新関さんは、アメリカへの工作機械の輸出を担当していました。けっこう大きな商談です。私は、河城さんに仕事を教わりながら、仕事をしていました。
 河城さんと一緒に昼食をしているとき、彼が言いました。
「新関さんって、社内結婚なんだよ。彼の奥さんは、受付嬢をしていて、大恋愛の末に一緒になったらしいと、当時、社内では評判だったんだ。何しろ、イケメンと美女の恋愛だから、みんな噂をし合ったそうだよ。」
「そうなのですか。河城さんには、そのような話はないのですか。」
「残念ながら、まだないね。取り敢えず仕事を覚えなくてはならないしね。」
「今の受付嬢の平野美香さんはどう。あの人もきれいよ。」
「確かにきれいだけど、彼女には既に恋人がいるってもっぱらの噂なんだ。」
「あらっ、噂なんて諦めることはないわ。先輩は、彼女のことを好きなのでしょう。」
「そうだね。確かにきれいだし、優しそうだものなあ。」
「じゃあ、アタックすれば良いじゃないですか。最初から諦めるなんて、男らしくないですわ。」
「そうは言ってもねえ。話をするきっかけさえないんだ。」
「ところで、彼女は何歳になるのでしょうか。」
「確か、27歳だと思うよ。」
「先輩は30歳でしょう。ちょうど良いじゃないですか。私、応援しますから、頑張ってくださいよ。」
「うん・・・」
 河城さんは、普段の仕事ではけっこう押しも強いのですが、女性に対しては弱気のようでした。私は、何とかこの先輩の力になってあげたいと本気で思っていました。
 それと共に、今の奥さんと大恋愛をしたという新関GLにも私は深い関心を抱いていました。
                ―続く―







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