男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/05/24 5:04:52|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−33−
恋盗人(こいぬすびと)−33−
 
 向かい合って座っているので、飯塚さんからは私の胸が正面に見えています。私の胸を、ときどきチラッと見ては目を逸らしています。私は、そんな飯塚さんの気持ちを察して、恥ずかしがらせないように、ビールを注ぎながら話を続けました。
「飯塚さんは、どちらのご出身ですの?」
「山梨の甲府の田舎です。農家の次男坊なんですよ。」
「甲府、良いところですわね。あの辺りは、見どころも多いのでしょう。」
「そうですね、山や渓谷がきれいです。特に新緑や紅葉のときはきれいです。行かれるなら、その頃がお勧めです。」
「そうですね、ぜひ行ってみたいですわ。」
 飯塚さんは、相変わらず私の胸に目をやっていました。その度に、ビールを飲み干しています。私は、またビールを注いであげました。
「飯塚さんって、素敵ですわね。明美が羨ましいですわ。」
「お姉さんこそ、きれいで素敵です。恋人とかいらっしゃるのでしょうね。」
「いいえ、そんな者はいませんわ。うちの会社は仕事、仕事で、それどころじゃないんですよ。」
「そうですか。こんな素敵な女性を放っておくなんて、酷い会社ですねえ。」
 ビールのせいか、飯塚さんはいつの間にか饒舌になっていました。
「でも、飯塚さんのような素敵な男性がいたら、きっと私の方から恋人志願していると思いますわ。」
「僕だったら、決してお姉さんみたいな人を放ってはおきませんけどねえ。」
 そんな話をしているうちに、「ただいま〜!」という大きな声がして、妹の明美が帰って来ました。
「今日は、何を作るの?何を買って来たの?」
「うん、素麺よ。暑いときは、素麺がいいと思って。つまみ用のお刺身とか生ハムもあるわ。それにアボガドも買って来たの。あれ、お酒のつまみにも美味しいわよね。デザートも買って来たわよ。」
「そう、何か手伝うことある?」
「いいわ、お姉ちゃんは満さんのお相手をしていて。」
「わかった、手伝うことがあったら言って。」
 明美は、台所で買い物の袋を開きながら、料理に取り掛かっているようでした。しばらくすると、アボガドを添えた生ハムと刺身をテーブルに持って来ました。
「あなたも飲んだら。素麺は後でいいと思うわ。」
「そうね。私もいただくわ。ところで、二人は私の留守中、何の話をしていたの?」
「ううん、どうってことない話よ。飯塚さんの出身地のこととか。」
「あたしの噂をしていなかった?買い物の途中でくしゃみが出て困ったわ。」
「ウフフッ、そんなことしていないわよ。それこそ飯塚さんは、あなたのことを褒めていたけど。」
「あらっ、どんな風に?」
「とても優しいって。」
「そう、それだけ?」
「そうよ、それ以外に何か言って欲しかった?」
「ううん、そうじゃないけど・・・」
 明美の言葉には、何か彼女の心に引っかかるものがあるようでした。
                ―続く―







2021/05/23 5:25:40|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−32−
恋盗人(こいぬすびと)−32−
 
 突然、飯塚さんと二人きりで取り残されて、私は戸惑いました。何を話して良いかわかりませんし、話題も見つかりません。それに満さんはおとなしい性格のようで、あまりその場を上手に取り繕う会話のできる人ではなさそうです。
 私の方から、ビールを注ぎながら、話し掛けました。
「飯塚さん、明美は学校でどうなのでしょう。真面目にやっていますか?」
「明美さんは真面目です。授業中にジョークを飛ばしたりして、生徒の間でも人気みたいです。」
「飯塚さんは、数学の先生ですよね。数学って難しいでしょう。私は、昔から数学が苦手です。女子高で数学を教えるって難しいのでしょうね。」
「そうですね、本当に理解してくれているのは半分くらいかも知れません。」
「飯塚さんは、明美と付き合う前にも恋人とかいらっしゃいました?」
「いいえ、女性として付き合うのは明美さんが初めてです。」
「女子高なら、女生徒がたくさんいて、男性にとってはいいんじゃないですか?」
「そうでもないです。女生徒は大変です。誰かとちょっと目が合っただけで、依怙贔屓しているなんて言われますから。」
「そうかも知れませんわね。飯塚さんはハンサムですから、きっとみんなの噂の的になっているんですわ。」
「そんなことはありませんが、とにかく女生徒を相手にするのは大変です。」
「明美はどうですか?」
「彼女は優しいです。」
「女子高だと、女性の先生も多いんじゃないですか?」
「そうですね、43人の先生の中で、31人が女性です。」
「先生は、先生達にももてるのでしょうね。」
「いいえ、多くは結婚していますし、独身の人は気が強くて大変です。そんな中で明美さんは優しいです。」
「そうね、あの娘は昔から優しいところがありますわ。学校の頃から友達も多かったようです。」
「お姉さんは、商社にお勤めでしたね。商社の仕事って大変なのでしょうね。」
「そうですね、男社会ですから、それなりに大変です。でも、慣れればそうでもないです。」
「英語なんか、ペラペラなんでしょう。」
「そうでもないですけど、英語で仕事をしなければならない場面は多いですわ。」
「羨ましいなあ。僕は、昔から英語が苦手です。」
 話を聞いていると、二人の違いがよくわかります。飯塚さんは女性社会の中の男性で私は男性社会の女、得意は数学と英語の違いです。話をしながら、ビールを注ぎ合っていました。
 私は、話をしながらも飯塚さんの目が時々私の胸に注がれているのに気が付きました。その日、私は胸の開き気味のTシャツを着ていて、ブラジャーはしていませんでした。
                ―続く―







2021/05/22 5:07:12|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−31−
恋盗人(こいぬすびと)−31−
 
 私の、人が持っているものを欲しがるという欲望は、病的と言えるでしょう。自分でもそれはわかります。子供の頃は人の持っている玩具などがその対象でしたが、大人になってからは知人女性の交際相手の男性が対象になったのです。私自身は、性的な欲望が強いわけではなく、性交渉がないからと言って、それで欲求不満になるようなことはありません。しかし、人の夫や恋人となると、奪いたくなるのです。自分でもいけないこと、恐ろしいことだと思いますが、欲望の前で自分の気持ちに抗うことができなかったのです。
 さすがに新関さんや河城さんとの関係は、その後長くは続きませんでした。二人と身体の関係を持っていることを、どっちに知られても困りますし、家庭や恋人関係を壊す可能性があるので、私の方から遠ざかるようにしたのです。
 5年の歳月が流れ、私も大きくは無いけどひとつの商談を任せて貰えるようになっていました。新関さんは、アメリカ駐在に転出し、河城さんがグループ・リーダーになっていました。そして新入社員の藤野君がグループに入って来ました。
 性的な欲望が強くはなくても、たまに男が欲しいと思うことはあります。そんなときは、藤野君を相手にしていました。お互い独身という自由な立場なので、そういう意味では逢うのも気楽です。軽い気持ちで逢って、それぞれが肉体的な欲望を満たす、それだけの関係でした。その点、藤野君もこだわるようなこともなくさっぱりしていました。
 妹の明美は、学校を卒業してから、都内の私立女子高の英語教師をしていました。ある夏の休みの日、私が2階の部屋でテレビを見ながら過ごしていると、階下で人の声がしました。両親は知人の葬儀だと言って朝から出掛けていましたから、家にいるのは私と明美だけのはずです。私は、何事かと思って階下に降りてみると、玄関のところに明美と男性が話をしながら立っていました。男性は、背の高いなかなかの好男子です。男性の目配せで私に気が付いた明美が慌てて言いました。
「あっ、お姉ちゃん。この人、飯塚さん。私の学校の数学の先生なの。」
「飯塚です。お邪魔します。」
「明美の姉の京美です。いつも明美がお世話になっています。」
 どうやら以前から両親に紹介するために呼んでいたみたいなのですが、両親が急な葬儀で出掛け、空振りになってしまったのです。
「お姉ちゃん、私がお茶を淹れるから、一緒に飲まない。」
「二人でお喋りでもして。私が淹れてあげるわ。」
そうは言ったものの、ちょっと考えなおしました。
「ねえ、明美。飯塚さんはお酒が飲めるのでしょう。お茶より、ビールの方がいいんじゃないの?」
「そうね、満さんはどう?」
明美が聞くと、飯塚さんは頭をかきながら頷いています。私は、冷蔵庫からビールを取り出してテーブルに運びました。
 つまみが何かないかと思ってみるのですが、チーズ以外にありませんし、昼が近付いているのに昼食の食材もありません。切ったチーズと野菜のスティックを出しながら、明美に言いました。
「ねえ、これしかないんだけど、あなた達、昼ご飯はどうする予定なの?」
「私が料理を作るって約束なの。私、買い物に行ってくるから、お姉ちゃん、悪いけど満さんの話し相手をしていてくれない。」
 そう言って台所に行き、買い物かごを手にすると、急ぐように駆け出して行きました。
                ―続く―







2021/05/21 1:40:27|その他
恋盗人(こいぬすびと)−30−
恋盗人(こいぬすびと)−30−
 
 枕元で、新関さんが「大丈夫かい?」と言います。
「ええ、大丈夫ですが、ここはどこでしょう?」
「アハハッ、僕の家だよ。酔ったみたいだね。水を飲んだらいいよ。」
 そう言って、枕元に置いてあった水差しからグラスに水を注いで差し出してくれました。私は、水を飲んでやっと昨夜のことを思い出していました。
 私が水を飲み終えると、彼が私に覆いかぶさるようにキスをしながら、布団の中に手を入れて来ました。
「あっ、いけません。美鈴さんが・・・」
「美鈴は、飲んで寝ると、何があっても目を覚まさないんだよ。」
彼は、そう言って、手を乳房に伸ばして来ました。
「でも・・・」
「大丈夫、あれは決して目を覚まさないよ。僕は、君が好きなんだ。」
彼は、私の耳元でささやきながら、乳房への愛撫を続けました。
「でも・・・」
 私は、そう言いながらも彼の手を拒んではいませんでした。胸に快感が走ります。同じ家の中に美鈴さんがいると思うだけで、今までにない興奮を覚えていたのです。
 そう言ったものの、新関さんは、美鈴さんのことが気になっているのか、早めに愛撫を終えて私の中に入って来ました。お酒のせいか、彼はなかなか終わりません。私は、彼の物に手を添えて彼が行くのを助けてあげました。やっと終わったときには、30分以上過ぎていました。
 彼は、私の身体をティッシュペーパーできれいに拭くと、そのままトイレに行ってから、美鈴さんのところに戻ったようでした。
 朝、目が覚めると、夕べの痕跡が残っていないかと気になって、窓を開けて空気を入れ替えました。8階の部屋からは、朝日に輝く富士山が見えています。台所からは、美鈴さんが包丁を使っている音が聞こえていました。
 私は、着替えと洗顔を済ませると、軽くお化粧をしてから台所に行きました。
「おはようございます。」
「おはようございます。昨夜は、よく眠れました?」
「は、はい。ぐっすりと。」
私は、美鈴さんが昨夜の私達のことに気が付いていない様子なのを知って、ホッとしていました。
「お手伝いをしましょうか?」
「そうね、じゃあ、これをテーブルに運んでください。」
私は、言われる通りに、トーストとハムエッグをテーブルに運びました。
 料理を運び終えたところに、起きて来た新関さんがリビングに入って来ました。
「おはよう!」
新関さんは、そう言いながらウィンクをします。
「おはようございます。」
私は、大きな声で挨拶は帰したものの、美鈴さんに対して何となく後ろめたくて、食事中はずっと俯き気味でした。
                ―続く―







2021/05/20 7:09:12|小説「恋盗人」
恋盗人(こいぬすびと)−29−
恋盗人(こいぬすびと)−29−
 
 鍋が煮立って来ました。良いにおいがしています。私は、相変わらずお酒は弱く、他の人のようにいきなり飲むと、すぐに眠くなってしまうので、もっぱら食べる方に回っていました。鍋は出汁のよく効いた味付けで、美鈴さんの料理のセンスの良さが伺えます。シンプルな味付けほど難しいとは、母が良く言っていたことでした。受付嬢をしていたとは思えないくらい主婦になっていたのです。
 男性達は、もっぱら飲むのに忙しそうです。ビールは、やがてワインになっていました。美鈴さんや美香さんも、ワインを飲んでいます。美香さんはゆっくりですが、美鈴さんはけっこう強そうで、なかなかのペースで飲んでいました。お酒が進むに従って、二人は仕事や、顧客の人物評価の話をしていて、やがて社内の人達のうわさ話などをしています。女性も社内の人間なので、それに加わっていました。
 新関さんも河城さんも、勧め上手で、こまめに女性達のグラスにワインを注いでいました。
 賑やかに会話が進んでいます。そのとき、私の膝に新関さんの手が置かれました。私は、驚いて新関さんの顔を見ましたが、彼は何事もないように話を続けています。彼の手が、ゆっくりと私のミニのスカートから出た膝を撫でていました。私も、何食わぬ顔で話に加わっていました。しばらくすると、今度は河城さんの手が、私の膝に置かれました。彼も同じように、何食わぬ顔でゆっくりと私の膝を撫でています。
 両膝に二人の手が置かれ、私は美鈴さんや美香さんの顔をまともに見るのは気が引けましたが、何事もないような顔をしていましたし、何と言っても二人に対する優越感のようなものを感じていました。
 あっという間に時間が過ぎて行きます。時計を見ると11時を回っていました。「そろそろ失礼しようか。」と河城さんが美香さんに言いました。美香さんも頷いています。
 私が立ち上がろうとして、身体がふらつきました。あまり飲まないつもりでも、長い時間の間に勧められるままにけっこう飲んでいたようです。
「大丈夫かい?」
新関さんが、心配そうに言いました。私は、「大丈夫です。」と言ったものの、身体のバランスが取れません。ふらつく私の身体を、河城さんが支えました。
「大変だったら、泊って行ってもいいよ。」
新関さんが、美鈴さんの方を見ながら言いました。美鈴さんも頷いています。
「すみません。そうさせていただいていいですか。」
私は、襲われる眠気をこらえながらそう言っていました。その間に、美鈴さんが和室に布団を敷いてくれていたらしく、私は新関さんに身体を支えられながら、布団に行き、横たわりました。河城さん達は、その間に帰っていたようです。
 美鈴さんが、私のワンピースを脱がせて、パジャマを貸してくれました。やっとのことで、着替えを済ませると、そのまま深い眠りに落ちました。
 深夜のことです。ふと目覚めると、横に新関さんが座っていました。私のぼんやりとした目と彼の目が合いました。
                ―続く―







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