妖精の歌−02− 美鈴も、私の会いたいというメールに、すぐにOKの返事をくれました。 美鈴は、土曜日は仕事が多く、その代わりに平日に代休をとることが多いというので、美鈴が休みの日に合わせて私も休暇を取って会うことにしました。 その日からの私は、夢のような毎日でした。美鈴に会える、そのことで人生がバラ色のように思えてきていました。バラのような毎日の間にも、私は美鈴とメールで連絡を取り続け、会う時間と場所を相談しました。その間私はメールの中で、美鈴を女として意識しているような表現は極力避けるようにしていました。自分ではサラリとした表現のつもりですが、美鈴がどのように受け取ってくれているかはわかりません。 約束の日が次第に近づいて来ます。それとともに、期待感の反面、私は一種の不安のようなものを感じるようになっていました。美鈴と会うのはいいけど、会って嫌われたらどうしよう、美鈴はまだ若いし夢見る乙女なのに目の前にこんなおじさんの姿を見て失望されたらどうしようなどと不安が募ってきます。 しかしとうとう約束の日がやって来ました。私達は新富士の駅で朝の9時過ぎに会うことにしていました。今日は日帰りの出張だということにして家を出て、東京駅に出て新幹線に乗り、新富士まで行きます。新富士に着いて改札口で見渡すと、手を振ってくれる女性がいました。とても清楚な感じの女性です。初めて会うのに、私はそれが美鈴だとすぐにわかりました。 「美鈴さん。はじめまして。三橋です。」 「はじめまして、美鈴です。」 お互いに遠い親戚に久し振りに会ったような、親しそうで他人行儀なちょっと不自然な挨拶でした。 「美鈴さんって、こんなに素敵な人だったんだ。」 私が、間を持たせるように言います。 「いつも楽しいメールをありがとうございます。」 美鈴が、上手に合いの手を打ってくれます。 「じゃあ、どこかその辺でコーヒーでも飲もうか。」 「もし良かったら、どこかドライブでもしません?私、車で来ていますから。」 「いいね、でもどこがいいだろう。私は、この辺はあまり知らないのです。」 「じゃあ、私が案内しますわ。富士山に行って見ましょう。それに富士急ハイランドは平日なので空いていますけど。」 「遊園地か、それもいいね。子供に返ったような気持ちになれるしね。」 話はすぐに纏まりました。 ―続く― |