男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/09/03 5:59:08|小説「パピーの冒険」
パピーの冒険―04―
パピーの冒険―04―
 
 メリーは、愛想のない返事をします。
「あなたよりは年上だわ。」
「もう飼われて長いの?」
「きっとあなたより長いわ。」
「ねえ、いつもこの辺を散歩しているの?」
「たまによ。」
 そんな調子で、話が続きません。僕は、愛想のない女の子だと思いました。仕方なくさっちゃんの足のところに戻ります。
さっちゃんと男の子の方は、話に夢中のようです。
 しばらく話していましたが、さっちゃんが「もう帰らなくっちゃ、お母さんが心配するから。」と言いました。
「そうだね、明日もこの辺を散歩するの?」
「ええ、幼稚園から帰ってからね。」
「そっか、僕もその頃来るよ。でもどこの幼稚園に行っているの?」
「ひまわり幼稚園よ。」
「じゃあ、僕とおんなじだ。でも気が付かなかったよ。」
「わたしも、じゃあ、明日幼稚園に行けばわかるね。」
「じゃあね。」
 そう言って二人はそれぞれ反対の方向に帰って行きました。僕は、メリーの方を見て挨拶をしようと思いましたが、メリーはこっちを振り向くでもなく男の子にじゃれながら歩いて行きました。
 昼間は退屈です。僕は、さっちゃんが帰って来て散歩に連れて行ってくれることを楽しみに待っていました。メリーに会えるからです。でも、どうしてああ愛想がないのか、僕のことを嫌いなのかと気になっていました。
 お昼過ぎに、さっちゃんが帰って来ました。僕は、さっちゃんのところに駆けて行って足にじゃれました。さっちゃんは、「待って、カバンを置いて着替えたら、すぐにお散歩に連れて行ってあげるからね。啓太君、来ているかしらね。」と言いました。あの少年の名前は啓太というようです。
 さっちゃんは、着替えるとすぐに出て来ました。僕を鎖に繋いで、早速昨日の公園に向かいます。僕は、さっちゃんの前になったり、ときどき草むらのにおいを嗅いだりしながら歩いて行きます。何といっても散歩の時間が一日で一番楽しい時間です。さっちゃんは、ちょっと急ぎ足に歩いていました。
 公園に着くと、もう啓太君とメリーは来ていました。
「来てくれたんだね。」
男の子が、さっちゃんに言いました。
                   ―続く―







2021/09/01 7:09:39|小説「パピーの冒険」
パピーの冒険−03−
パピーの冒険−03−

 お母さんは、僕を床に下ろすと急いで散らかっている物を片付けながら言いました。
「まあ、駄目じゃない。今から、しっかり躾けなきゃならないわね。こんなことをしちゃ、駄目なのよ。」
そう言って、僕の前に散らかっている物を並べて、僕を叩きました。
「いい、悪戯をするとこうなるのよ。」
何度も何度も叩きました。
 そんなことが何度かありました。庭の花壇で暴れたり、ホースを引っ張って穴を開けたりしたときも叱られました。その都度、叱られたり叩かれたりしました。またうんちやおしっこも厳しく教えられました。しばらくはそんなことが続きましたが、すぐに慣れて1か月もすると叱られることはあまりなくなりました。少なくともお母さんのいるところでは、悪戯はしなくなりましたが、一人で留守番をしているときには、悪戯心が頭をもたげて来ます。
 もうひとつ、庭の外に出ることも厳しく禁じられました。外は道路になっていて、たまに車が通ります。
 さっちゃんが帰って来ると散歩に連れて行ってくれますし、休みの日にはお父さんとさっちゃんが、そしてたまには家族3人で散歩に連れて行ってくれます。散歩の時間は、僕にとって一番楽しい時間です。家族と一緒に歩いているだけでも楽しいのですが、他にも散歩している犬達に出会うことも楽しいのです。
 あるとき、さっちゃんと散歩をしていると、向こうからテリアを連れた男の子がやって来ました。男の子は、さっちゃんと同じくらいの歳です。男の子が、さっちゃんに話し掛けました。
「ねえ、君の犬、可愛いね。」
「ええ、パピーっていうのよ。あなたのは?」
「うん、メリーって言うんだ。テリアだよ。」
 二人は僕達のことを褒めたり、自慢し合ったりしています。でも僕の関心があるのはメリーと呼ばれた犬の方です。彼女も僕と同じくらいの歳でしょうか、まだ子供です。僕が、近付いてクンクン匂いを嗅ぐのですが、メリーの方はちょっと迷惑そうな素振りをして、男の子の後ろに隠れてしまいます。僕が、メリーの方に行こうとすると、さっちゃんが鎖を引っ張りました。
 仕方なく、僕はさっちゃんの足元からメリーに話し掛けました。
「ねえ、ねえ、君はいくつなの?」
                  ―続く―







2021/08/31 6:50:55|小説「パピーの冒険」
パピーの冒険−02−
パピーの冒険−02−

 次の朝、最初に起きてきたのはお母さんでした。起きるとすぐに食事の支度をしています。次に起きて来たのはさっちゃんでした。
「あらっ、こんなに早起きして、今日はどうしたの?」
「うん、パピーに朝ご飯をあげるの。」
そう言うと冷蔵庫からミルクを取り出してお椀に入れ、僕の前に置いてくれました。お腹が空いていたので急いでミルクを飲みます。
そのうちにお父さんが起きて来ました。
「おやっ、さっちゃんは早起きだね。どうしたの?」
「うん、パピーに朝ごはんをあげているの。」
「アハハッ、こんなに早起きだなんて珍しいことがあるものだね。」
 お母さんが言います。
「でも、さっちゃんもさっさとご飯を食べなきゃだめよ。それにお着替えもしなくちゃね。今日は幼稚園なんだから。」
「ねえ、あたしがいなくてもパピーは大丈夫?」
「大丈夫よ。お母さんが、ちゃんとご飯もあげるし、面倒をみてあげるから。」
 お父さんが会社に行き、その後でお母さんがさっちゃんを幼稚園に送って行って、僕は一人で取り残されました。
 部屋の中には、珍しい物がたくさんあります。テーブルの上の籠にはおやつのお菓子が置いてありますし、テーブルクロスの端は下に垂れています。またソファにはお母さんが網み掛けの刺繍も置いてありました。みんな初めて見るものばかりです。
 僕は、テーブルクロスの端っこを咥えて引っ張りました。すると網み掛けの刺繍がテーブルから落ちて来たので、そっちを咥えて引っ張ります。今度は糸の玉が床に転がります。面白くて今度はそっちを追い掛けます。追い掛けて遊んでいると、爪がソファのクッションに引っ掛かりました。今度は落ちて来たクッションを咥えて遊びます。飛んだり跳ねたりして遊んでいると、時間を忘れます。僕は、生まれて初めての自由の嬉しさに有頂天になって遊んでいました。
 そのとき玄関のドアが開く音が聞こえました。お母さんが帰って来たのです。
僕は、急いでお母さんのところに走って行きました。お母さんは、すぐに僕を抱き上げてくれました。そして居間に入ったときです。
「まあ、この子ったらなんてことを!」
 お母さんの表情が変わりました。
                ―続く―







2021/08/30 8:15:53|小説「パピーの冒険」
パピーの冒険−01−
パピーの冒険−01−
 
 僕はパピー、もうすぐ1歳になるビーグル犬です。
 今から1年前、僕は小さな子犬でペットショップの檻の中にいました。店の人が相手をしてくれるのは1日2回餌をくれるときだけ、お母さんとも離れて一人さびしい日々を送っていました。両足の上に顎を乗せてひたすら時が過ぎるのを待ちます。
 ある春の日、3人の家族連れが僕達犬の檻の前に立ちました。お父さん、お母さんと小さな女の子です。3人は、向こうの檻の子犬達から順番に見ながらこっちにやって来ます。
「お父さん、これ可愛いわ。」とか「うん、こっちのも可愛いよ。」などと言っています。そのとき、女の子が僕の前にやって来ました。僕と女の子の目が合いました。女の子が檻に手を差し出しました。僕は、その手を思い切り舐めました。女の子はくすぐったそうに手を引っ込めましたが、すぐにまた手を入れて来ます。僕は、またその手を舐めました。
「ねえ、お父さん。この子がいいわ。とても可愛いのよ。」
女の子が父親に向かって言いました。
「うん、賢そうな顔をしているね。それに性格も好奇心旺盛みたいだ。」
その日、僕はその家族に買われて行きました。
 家に連れて行かれるとすぐにミルクを飲ませたり撫でたりして、片時も僕を離してくれません。僕も、ペットショップではずっとかまって貰っていませんでしたので、飽きることなくじゃれては遊んでいました。
「ねえ、お父さん。この子、パピーって名前にしたいわ。」
「パピーか、いい名前だね。」
僕の名前は簡単に決まりました。
 女の子はさっちゃんと呼ばれていました。さっちゃんは、それからもずっと僕を離しません。
「さっちゃん、もう寝なくちゃだめよ。明日は幼稚園でしょう。」
僕をかまっていていつまでも寝ないさっちゃんに、お母さんが言いました。
「ねえ、お母さん。わたし、パピーと一緒に寝ていい?」
「だめよ、パピーにはパピーのおうちがあるの。また明日、幼稚園から帰って来たら一緒に遊んであげなさい。」
「つまんないの。」
 さっちゃんは、そう言いながら寝室に言ってしまい、僕は、居間の隅の小さな犬小屋に寝かされました。
                        ―続く―







2021/08/29 18:44:56|エッセイ
借家
 今度の家は、借家です。田舎なので、借金をすれば買うこともできたと思うのですが、買っても大変です。自分達が死んだ後で、残された人が大変なのです。家を継いでくれれば良いのですが、今の時代は子供達も家に帰って来ることは少ないようです。
 その場合、家や土地が売れれば良いのですが、なかなか売れず、家の解体に数百万円はかかるみたいですし、土地も売れるかどうかわかりません。市に無料で寄付すると言っても、よほど便利なところでない限り、断られるようです。
 しかし借家には、それなりの大変さがあります。動物を飼うことはできず、工事などのため勝手に壁に穴をあけることも出来ません。いちいち不動産屋さんを通じて、家主さんの了解を得なけれならないのです。
 持ち家と借家、一長一短、それぞれあるのですねえ。







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