パピーの冒険−11−
カラスは、僕が近付くと飛んで逃げてしまいました。 僕は、カラスが広げたゴミの中から食べ物を拾って食べました。バッタよりはずっと美味しいのです。 そのとき、トラックがやって来ました。 「おい、いたぞ。捕まえろ。」 トラックから降りた2人の男が、先に輪っかのついた棒のような物を持って僕を挟むように近付いて来ます。僕は、危険な空気を感じました。捕まえられる、そう思い、急いで逃げました。 男達は、走って追い掛けて来ます。僕は、必死で逃げます。男達は、「あっちだ、向こう側に回れ。」とか、「こら、待て!」などと言っています。逃げても逃げても追い掛けて来ます。そのうち路地で挟みうちにされてしまいました。2人は棒を差し出しながらゆっくりと近付いて来ます。僕は、しばらく動かずにいましたが、いよいよ棒の先の輪っかが僕の首にかかりそうになったとき、僕は1人の男の方に向かってダッシュしました。そして男の脚の間をくぐって逃げました。また男達が追い掛けて来ます。僕は、必死で逃げました。 森の近くまでやってきたときです。大きなおじいさん犬が僕に声を掛けました。毛が半分抜けかかり汚れていて汚い格好をしていますが、何となく賢くて優しそうな感じがします。 「若いの、こっちへ逃げるんだ。」 男達が迫って来ています。僕は、考える暇もなくその老犬の後ろに着いて走りました。老犬は、人間が通れないほどの大きさの潅木の茂みのトンネルを走って逃げています。これだと人間は歩けません。 しばらくすると男達は諦めたのでしょう、静かになりました。 「ありがとう、おじいさん。」 僕は、お礼を言いました。そのおじいさん犬は、ゴールデン・レトリバー犬ですが、毛も荒れて惨めな姿をしています。 「気をつけるんだよ。あいつらに浚われた仲間で、帰って来た者はいないんだ。」 「何なの?」 「人間は“保健所”って言っているんだ。怖いところだよ。ところで坊やは、どうしてこんなところにいるんだね。」 「僕、飼い主にはぐれてしまったんです。みんなで旅行に来て、宿から出たときに野良犬に追い掛けられて、そのままどっちに行って良いかわからなくなっちゃって。」 「そうか、それで一人でこんなところを歩いていたんだな。」 「ええ、そうなんです。でも、おじいさんは、どうして野良犬なの?ゴールデン・レトリバーなら、立派な飼い主だっていたんでしょうに。」 ―続く― |