男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2021/09/09 6:21:31|小説「パピーの冒険」
パピーの冒険−11−
パピーの冒険−11−

 カラスは、僕が近付くと飛んで逃げてしまいました。
僕は、カラスが広げたゴミの中から食べ物を拾って食べました。バッタよりはずっと美味しいのです。
 そのとき、トラックがやって来ました。
「おい、いたぞ。捕まえろ。」
トラックから降りた2人の男が、先に輪っかのついた棒のような物を持って僕を挟むように近付いて来ます。僕は、危険な空気を感じました。捕まえられる、そう思い、急いで逃げました。
 男達は、走って追い掛けて来ます。僕は、必死で逃げます。男達は、「あっちだ、向こう側に回れ。」とか、「こら、待て!」などと言っています。逃げても逃げても追い掛けて来ます。そのうち路地で挟みうちにされてしまいました。2人は棒を差し出しながらゆっくりと近付いて来ます。僕は、しばらく動かずにいましたが、いよいよ棒の先の輪っかが僕の首にかかりそうになったとき、僕は1人の男の方に向かってダッシュしました。そして男の脚の間をくぐって逃げました。また男達が追い掛けて来ます。僕は、必死で逃げました。
 森の近くまでやってきたときです。大きなおじいさん犬が僕に声を掛けました。毛が半分抜けかかり汚れていて汚い格好をしていますが、何となく賢くて優しそうな感じがします。
「若いの、こっちへ逃げるんだ。」
男達が迫って来ています。僕は、考える暇もなくその老犬の後ろに着いて走りました。老犬は、人間が通れないほどの大きさの潅木の茂みのトンネルを走って逃げています。これだと人間は歩けません。
 しばらくすると男達は諦めたのでしょう、静かになりました。
「ありがとう、おじいさん。」
僕は、お礼を言いました。そのおじいさん犬は、ゴールデン・レトリバー犬ですが、毛も荒れて惨めな姿をしています。
「気をつけるんだよ。あいつらに浚われた仲間で、帰って来た者はいないんだ。」
「何なの?」
「人間は“保健所”って言っているんだ。怖いところだよ。ところで坊やは、どうしてこんなところにいるんだね。」
「僕、飼い主にはぐれてしまったんです。みんなで旅行に来て、宿から出たときに野良犬に追い掛けられて、そのままどっちに行って良いかわからなくなっちゃって。」
「そうか、それで一人でこんなところを歩いていたんだな。」
「ええ、そうなんです。でも、おじいさんは、どうして野良犬なの?ゴールデン・レトリバーなら、立派な飼い主だっていたんでしょうに。」
                   ―続く―







2021/09/08 5:14:48|小説「パピーの冒険」
パピーの冒険−10−
パピーの冒険−10−

 僕は、ひたすら夜道を歩き続けました。道路を歩いたり、川の土手を歩いたり、田んぼのあぜ道を歩いたりします。
 この時間、よく出会うのは猫です。昼間居眠りばかりしている猫ですが、夜は活発に出歩いています。猫達は、僕の様子を見ると急いで逃げていきます。
 縞模様のドラ猫が僕の前を横切りました。身体は僕と同じくらいあって、僕を恐れる様子がありません。他の猫達は僕を怖がっていたのですが、この猫は僕を無視しています。僕は、ムッとしました。猫に向かって「ウ〜ッ」と唸りました。すると猫も負けていません。背中を丸めてこっちを向き「ギャ〜オ!」と唸ります。
「ウ〜ッ!」
「ギャーオ!」
唸りながらの睨み合いが続きます。
 やっつけてやろうと思うのですが、隙がありません。猫の方もそう思っているらしく、飛び掛っては来ません。僕がちょっとでも動いたり逃げたりすると、襲い掛かって取っ組み合いの喧嘩になるのでしょう。
 しばらく睨み合っていましたが、急に猫が姿勢を戻すと後ろを向いて歩いて行きました。僕は、どうしたのだろうと思って見ていましたが、すぐに事情がわかりました。向こうの方に雌猫がいるのです。ドラ猫にとっては、僕より彼女の方が大事だったのです。
 僕も喧嘩にならなくてホッとして、また歩き始めました。喧嘩になれば、どっちかが怪我をしているはずです。そして夜が明ける頃には、町をふたつ通り過ぎていました。
 昼になって疲れと空腹で歩けなくなってしまいました。田んぼの隅にある小屋で眠ることにしました。お腹が空いているのでぐったりとしていましたが、なかなか眠れません。休んだら食べ物を探さなければなりません。そのためにも眠ることが必要だったのです。
 しばらく休んでから、食べ物を探すことにしました。昨日のように、子供達がいれば、餌をくれるかも知れないのですが、人の姿も見当たりません。いよいよお腹が空いて来ます。田植えの終った田んぼには、蛙や昆虫などがいます。僕は、蛙を捕まえて食べてみようと思いました。
 目の前にトノサマガエルがいました。急いで飛び掛りましたが、蛙は水の中に飛び込んで逃げて行きます。水の中では、蛙の方が敏捷です。泥だらけになって追い掛けますが、捕まりません。あきらめて小さなバッタを捕まえて食べました。これなら簡単に捕まえることができました。でもバッタではお腹はいっぱいになりませんし、元気も出ません。再び歩いて町に行きました。
 通りを歩いていると、どこかで夕食の支度をしているのでしょうか、食べ物の良いにおいがして来ます。僕は、ゴミ捨て場に行って、その中から食べ物を探すことにしました。ゴミ捨て場に来ると、カラスが来て先に食べ物を漁っていました。
                  ―続く―







2021/09/07 6:01:33|その他
パピーの冒険−09−
パピーの冒険−09−
 
 しばらくすると、子供達はまたかくれんぼをして遊び始めました。僕は、彼等の後に着いて行きました。でも隠れている子供の傍に行くので、その子はすぐに鬼に見付かってしまいます。それでも子供達は、僕を可愛がってくれました。
 夕方になったとき、男の子が言いました。
「僕、この犬を飼いたいんだけど、貰って行っていいかなあ。」
「うん、うちにはチロがいるからいいよ。」
「僕んちは、昔、子犬を持って帰ったら、お母さんがダメだった言うんだ。」
子供達の話がまとまって、僕は男の子の家に連れて行かれました。
 家に行くと、早速子供がお母さんに僕を飼って良いかと話しました。お母さんが言いました。
「でもねえ、この犬はどこかで飼われていたんでしょう。良い種類みたいだし、飼い主はきっと寂しがっているわ。もし、飼い主が現れたときは、返してあげなきゃいけないのよ。それでもいいの?」
男の子は、黙ってしまいました。お母さんが続けます。
「でも、それまではうちに置いてあげるかねえ。このまま放って置いて車にでもはねられたんじゃ可哀相だものね。」
「うん、ありがとう。僕、可愛がってあげるよ。」
結局、その晩は紐に繋がれて納屋に寝かされました。農家ですから、一人で寝ていると何となく寂しくなります。遠くから、昨日の夜聞こえたホ〜ッ、ホ〜ッという鳴き声が聞こえてきます。裏の山でフクロウが鳴いていたのです。僕は急に寂しくなり、さっちゃんに会いたくなりました。このままだとず〜っとここにいなければなりません。紐で繋がれているのが急に窮屈に感じられました。僕は、紐を引っ張ったり噛んだりしました。逃げたくなったのです。何度も何度も噛み、引っ張りました。そうしたら、急に首が軽くなりました。繋いでいる紐が切れたのです。僕は、思い切り駆け出しました。
 空には、お月様が輝いていて、道の傍の満開の桜が明るく輝いています。僕は、夜道を一人歩き続けていました。
 歩きながらも、家に帰るにはどうしたら良いのだろうと考えました。来るときは車の中から景色や太陽が見えていました。車の動きや景色から、太陽を背にして走っていたことを思い出しました。それなら、今度は太陽に向かって歩いて行けば良いのです。
 僕は、月の夜道を昼間見た太陽の方向に向かって歩き続けました。
                ―続く―







2021/09/06 5:12:33|小説「パピーの冒険」
パピーの冒険−08−
パピーの冒険−08−
 
 しばらく歩くと広場があって、そこでは数人の子供達が遊んでいました。みんなさっちゃんと同じくらいの年頃です。僕は、食べ物がもらえるのではないかと思い、そっちに行きました。すると一人の女の子が僕を見付けて言いました。
「あっ、可愛い犬がいるわ。ねえ、こっちにいらっしゃい。」
しゃがんで手招きをします。僕は、尻尾を振りながらそっちに向かって歩いて行きました。他の子供達も、僕の方に集まって来ました。
「首輪をしているから、どこかで飼われていたのね。」
「この近くじゃ見慣れない犬ね。」
「うん、でも可愛いね。僕のうちの犬は雑種だけど、この犬はいい種類なんだろうね。」
「そうかも知れないね。都会で飼われていたんだろうね。」
みんなそんなことを話していますが、僕はお腹が空いているので一生懸命尻尾を振ってク〜ンク〜ンと鳴きながら、食べ物をねだりました。
「お腹が空いているのかも知れないね。そうだ、家におやつがあったから取って来てやろう。」
男の子がそう言って、駆け出しました。他の子供達は、僕の頭を撫でたり背中を撫でたりしています。しばらくすると男の子が帰って来ました。手にはお菓子を持っています。
 早速、僕に差し出しました。僕は急いでそれを食べました。
「あっ、やっぱりお腹が空いていたのね。」
「うん、もっと食べたいのかなあ。」
「じゃあ、今度はわたしが持って来てあげる。お昼のご飯の余りがあるの。味噌汁をかけてあげれば食べるわね。」
女の子は、そう言って家の方に駆けて行きました。
 今度持って来てくれたのは、古い茶碗に入ったご飯に味噌汁をかけたものでした。僕はまた急いで食べました。こんなに美味しい食事は生まれて初めてです。ドッグフードも美味しいのですが、これに比べると何となく味気ない気がしました。子供達は、そんな僕を楽しそうに見ていました。
                  ―続く―







2021/09/06 0:41:59|エッセイ
気持ちはわかる!
 菅総理が総裁選に出ないと発表した時、立憲民主党の枝野代表が、「無責任だ」などと怒りの声明を出していました。
 無責任かどうかは別にして、彼の怒りはよくわかります。菅総理の支持率は低迷していました。やがて控えている総選挙で議席を増やすチャンスだと思っていたところに菅総理の退任発表、これではチャンスが無くなることになります。その怒りを、選挙に不利だからとは言えず、「無責任だ」と言うことになったのでしょう。
 枝野代表の怒る気持ちはよくわかります。飼い主さんだって、単なるイライラを言葉を変えて僕への攻撃材料にしていることがしばしばあるからです。







<< 前の5件 [ 1181 - 1185 件 / 2751 件中 ] 次の5件 >>  << 最新の記事へ >>