パピーの冒険−16−
慌てて運転席から降りて来たのは、若い女の人でした。 「マア、ごめん、ごめん。こんなところを歩いているなんて知らなかったんだよ。大丈夫?」 そう言いながら、僕に手招きをしています。 僕は、車にぶつけられ痛い思いはしましたが、怪我はしていませんでした。尻尾を振って女の人のところに行きました。 「可愛い犬ねえ。お前はどこに行くところなの?首輪をしているから飼い犬なのね。飼い主のところに帰るのかしらねえ。」 そう言いながら僕の頭を撫でてくれます。 「ねえ、お腹が空いているんじゃない。今からお昼ご飯を食べに帰るところなんだけど、お前も一緒においでよ。友達もいるよ。」 そう言って、トラックの助手席側のドアを開けました。僕は、言われるままに助手席の床に飛び乗りました。 軽トラックは、しばらく走って大きな農家の庭に止まりました。広い屋敷の向こうから犬の鳴き声が聞こえて来ました。真っ白な毛の長い犬が女の人の方に向かって尻尾を振りながら鳴いています。 「サリー、今日はお客さんを連れて来たよ。」 女の人はそう言って、僕をその犬のところに連れて行きました。 その犬はメスのスピッツでした。僕の方を見ると、尻尾を振っています。僕もサリーのほうに近付いて行きました。 「君は、この家に飼われているんだね。」 「ええ、あなたはどうしてここに来たの?」 「うん、旅先でご主人にはぐれて家に帰るところなんだけど、途中でお姉さんに出会って、連れて来られたんだ。」 「あたし、サリー。あなたは?」 「僕はパピー。」 さっちゃんとの散歩で知り合ったメリーとは違って、とても陽気で人懐っこいのです。僕達は、最初の出会いですっかり意気投合してしまいました。お互いのにおいを嗅いだり、身体を舐めあったりして遊んでいました。 しばらくしたら、お姉さんがドッグフードの入ったお皿をふたつ持って来て「すっかり仲良くなったみたいね。さあ、食べるのよ。」と言って僕達の前に置きました。 ―続く― |