パピーの冒険−31− その日の午後、3人の女の人がやって来ました。 「可哀そうにねえ。この犬達は殺処分にされてしまうのよ。みんな助けてあげたいけど、私達が全部引き取るわけにもいかないしね。うちにはもう3匹もいるのよ。」 「そうねえ、私のうちにも2匹いるわ。ねえ、あなたのところは?」 「うちも私は犬が好きなんだけど、主人が嫌いなのよ。結婚したばかりのころに家に一人でいてもつまらないから犬が飼いたいと言ったら、きつく叱られたわ。」 「あなた、結婚して何年になるの?」 「5年よ。それがどうしたの?」 「5年も一緒にいたら、亭主に言うことくらい聞かせないさいよ。あたしなんか3年もしたら、私の天下にしていたわ。あらっ、この犬可愛いわ。これなんか、いいんじゃない?賢そうよ。」 そのおばさんは、僕の方を見て言いました。 「そうねえ、帰ってもう一回主人に言ってみるわ。それでいいと言ってくれれば、この犬を貰って行くことにするわ。」 「それがいいわ。旦那さんには、強く言わなければだめよ。男なんて、下手に出ると付け上がるんだから。」 「そうね、言ってみるわ。」 そう言って、3人は帰って行きました。 その夕方、係員が僕に餌をくれながら言いました。 「お前は、貰い手があると思っていたけどなあ。明日中に引き取り手がないと明後日は処分だぜ。誰か引き取ってくれると良いけどなあ。」 その頃、さっちゃんの家では、パソコンの前に座っていたお父さんが言いました。 「さっちゃん、来てみてごらん。これパピーじゃないかなあ。」 さっちゃんがやって来てパソコンの画面を見ていましたが、「あっ、パピーよ。痩せているけど、背中の模様がパピーのものよ。今、どこにいるの?」と興奮気味に言います。そのうち、お母さんもやって来ました。 「うん、これは保健所のホームページなんだけど、保健所に捕まっているみたいなんだ。」 「じゃあ、すぐに引き取りに行きましょうよ。」 「でも夜は保健所の人もいないだろうから、明日の朝早く行ってみようよ。」 お父さんは、そう言いました。 ―続く― |