妖精の歌−10−
美鈴は、淡いブルーのワンピースを着ていて、前よりずっとずっときれいに見えました。 「やあ、会いたかったよ。」 「お元気そうですね。」 私は、すぐに美鈴の手を取って、以前行ったことのあるちょっと品のいい小料理屋に連れて行きました。 「とてもきれいになったね。」 「あら、そんなこと。」 美鈴は恥ずかしそうにそう言って俯きました。その仕草で私は、美鈴も、私のことを好きになってくれているんだということを確信しました。 「さあ、何を飲む?」 「私は、何でもいいです。あなたは?」 「私はビールにしよう。」 「じゃあ、私も。」 美鈴は遠慮深そうにそう言います。料理をいくつか頼んで、ビールを飲みますが、最初に会ったときより二人とも無口で静かな雰囲気でした。 ビールが出され、お互いにジョッキを持って乾杯します。 「講習、お疲れさま!」 私が、少し元気を取り戻して言います。 「久し振りの出会いに乾杯!」 美鈴も、笑顔でそう言ってくれます。 二人は揃ってビールを飲みます。 お酒は、人の心を開放的にします。確かに私もお酒は好きなのですが、それは嗜好として好きというより、お酒の持つ雰囲気が好きなのです。仲間と楽しく飲む酒、一人嫌な思いを慰めるために飲むお酒、いろいろありますが、やはり一番いいお酒は美鈴のように好きになった人と楽しく飲むお酒です。美鈴は飲みながら今日の講習の話や、この前に会ったときから後にあったことなどを楽しそうに話してくれます。その話し方が、本当に生き生きとしていました。 私は、笑顔で黙って聞き手に徹します。美鈴のお喋りを聞いているだけで楽しいのです。 そのうちに料理が出されます。この小料理屋の料理は、新鮮な材料と料理にちょっとした工夫がされているので、けっこうおいしいのです。 「これ、とてもおいしいわ。」 美鈴が、山菜の和え物に箸を付けながら言います。出汁を上手に使っているのでしょう、確かにおいしいのです。 ―続く― |