プレイガール自伝−09−
途中で薬王院にお参りしてから、更に山頂に向かいます。その間、陽子はずっと洋平さんと一緒に先頭を歩いて行きます。その後ろを男女が交互に歩いていますが、自然に話し相手が決まるようになりました。知世には大友さん、寿代には佐川さん、亜美には飯塚さんが話し掛けています。倉園さんは、しきりに私に話し掛けて来ますが、私は「ええ。」とか「はい。」とか「そうね。」などと気のない返事をしているだけでした。 山頂では、ビニールシートが敷かれ、女の子達が準備した昼食と、男達が持って来たビールやワイン、お茶、ジュースなどが広げられます。早速、昼食兼宴会です。車座になって座るのですが、自然登って来たときのカップルが隣り合っていました。 みんな楽しそうに話をして、その間にメルアドや電話番号などを教え合っています。倉園さんは、私にメルアドと電話番号を書いたメモを渡して、「良かったら連絡をください。」と言いました。 その後、みんなはお互いに連絡を取り合っていたようですが、私が倉園さんに連絡することはありませんでした。 亜美との身体の関係も、合コンを境に次第に遠ざかっていました。彼女は、飯塚さんに心が行っているようです。 4回生になったばかりのこと、父と母が旅行中に交通事故で死にました。高速道路で大型トラックに追突されて即死でした。突然のことに、私は目の前が真っ暗になりました。田舎から出て来ていた両親には、近くに親戚はいません。葬儀をどうするかについてさえ、何をして良いかわかりませんでした。そのとき、いろいろと面倒を見てくれたのが、父の上司で部長の吉沢さんでした。葬儀の一切を取り仕切ってくれ、何かとアドバイスをしてくれます。 葬儀が終っても、私の家に来て何かと相談に乗ってくれました。私が一番気になったのは、これからの身の振り方でした。一人で生きて行かなければなりません。取り敢えず預金や保険金があるので、学生生活は続けることにしましたが、問題は就職です。当時、なかなか厳しい就職事情でした。そのとき、吉沢さんが「卒業したら、うちの会社に来ないか。」と言ってくれたので、私は渡りに船で「お願いします。」と言って頭を下げました。 その後も、吉沢さんは、月命日ごとに仕事帰りにやって来ては、仏様を拝み、何か困ったことがあれば言ってくれと言いました。 両親のいなくなった私にとって、夏休みは悲しくも寂しいものでした。友達も、帰省や、デートに忙しそうで、話し相手にはなりません。一人で部屋にいると、両親のことが思い出されて涙が出て来ることさえありました。私は、一人でお酒を飲むようになっていました。 −続く− |