男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
プレイガール自伝−25−
プレイガール自伝−25−

 シャワーを終えてダイニングに戻ると、私が聞きました。
「飲みます?それとも休みますか?」
彼はちょっと考えているようでしたが、「もうちょっと飲みますか。」と言いました。
 私は、冷蔵庫からビールを持って来ました。彼は、黙って飲んでいます。何か言いたいけどどう言って良いかわからない、そんな感じです。沈黙の時間が流れて行きます。私は、彼が何を言いたいのかわかりません。
「お酒、随分強いのですね。」
「そうですね、父親もかなり飲んでいました。」
「お酒の強さって、遺伝ですね。」
「そうですね、人間の身体には2種類の酵素があって、それが両方揃っている人は強いみたいです。」
「じゃあ、私達は両方揃っているのですね。」
「貴女も、両方共たくさんあって、それで強いのでしょう。」
そう言って笑っていますが、それは彼が言いたいことでないことはわかっていました。
 その後も、ポツリポツリとあまり意味のない会話が続きました。なぜこんなつまらない会話をするのか、自分でもあきれていましたが、何を言って良いのかわかりません。だからと言って、長く続く沈黙にも耐えられません。それが私を喋らせていたのです。普段、無口な私がこんなに喋ったのは初めてです。普段、男達と会うきでも、身体を交える以外には、ほとんど会話をしませんでした。私は、自分がどうしてこうなったのか不思議でした。考えてみれば、彼を家に招いただけでも、普段の私からみれば異常だったのです。
 時計は深夜の1時を過ぎています、彼がビールを口に運ぶペースも落ちています。お店で飲んで、ここでもかなり飲んでいましたから、相当疲れていることは確かです。
 私が、「そろそろ休みましょうか。」と言うと、彼は「そうしますか。」と言って立ち上がりました。
 私は、彼を2階の寝室に案内しました。2階には、私の部屋と両親が使っていたダブルベッドの置いてある部屋があります。私は、彼を両親が寝ていた部屋に連れて行きました。彼は、素直に私の言うとおりにしています。
 私は、彼が私の手を取って抱き寄せてくれることを期待していましたが、彼はおとなしく横になっているだけです。私は、瞬間どうしようかと迷いましたが、意を決して彼の横に身体を滑り込ませると、彼を抱きしめました。
            −続く−







プレイガール自伝−24−
プレイガール自伝−24−

 私が彼に抱いている気持ちは、不思議なものでした。これまでもいろいろな男と身体を交えていましたが、それは心の寂寥を癒すためのもので全くの遊びでした。従って同じ男と二度付き合うことはしませんでした。中には優しい男もいましたし、付き合って欲しいという者もいましたし、女を悦ばせるテクニックに秀でた者もいましたが、心を動かされたことはなかったのです。
 しかし、雄太郎さんは違いました。なぜか、私の気持ちを惹き付けるのです。お互いが、プレイボーイであり、プレイガールであることを承知での付き合いです。それは普通に考えれば異常なことかも知れません。
 彼を帰したくないと思っていた私は、彼にお酒を勧めました。彼に会ってから、彼が日本酒を好きだということを知り、お燗をつけました。明日は休みなので、二人とも少々飲んでも大丈夫です。彼も私も、ゆっくりでしたがけっこう飲みました。
 時計を見ると12時近くになっていましたので、私が言いました。
「シャワーを浴びませんか?」
彼は、黙って頷きます。
 私は、父用に買ってあった新品のパジャマを彼のために準備すると、彼がシャワールームに入って行ったのを確認して、私も裸になって入って行きました。
 後から入った私に、彼はこういう状況に慣れているからでしょうか、驚いている様子もありません。私は、彼の後ろに回って石鹸をつけたタオルで背中を流してあげました。彼は、黙ったまま気持ち良さそうにしています。彼は、平静を装っていましたが、必ずしもそうでないのがわかりました。彼の物が屹立していたのです。
 しばらく私に背中を流させていましたが、彼が、「変わろうか?」と言って、私からタオルを受け取りました。
 彼は、優しく私の背中を流しています。背骨をなぞるように擦られると、全身に心地よさが感じられます。溜った疲れがほぐれるような心地よさでした。
 私は、キスをしてくれることや、乳房や秘めやかな部分をも洗ってくれることを期待しました。これまでの男達は、みんなせっかちにそれをしていたのです。しかし、彼はそうはしませんでした。そこは簡単に洗うだけで、さっさとシャワーのお湯で私の身体の石鹸の泡を流して、「出ようか。」と言いました。私は、ちょっとがっかりしましたが、まだチャンスはあると思い、素直にシャワールームを出ました。
 私は、彼にパジャマを着せました。彼のパジャマが体格にピッタリ合っていることに不思議な安堵感を覚えていました。
            −続く−







プレイガール自伝−23−
プレイガール自伝−23−

 私の誘いを否定していない彼に、私は言いました。
「じゃあ、私の家に寄ってくれませんか。大したものはありませんが、お酒くらいはありますわ。」
「うん・・・」
彼の返事は煮え切らないものでしたが、私は心を決めて行動することにしました。
 タクシーが摑まって、運転手が「どちらまで?」と聞くのと同時に、私は「中野までお願いします。」と言いました。
 彼は、けっこう飲んでいましたが、決して酔っ払ってはいませんでした。足取りはしっかりしていますし、表情もずっと穏やかでした。私の好きなようにさせておけば良い、そう思っているようでした。
 タクシーが、私の家の前に着きました。私は、彼の手を取るようにして、家に招き入れました。きつく手を握っている私に、彼は「アハハッ、そんなにきつく手を握らないでも逃げないから大丈夫だよ。」と言って笑いました。冗談を言うくらいですから、決して酔ってはいないのです。
 家に入ると、彼をテーブルに座らせて、ビールを出してから、「ビールで良いでしょうか?」と聞きました。
「マア、いいから座りなさい。ちょっと話し合いましょう。」
「でも・・・」
「あなたも、今更、そんなに飲みたいわけでもないでしょう。そうだ、まだあなたの名前を聞いていなかった。表札には加山とありましたが、その下は?」
「はい、紗智子です。」
「紗智子さん、あなたとは何度か会っていますよね。」
「はい・・・」
「そうですか、僕はかなり前から貴女に気付いていましたが、貴女も僕のことに気が付いていたのですね。」
「はい・・・」
「そうでしたか、それで安心しました。」
「どういう事でしょうか?」
「ある程度僕のことを観察してからなら、僕がどんな人間かわかっているでしょうから、それでもお誘いいただいたことに感謝しているのです。」
 彼は、話を続けました。
「僕は遊び人です。たくさんの女性と付き合って来ました。貴女は、それを承知ですよね。」
「・・・・・」
 私は、そう言う彼を、今宵は帰したくないと思っていました。
            −続く−







プレイガール自伝−22−
プレイガール自伝−22−

 私が店に入ると、女将さんが言いました。
「いらっしゃい、三郷さんがお待ちかねですよ。」
「遅くなってすみません。」
 三郷さんも、こっちを見ながら言います。
「急な残業でも入ったのかな。」
「ええ、遅れてすみませんでした。」
「OLやサラリーマンの宿命かな。」
彼は、そう言って、ニコニコ笑っています。
「さあ、飲んで。駆け付け3杯だよ。」
そう言って、自分の盃を乾すと、私に手渡してお酒を注いでくれました。
「ウィスキーの方がいいのかな?」
「いいえ、いただきます。」
 私は、前回彼に会って日本酒を飲んで以来、すっかり日本酒が好きになっていました。食べ物や飲み物の好みも、全く気分的なものだと思います。今まであまり飲みたいと思っていなかった日本酒も、彼が好きだと思うと、自分でも飲みたいと思うようになっていたのです。
 女将さんが、私のためにお猪口を持ってこっちに来ましたが、「お猪口はひとつでいいわね。お燗を持って来ますよ。」と言って、お猪口は置かないで、そのままあっちに行ってしまいました。
 私達は、二人でお互いに注ぎあいながら、ゆっくりと飲んでいました。二人とも多くは喋りません。黙って盃を乾し、相手に返して注いであげる、そんなことを繰り返していました。
 タイミングを見ては、女将さんが新しいお燗を持って来てくれますが、私達の前に置くとすぐに他のお客さんのところに行ってしまいます。
 しばらく飲んでからのことです。彼が言いました。
「出ましょうか。」
私は、黙って頷きましたが、彼がこの後どうする気でいるのかが気になりました。この前のように、私を送って行くのだなどとは言われたくなかったのです。
 今宵は、何とか彼と一緒に過ごしたいと思いました。
 彼がタクシーを拾うために通りに出たとき、私は彼の背中に顔を押し付けて言いました。
「あなたと一緒に過ごしたいです。」
彼は黙っています。
「ダメですか?」
「いや、そうじゃないんだ。」
 私は、ホテルに行くのがダメなら、自分の家に誘えば良いと思いました。
            −続く−







プレイガール自伝−21−
プレイガール自伝−21−
 
 私は、それと同時に、彼がどんな人間か知りたいと思うようになっていました。「寄り道」や「止まり木」では、どう見てもプレイボーイでした。行く度に違う女性と一緒にいたし、しばらくすると連れだって店を出ていましたから、遊び人であることは間違いありません。しかし「ふるさと」での彼は全く違っていました。真面目でおとなしいサラリーマンで通っているようです。
 タクシーは、家に近付いて来ました。
「ねえ、三郷さん。うちに寄って行きません?」
私は、勇気を奮って言いました。しかし、彼は言いました。
「いや、今日は遅いし、明日は早いので今日は失礼するよ。金曜日、今日の『ふるさと』に行きませんか。僕も、7時頃には行けると思います。」
 私は、多少がっかりしましたが、金曜日に会えると思うと救われた気持ちになりました。
 人の気持ちは不思議です。元々人間嫌いで、父親の浮気で男性不信に陥っていた私が、なぜかプレイボーイの彼に惹かれるのです。その夜、私はなかなか寝付けませんでした。
 金曜日になりました。私は、新しい下着を着けて出社しました。今日こそ、彼と結ばれると思ったのです。
 その日、出社するとみんなに私の方から「おはようございます。」と朗らかな声で挨拶をしました。その様子に、みんな驚いているようでした。
 夕方になったとき、課長が言いました。
「加山君、ちょっと仕事を手伝ってくれないか。」と言って、数枚の英語の資料を手渡しました。それを、翻訳してくれと言うのです。私は、焦りました。どう見ても、2〜3時間はかかりそうで、とても彼との約束の時間には間に合いそうにありません。私は、必死で仕事をしましたが、やっと終わったときには、既に8時近くになっていました。丸の内からタクシーを飛ばしても、渋谷までは30分はかかります。夕食に誘う課長を断り、私は急いで会社を出ました。
 金曜日の夜の道路は混んでいました。度々渋滞で停まるタクシーに、私は、イライラしながら時計ばかり見ていました。彼の携帯の連絡先を聞いていなかったことも後悔しました。
 「ふるさと」に着いたときには9時近くになっていました。私が息を切らせて店に入ると数人の客の一番奥の席に三郷さんがいました。隣の席をひとつ空けています。私は、彼が長い間待っていてくれたことに、感動すら覚えていました。
            −続く−







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