男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2022/08/21 4:17:16|小説「食虫花」
食虫花−17−(最終回)
食虫花−17−(最終回)

 ゆう子は、話を続けた。
「大山では、ときどき遭難者が出ているでしょう。そのうちの若い男性のほとんどはここに来たのです。そうして私としばらくは暮らしていました。そのまま居着いた者もいれば、去年の男のように逃げ出そうとする者もいました。」
「居着いた男はどうなった?」
やっとのことで光太が言葉を口に出した。
「病気で死んだわ。元々身体が弱かったのね。」
光太は、そうでないと思った。ゆう子の荒淫に体力を消耗し尽くして死んだのだろうと思った。いずれにしても、何とかしてここから逃げ出さなければならなかった。それを見透かすようにゆう子が言った。
「逃げてもだめよ。どうなるかは、あなたが洞穴で見たとおりよ。」
 ゆう子は、その夜も光太を求めて来た。元気が無いと、手を使い、唇を使うなどあらゆる技を駆使して光太を奮い立たせようとした。光太の物は、その技に屈した。いつしか、ゆう子に包み込まれる快感に我を忘れていた。
 愛欲の日々が続いた。それは夜だけとは限らなかった。朝に、昼に、夜にとゆう子は光太を求め続けた。光太は、次第に弱って行った。
 もう何日が過ぎたのかもわからなかった。今や、逃げ出そうとする気力さえ失っていた。光太は、自分がいつか死ぬだろうと思った。病気で死んだという男達は、こうして死んで行ったに違いないと。
 その頃、新聞やテレビで次のようなニュースが流れていたが、光太は知る由もなかった。
「今年も、大山で青年が行方不明。山口県から来た三橋光太さん27歳が、大山に登ると言って出掛けたが1週間が過ぎても消息がわからない。地元に問い合わせても帰って来ていないという。警察などが捜索したが依然行方不明のままである。心当たりのある人は、警察に連絡して欲しい。」
               ―完―







2022/08/20 4:43:48|小説「食虫花」
食虫花−16−
食虫花−16−
 
 立ったまま震えて動けないでいる光太に手を差し伸べながらゆう子が言った。
「さあ、屋敷に入りましょう。」
光太は、手を引かれるままゆっくりと歩いて行った。
 屋敷に戻ったとき、光太を囲炉裏の前に座らせると、ゆう子が話を始めた。
「あなたは、わたしを何者かと思っているのでしょう。」
「・・・・・」
「前に話した、武者修行の若者を殺したこの村の娘の亡霊です。村は滅びましたが、わたしはこうしてここに残っているのです。」
「・・・・・」
「わたしは、あの青年を殺してから、未だに彼のことが忘れられません。一度男を知った女の身体がどういうものか、あなたはわかりますか。」
「・・・・・」
「わたしの身体は、男なしではいられなくなりました。こうしてあなたのようにここに来た男の身体を求めているのです。」
「・・・・・」
「あなたは男としては立派な物を持っているし、技は未熟なところがありますが磨けばもっと上手になると思っています。あなたは、わたしから逃げてはならないのです。」
「・・・・・」
「去年も男がやって来ました。そう、年齢も背格好もあなたと同じです。でも彼は逃げようとしました。一度なら許せたのですが、二度も三度も逃げようとしたので殺してしまいました。鎌を背中に突き立てました。あなたが洞穴で見たのは、彼の死体です。そうそう、あなたが今着ているシャツやズボンは彼の物です。」
 光太は、恐怖で身体を震わせながら、何も言えないでいた。
                 ―続く―







2022/08/19 5:00:09|小説「食虫花」
食虫花−15−
食虫花−15−
 
 次の日も、光太は屋敷から出なかった。というより、出ることができなかった。寝間で一日中ぼんやりとしていた。ゆう子も、出掛ける様子はなく、光太は、自分が逃げ出さないように見張られているのだと思った。
 夜になると、ゆう子は寝間にやって来た。むさぼるように、光太を求めた。恐怖心からなかなかその気にならない光太を、あらゆるテクニックを使って元気にさせた。元々性経験の少ない光太である。そのテクニックに元気になり、ゆう子の思い通りになった。
 そんな日々が続いた。何日が過ぎたのか定かではないが、1週間以上が過ぎたと思えた。光太は、身体を交えているとき以外は、ずっと恐怖心に囚われていた。その間、何とかここから逃げ出さなければならないと思い続けていた。
 ある日、その機会がやって来た。ゆう子は、畑にでも出かけたのか、朝食を終えてしばらくしてから物音がしなくなった。光太は、リュックサックを背負うと、あたりの様子を見ながら木戸を出た。幸いゆう子のいる気配はしない。それを確認すると、小走りに森の小道の方に走って行った。その道は、ここに迷い込んだ道のはずだった。
 けもの道のような道を、藪をかき分けながら進んだ。森と藪で方角がよくわからなかったが、とにかくがむしゃらに進んで行った。1時間も歩いただろうか、すぐ先が明るく開けているのが見えた。村でもあるのだろうかと期待して進んでみると、そこには見慣れた光景があった。ゆう子の屋敷だった。森の中を一周しただけのことだったのである。
 愕然として立ち尽くしていると、すぐ目の前の森からゆう子が現れた。
「やっぱりあなたも逃げるのね。」
その声は、悲しみと憎しみを含んだものだった。
「今まで、いろいろな形で逃げられないと教えたはずなのに。」
「・・・・・」
「逃げたらどうなるか、あなたもわかっているでしょう。」
「・・・・・」
光太は、足が震えて歩くことさえできなかった。
                 ―続く―







2022/08/18 5:43:47|小説「食虫花」
食虫花−14−
食虫花−14−

 光太は思わず身体を引いたが、ゆう子はしがみつくように光太に抱き着いた。
「ねえ、昨日のように愛して!」
ゆう子が、光太の耳元でささやいた。
「・・・・・」
「私、あなたのことを好きなの。愛しているわ。」
「・・・・・」
「あなたは、まだ夢に怯えているのね。早く忘れることよ。」
そう言いながら、ゆう子は手を光太の物に伸ばした。恐怖心と体力の衰えで光太の物は縮こまっていた。
 しかしゆう子は諦めようとしなかった。ゆっくりと優しく光太の物を撫で続けた。光太も男である。そうされているうちに心に反して、彼の物が勃起の兆しを見せて来た。ゆう子は、身体を起こすと、光太の前を開き、光太の物を口に含んだ。手でしごきながら、先端を舌で包むようにして、光太の物に刺激を与えて行く。しばらくそうしていると、光太の物は意に反して固く大きくなっていった。
「あなたのこれが欲しいの。」
そう言うと、光太に跨り、彼の物に自分の部分をあてがってゆっくりと腰を沈めていった。彼女の部分が、光太の物を吸い取って行く。そして彼女は、腰を上下させながら声を出した。
「あゝ、いいわ、本当にいいわ。光太さん、逞しい。」
彼女から与えられる快感に、光太は恐怖心も忘れていた。
 終わった後で、ゆう子が言った。
「ねえ、ずっとここにいてくれるでしょう。私、あなたを本当に好きになったの。あなたを帰さないわ。」
 光太は、性の行為の熱情が冷めると、再び恐怖心が蘇って来た。今、身体を交えたゆう子と、昨日洞窟で見た女が、どうしても別人とは思えなかったのである。横に光太の手枕で寝ているゆう子の髪の毛の感触さえ不気味なものに思えていた。
                 ―続く―







2022/08/17 5:20:33|小説「食虫花」
食虫花−13−
食虫花−13−
 
 気が付いたときには、布団に寝かされていた。枕元には、ゆう子が座っていた。
「気が付いたのね。」
「ん?」
「随分、うなされていたけど、悪い夢でもみたのね?」
「裏の洞窟の骨は、あれは何なの?」
「それ、何のこと?」
「俺は見たんだ。菰に隠された人間の骨があった。」
「悪い夢をみたのね。そんなものはないわ。」
「いや、確かに見たんだ。」
「じゃあ、確認するといいわ。私も、一緒に行きましょうか。」
「う、うん、い、いや、行かなくてもいいよ。」
光太には、とてもあの光景を再び見る勇気はなかった。しかし、あれが夢だったとは思えなかった。
 それからの光太は、完全に恐怖心に捉われていた。食欲は無くなり、ゆう子の顔を見るのも怖かった。何とかここを逃げ出したいと思ったが、去年の男が逃げ出そうそして殺されたという言葉が気になった。洞窟であったことが、ゆう子の言うように夢だったとはとても思えなかった。それほど生々しく光太の脳裏に焼き付いていた。光太は、一日起き上がることができなかった。
 ゆう子は優しかった。甲斐甲斐しく光太の面倒を見、枕元に食事を持って来た。今朝ほど見た、女とはまるで違っている。しかし、光太はあの化け物のような女がゆう子の正体だと思っていた。出された食事も食べる気がしなかった。結局、その日は一日寝ていた。
 寝ていても、何とかしてここを逃げ出さなければという思いは次第に強くなって行った。しかしゆう子は、光太の近くから離れようとせず、逃げ出せる機会はなかった。
 夜になった。一日ほとんど食事も取らなかった光太は、元気が無く身体のだるさを覚えていた。
 そのとき、ゆう子がやって来て光太の布団に滑り込んだ。
                 ―続く―