男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2025/03/23 4:20:47|小説「朧月夜」
朧月夜−22−(最終回)
朧月夜−22−(最終回)

 チャイムを鳴らしても、インターフォンで呼んでも、やはり応答がない。合い鍵を使って部屋に入ってみると、テーブルの上に封筒があった。私は、急いで封筒を開けてみた。

「こんな形でお別れすることをお許しください。
 私は、あれから考えました。あなたと別れることは、本当につらいことでした。でもいずれは別れなければならない。あなたには、奥さんもお子さんもいらっしゃいます。そんなあなたと一生いっしょにいることはできません。
 私もまた故郷の親から結婚を強いられています。年老いて病床にいる母は、私が結婚しないでいることが唯一の心配の種だと言っております。
 私は、彼と結婚することにしました。この前言いましたように、彼は決して素晴らしい人間ではありません。ごく普通の人間です。あなたと比べると、足元にも及ばないでしょう。でも、彼は私を求めてくれています。私が、愛人であったことも承知でプロポーズしてくれたのです。
 そうは言いましても、この先、私があなたのことを忘れられるという自信もまたありません。彼と何回か身体を交えましたが、いつも脳裏にはあなたのことが浮かぶのです。私は、あなたによって女の悦びを知りました。あなたによって女になったと申し上げても言い過ぎではないでしょう。そのくらいあなたは私の中で大きな位置を占めているのです。
 やがてあなたのことが忘れられなくて、連絡をするかも知れませんが、それまでは、彼とのことに全力を尽くしてみたいと思い、取り敢えず今までの契約は反故にして頂きたいと思います。
 あなたのお幸せを心よりお祈り致しております。
             かしこ    
                友紀 」

 私は、その手紙を読んで、大きなショックを受けた。
 今までに何人かの女性と付き合ったことがあり、中にはかなり深く付き合った人もいたが、友紀ほど私の胸に入り込んだ人はなかった。しかし、これ以上何もできない。そのままマンションを出て車を拾うために表に出たが、静かな住宅街のこと、車はなかなか来ない。仕方なく駅の方向に向かって歩き始めた。
 春の宵、空には満月に雲がかかり、ときおり輝いたかと思うとすぐに暗くなっていた。
                −完−







2025/03/22 4:23:21|小説「朧月夜」
朧月夜−21−
朧月夜−21−

 私達は、話を続けた。
「もし、私が彼と恋人になったら、私達の関係はもうおしまいなのでしょう?」
「うん、君に対しても、君の恋人に対しても悪いしね。好きな人がいるのに、いつまでもこんな関係を続けているわけにはいかないよ。」
「でも、あなたのことを忘れられないの。もし彼と恋人になっても、もし結婚しても、付き合って欲しいとお願いしたらいけないかしら。勿論、手当なんかいらないわ。付き合って下さるだけでいいの。」
「それは今結論を出さない方がいいね。君の気持ちもどう変わるかわからないし、それにまずは彼を本当に好きになるように努力することが必要だよ。」
「でも、あなたとも別れたくないの。お金のことではないわ。私、本当にあなたなしではいられない身体になってしまったの。」
「でも、中途半端はいけないよ。それは、君のためにもならないよ。」
「・・・・・」
 友紀は、再び目に大きな涙を浮かべていた。
 私は、そんな友紀が愛おしくなり、肩を抱いて引き寄せた。そして涙を浮かべている友紀瞼に優しくキスをした。しばらく沈黙が続いた後で、私が言った。
「いいんだ。このまま別れるかどうかは、ゆっくり考えてごらん。もし、彼を選んだとしても、君が会いたいなら会ってあげるよ。それはそのときゆっくりと考えればいい。今、結論を出す必要はないしね。」
 その日は、そのまま家に帰った。
 帰りの車に乗ってからしばらくすると、急に寂しさがこみ上げてきた。最初に友紀と知り合ったときは、お金だけで繋がっている関係と割り切っていた。それが1年以上も身体を交えていると、いつしか強い心の結びつきになっていたのである。それは友紀の口から、別れるかもしれないという言葉を聞いて、実感として湧き上がってきたのだった。私の心の中では、このまま友紀を手放したくないという気持ちと、友紀の幸せを奪ってはいけないという気持ちが葛藤していた。
 その次に友紀のマンションに電話をしたとき、いくら呼んでも出なかった。今までにこんなことはなかっただけに、ちょっと心配になった。翌日、もう一度電話をしたが、やはり呼び出しベルが鳴るだけだった。
 私は、友紀のマンションに行ってみることにした。
               ―続く―







2025/03/21 3:28:39|小説「朧月夜」
朧月夜−20−
朧月夜−20−

「どうしたの?」
泣いている様子の友紀に、私が聞いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「話したくなければ、話さなくてもいいんだけど。」
しばらく沈黙が続いた後で、友紀がポツリポツリと話し始めた。
「実は、私、会社のある人とこの間結ばれました。」
「若い人?」
「ええ、まだ30代前半でしょうか、係長です。前から私のことを好きだって言ってくれていました。」
「君は、その人を好きなの?」
「ええ、身体を許したくらいですから、嫌いではありません。」
「彼は、結婚を望んでいるの?」
「ええ、そのつもりで付き合って欲しいって言われました。」
「君の気持ちはどうなの?」
「ええ、まだ迷っています。と言うのも、あなたと比べると彼のセックスは未熟です。私の身体は、彼のセックスでは満足できなくなってしまっているのです。」
「うん、でもそれはこれからだよ。僕だって、長い年月を経て今のテクニックを身につけたんだ。」
「いいえ、私にはわかるのです。彼は、決してあなたほど上手になることはありませんわ。彼は、あなたのとはまるで違って、自分中心のセックスしかしないのです。あれでは、どんなに歳月を経ても駄目ですわ。」
「他の面ではどうなの?例えば、日常の生活とか・・・」
「親切ですわ。でも時折、気がつかないというか、自分勝手なところが見受けられます。そこもちょっと不安の種です。」
「でも、結婚となるとセックスが全てではないしね。結婚におけるセックスと、楽しむためのセックスでは本質的に違うんだ。子供を産むためのセックスは神聖なものだし、楽しむためのセックスでは楽しむことに全力を傾けなければならないんだよ。」
「結婚したからって、子供を産むのは2人か3人でしょう。子供を産み終わったらずっと楽しむためのセックスが必要だわ。それなのに心のこもったセックスのできない人が相手では寂しいわ。」
「結婚は君が自分で考える問題だからね。でも、人生で幸せを見つけることは大事だよ。それも将来に向けてね。」
               ―続く―







2025/03/20 3:45:54|小説「朧月夜」
朧月夜−19−
朧月夜−19−

 眠りの後で酒の酔いも醒めかかっているのだろう、私の物は固く元気になっていた。
 友紀は、身体を起こして私に跨って私の物に手を添えて、静かに身体を沈める。私の物が、ゆっくりと友紀の中に吸い込まれて行く。それから友紀は私の胸に両手を置いて、徐々に腰を上下させる。次第に私の快感が大きくなる。それを確認するようにしながら、友紀は腰を回転させ、次第に動きを大きく激しくしていく。途中いったん上体を私の上に倒して、キスをしながら、腰の動きを続けた。私も、しっかりと友紀にキスを返した。私も下から友紀を突き上げるように腰を上下させる。私の上下運動と、友紀の回転運動のリズムが一致して、二人の部分が一部の隙もないくらいに密着して動き、やがて私も友紀も一気に最高潮まで上り詰めた。
 友紀が大きく痙攣を起こしたように身体を震わせたかと思うと、やがて身体から力が抜けて、私の胸に突っ伏した。再び、友紀は失神していた。二人は、後始末をする元気もないくらい疲れて、今度は長い眠りに落ちていた。
 その後も私は、友紀のところに決まったように週に2回は通っていた。
 しかし最近になって、少しずつ友紀の態度が違ってきていた。
今までは、私の言うことに対して素直に従っていたのだ、ここのところ私にいろいろと要求するようになっていた。
「もっと激しく動いて。」とか、「こっちもお願い。」とか言う。
 そして行為そのものも、より大胆になっていた。私は、友紀がもっと大きな快楽を求めて言っているのだと思っていた。
 そんなある日のことである。
私が友紀のところに訪れ、いつものように愛の行為を繰り広げていた。
 友紀の全身をくまなく丁寧に愛撫して、ひとつになろうとしたとき、「まだ、待って!もっと、もっと身体を苛めてください。」と言った。
 私は、あらゆる手段を講じて、もう一度友紀の身体を愛撫した。唇と舌と手を使って、乳房と秘部を同時に愛撫する。指を敏感な部分に挿入して激しく注挿を繰り返した。そして友紀が、いよいよ快感の極致に達したのを確認してからひとつになった。友紀も、自分から僕を迎えるように腰を積極的に動かしている。大きな悦びとともに最後を迎えたとき、私はそのまま友紀の胸の上に頭を乗せていた。
 そのまましばらくじっとしていたが、よく見ると友紀は目に涙を浮かべていた。
               ―続く―







2025/03/19 1:23:14|小説「朧月夜」
朧月夜−18−
朧月夜−18−

 何度か努力を繰り返すが、どうしても元気な状態で友紀と交わることができない。
 私は、意を決して、友紀だけでも行って貰うことにした。身体を起こして、ベッドに横たわっている友紀にもう一度最初から愛撫を繰り返した。唇へのキスから始まって、手で乳房を撫でながら、次第に舌で耳、首筋、肩、腕そして乳房をと舐めていく。乳房、乳首は、特に入念に愛撫した。乳首を唇で挟み、舌先で転がすと、友紀はやるせなさそうに身体を捩り、声を漏らした。それでも私は愛撫を緩めなかった。そのとき、手は友紀の下半身に移していた。友紀の部分は、愛液ですっかり潤っていた。やがて唇を下半身に移していき、いったん脚から、足先まで唇を這わせたあとで、今度は一番敏感な部分に舌を這わせた。唇で友紀の部分全体をくわえるようにして、舌を中に差し込んだ。いよいよ友紀の性感が高ぶったと見ると、私は人差し指と中指を揃えて、友紀の中に挿入した。唇で友紀のクリトリスをくわえて舌でなぞりながら、指の注挿を繰り返した。友紀の部分はすっかり興奮の極致に達していて、まるでお風呂上がりのように濡れそぼっている。私は指の動きを大きくして、中をかき混ぜるようにした。友紀が、今までになかったような大きな声を出して身体を硬直させたかと思うと、そのままグッタリとしてしまう。全身から完全に力が抜けてしまっている。私は、一瞬どうしたのかと心配になったが、お腹がゆっくりと波打っていることからあまりの快感に失神してしまったのだとわかった。
 しばらくして、友紀が我に帰った。
「私、どうしてしまったのかしら。」
「悦びが大き過ぎて、意識を失ってしまったんだよ。」
「まあ、恥ずかしいわ。」
「恥ずかしいことなんかないさ。君が、そこまで悦んでくれるなんて嬉しいよ。でも、僕の物で悦ばせてあげられなかったのが残念だけどね。」
「私、失神したのは初めてです。セックスがこんなに素敵なものだとは思わなかった。」
「これで君は本当の女の悦びを知ったんだよ。おめでとう。」
「ありがとう。あなたのお陰よ。でも、あなたに行って貰えなかったのは残念だわ。」
「それは自業自得なんだ。ちょっと飲み過ぎてしまったようだ。」
 それからしばらく二人は軽い眠りに就いた。
 心地よいまどろみに浮かんでいると、ふと下半身に快感が湧いてきた。目を覚まして見ると、友紀が僕の物に手を添えて、軽く口に含み、舌をねっとりと絡ませるようにして刺激を加えている。
               ―続く―