救済会 憩の園在日協力会

1958年、ブラジル社会福祉法人救済会「憩の園 (いこいのその)」は、主に日系人のお年寄りを対象とした老人ホームとしてサンパウロ市に開園し、その役割を担って参りました。 しかし、ブラジルの国状および日系人を対象とする施設の性格上、「憩の園」運営の現状は、近年大変厳しいものとなっています。 余儀ない事情で「憩の園」に老後を託した在園者の方たちへ、日本から温かい支援をお届けし、余生の日々に懐かしさと喜びを味わっていただけたらと、日々願っています。
 
Sep.15. 年3回開催される憩の園の「家族会」
憩の園では年に3回 「家族会」を開催します。
 
ご家族がいらっしゃらない方や遠方に住んでいらっしゃる方も多いので、
すべての方が参加されるわけではありませんが、憩の園らしい和かで
温かい雰囲気の中で進められます
 
 
まず、「家族会」が始まる前には、憩の園恒例のダンスを参加者全員で踊ります。
 
雰囲気が十分に和んだところで救済会会長・理事が挨拶、
続いて日頃入所者と直接接しておられる医師、理学療法士、作業療法士、看護師、
介護に当たっているシスターが、入居者の現状や課題などを、ご家族の皆様へ
報告いたします。
 
参加者が小グループに分かれて、意見交換や憩の園に対する要望などを
話し合う時間もあります。
話し合っていただいたことは、グループごとにまとめて発表していただき、
参加者全員で共有します。
これは、憩の園側としても、貴重なご意見を拝聴できるよい機会となります。
 
会場には入所者の書道や絵画、手芸などのサークル活動等の作品を
たくさん展示しています。
ご家族の皆様には、ゆっくりとご鑑賞していただき、入所者の方々の
日頃の生活を思い浮かべていただきます。
 
会が終わると、参加されたご家族が1品ずつ持ち寄っていただいたお料理などで
楽しく会食をします。
手の込んだ手作り料理あり、果物、既製品ありで、それぞれ個性あるご馳走は、
ご参加いただいたご家族の皆様の親睦に大いに役立ちます。
 
そして・・・最後はもちろんダンスで締めくくり、家族会は終了いたします♪







Aug.05. 子供の園 (KODOMO NO SONO)
サンパウロ市東部郊外のイタケーラ区に、日系人の知的障害児を対象とした
「子どもの園(こどものその)」という福祉施設があります。
 
1958年、日本の近代社会事業創始者の1人と言われる長谷川良信先生が、
浄土宗日伯寺学園内に「子どもの園」の前身となる精神薄弱児治療・教育部を
設立したのが始まりです。
 
施設名称の通り、元々は子どもを対象として設立されましたが、
18歳まで訓練しても全員が家庭や社会に復帰できるとは限りません。
知的障害を有する成人が、保護なしで厳しい社会生活を送ることは
大変困難なことから、「子どもの園」は成人のための更生授産施設としての
役割も担ってきました。
開設から半世紀が過ぎましたが、現在の園生は明らかに成人が多く、
「おとなの園(その)」といったほうが相応しいでしょうか・・・(^^ゞ
 
「子どもの園」では、いくつかの作業を行っていますが、
その収益は施設運営経費の一部となっています。
 
作業には、陶芸・手芸・養鶏・鶏糞を使った培養土作りなどがあり、
園生の適性に応じて行っています。
 
外部者は施設の内外を見学させてもらえますが、鶏舎だけには近づけません。
養鶏は、日頃見慣れない人を見ると警戒して卵を産まなくなるからだそうです。
 
 
憩の園もそうですが、ブラジルの福祉施設の運営は大変厳しいのが現状です。
施設長の大事な仕事は、運営費を支援してもらえる企業・個人・団体等に、
常に顔を出して、継続的な支援をお願いすることです。
それはまるで企業の営業活動のようです。
日本の福祉施設の施設長はこんな営業活動はしませんね(^J^)   
 
ところで、NHKが開催しているハート展に、ブラジルからも応募していることを
皆さんはご存知でしょうか?
 
「子どもの園」には資料館があって、今までの応募作品が展示されています。
詩はポルトガル語なので意味は良くわかりませんが、
添えられたイラストはとても素敵ですね。
 
日本からエールを送りましょう!
 
〜在日協力会事務局前掲示板 8月号より〜







Jul.08. 世界最大のイグアスの滝
南半球にあるブラジルの7月は冬ですが、日本はとても蒸し暑い時期です。
この暑さを吹き飛ばしていただければと、世界3大瀑布の1つであるイグアスの滝を
ご紹介します。
 
イグアスの滝(Foz do Iguaçu)は、ブラジルとアルゼンチンの国境にある
世界最大の滝です。
憩の園のあるサンパウロからは飛行機で1時間半、バスで16時間です。
 
イグアスの名は、先住民インディオの言葉で、「Igu=水」「açu=壮大なものへの驚嘆」
に由来しています。
滝幅5km・最高落差100mというスケールは、まさに「Iguaçu=壮大な水」と呼ぶに
ふさわしく、その迫力は感動・驚き・恐怖さえも超越していると言えるでしょう。
 
イグアスの滝は、広大なイグアス国立公園の中にあります。
イグアスの滝の楽しみ方はいろいろありますが、ジャングルクルーズはおすすめです。
ジープに乗ってイグアス周辺のジャングルを探検した後に、ボートで滝つぼへ向かう
ツアーですが、迫りくる瀑布と大地を揺さぶるような大音響に、
悲鳴や歓声がこだまします!!
 
イグアスの滝のすごさを味わうには最高のツアーです。
もちろん、ツアー参加者は存分に水しぶきを浴びていただくことになりますが・・・
 
いかがでしょう・・・、少し涼しさを感じていただけましたでしょうか!?
 
〜憩の園在日協力会事務局 7月掲示板 より〜







ブラジル最古の日本人植民地・・・レジストロ
サンパウロ州レジストロは、ブラジルで最も古い日本人植民地で、
サンパウロ市から南西に約200キロのところにあります。
 
第1回移民船「笠戸丸」が、ブラジルに到着したのが1908年。
それから5年後の1913年に、レジストロには “日本人村”が築かれました。
「日本移民ゆかりの地」と言われています。
 
レジストロは「ここはブラジルではなく、日本ではないの?」と思いたくなるほど
日本文化が根付いています。
民謡、和太鼓、日本舞踊、茶道、日本語教室、ラジオ体操等々…。
また、年中行事として、寿司作り、盆踊り、灯篭流し、運動会、敬老会、
日本食の夕べ などがあります。
 
以下の写真は、レジストロ日伯文化協会の建物です。
 
いかがでしょうか?
現代の日本社会では、たとえば公民館などでもモダンな建築物が多いですが、
こちらは何かホッとする日本家屋です。
市内には鳥居やお寺、そして教会もあります。
 
レジストロは、お茶でも有名です。
1935年、奈良県生まれの茶の専門知識を持った岡本寅蔵は、
当時持ち出しを禁じられていたお茶(アッサム種)の種子を、
パンに隠してセイロンからブラジルに持ち込みました。
船内で発芽させて、レジストロに植えたお茶は、今も青々と茂っています。
 
岡本寅蔵の子孫が経営する製茶工場は広大な敷地にあり、
茶畑、工場、プール付邸宅が点在しています。
社長宅に招かれると、ゆったりした応接間で素敵なカップで
おいしい紅茶とクッキーをいただくことができます
 
市内には、南米最大規模と言われた精米所を利用した
「レジストロ移民資料館」があります。
館内には、移民が日本から持って来た和食器や柳行李、
移住当初の家財道具などが展示されています。
 
また、レジストロでは い草が栽培されていますが、
い草製品を製造する工場もあります。
日本のい草の歴史は1300年とも言われていますが、あの心地よい香りに
日本人は癒されます。
近年、日本では洋間が増え、畳の部屋が少なくなっていることもあるためか
い草の香りでノスタルジックになる人も多いのではないでしょうか。
 
レジストロには、古きよき時代の日本文化がしっかりと残っています。
「古き、良き日本」を訪ねて、レジストロ訪問はいかがでしょうか?
 
〜在日協掲示板6月版より〜







2012年5月の在日協事務局掲示板
5月の在日協掲示板のご紹介です。

今月は、憩の園における5月の代表的な行事を掲載させていただきました。

 

憩の園では、日本と同じように季節ごとの伝統的な行事を行っています。

むしろ日本の行事に対する意識は、日本国内より憩の園のほうが高いかもしれません。

 

5月には、2つの行事を毎年行います。

 

その1つは「こどもの日」です。

憩の園のお年寄りは、もちろん子供ではありませんが、新聞紙で兜を作り、

子供の頃を思い出しながら、みんなでお祝いをします。

 

しかし、1つ疑問が浮かびます。それは柏餅の存在です。

日系人の多いサンパウロでは、色々な和菓子を見かけることができますが、

子供の日の定番と思われる柏餅を、憩の園で見かけたことがありません。

 

ご承知の通り、そもそも「端午の節句」は、粽(ちまき)」と一緒に

中国から伝わってきました(平安時代)。

中国では節物として「粽」を作り、親戚や知人に配るという慣習があります。

粽には「難を避ける」という縁起的な意味があるそうです。

 

一方、柏餅が定着したのは江戸時代の頃のようで、江戸から全国に広がりました。

柏の木は新芽が出ないと古い葉が落ちないので、

「子供が生まれるまでは親は死なない」、つまり「家系が途絶えない」

という子孫繁栄の意味があるようです。
ちなみに「拍手(かしわで)を打つ」と言いますが、柏は昔から神聖な木とされ、


柏の木に神が宿っていることから生まれた言葉のようです。

 

ということで、日本でも「こどもの日」の「柏餅」を食べるのは東日本に多く、

西日本は「粽」が多いと分析している方がいます。

実際はどうなのでしょうか??

 

ブラジルへの入植者数を都道府県別にみますと、熊本がトップで

沖縄、福岡、北海道、広島と続きます。西高東低です。

憩の園関係者やお年寄りにも同じ傾向があれば、憩の園で柏餅を見かけない理由と

結びつくような気もしますが・・・(;^_^A

 

さて、子供の日のお話はこれくらいにしまして・・・、もう1つの行事を紹介しますが、

それは「母の日」です。

 

憩の園の「母の日」の特徴は、何と言ってもお母さんである職員に、

ちょっとしたプレゼントがあることです。

日本ではカーネーションが一般的ですが、憩の園では黄色いバラとお菓子です。 

 ※独身のシスターや職員にはありません。

 

日本の老人ホームでは、「母の日」に憩の園のようなプレゼントをする習慣は、

あまり聞いたことがありません。憩の園らしい温かい心配りなのです。