宝石サンゴの採取には、日本漁船でも許可が要る。資源管理や生態系保護を無視した中国密漁船の乱獲が続けば、日本の貴重な生物資源は危機に 瀕
(ひん) しよう。
中国は、国内法でサンゴの採取を厳しく禁じている。赤サンゴはパンダやトキと同様、国が重点的に保護する対象の野生生物だ。
母国での厳罰を避けるように、中国漁民が日本の海を荒らし回る現状は看過できない。
密漁横行の背景には、中国での赤サンゴの高騰がある。上海では、5年前の4倍以上の1グラム約15万円で販売されているという。
中国の不動産市況が悪化し、経済成長が減速する中、投機マネーが流入しているのではないか。目立たず、高値で換金できるため、賄賂や隠し資産にも使える。
海保は、警察や水産庁とも連携し、密漁船摘発の態勢を強化すべきだ。経済権益や資源を守るばかりではない。小笠原諸島周辺の漁民や住民、海保要員などの安全確保も急務になっている。
密漁船の夜間の無灯火航行は、危険極まりない。尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件や、韓国近海で相次ぐ海洋警察と中国漁民の衝突は、「一獲千金」を夢見る密漁者の凶暴性を示している。
海保は、尖閣諸島周辺の警戒など、他の重要任務も抱える。巡視船の増強には限界がある。
根本的な密漁対策には、中国での出港時の監視強化のほか、違法な流通ルートの摘発など、日中両政府の協調行動が欠かせない。
日本は、密漁の再発防止を中国に申し入れている。違法に採取されたサンゴが市場に出回らないようにすることは、中国の利益ともなるはずだ。国境を超えた犯罪への共同対処を急ぐ必要がある。