居酒屋「かぼちゃ」のママさんの友達に、リリアンがいました。ブラジル人で、色の白い鼻筋の通ったとても美人です。日本の漁師さんと結婚して、高鍋の町に住んでいます。漁で留守がちな家をよく守り、舅や姑によく仕え、よく働くそうです。夫が漁から疲れて帰って来たときには、7時間でも8時間でもマッサージをするそうで、海で働く夫にもしものことがあっても、7年間は婚家にとどまる覚悟だとも言います。今の日本女性に失われたものが、ブラジルの女性に残っていたと、ママさんが感心していました。 一方、我が飼い主さんは、よく言っていました。 「おなじ亭主が死ぬんならさぁ、公務がいいね。保険金の上に、賠償金まで付くでしょう。基地の外で死んだら、トラックに乗っけて基地まで運んで塀の中に放り込めばいいんだ。あっはっは〜。」 亭主のいる目の前で平気で言います。 僕は、ママさんに「リリアンの爪の垢を貰って来てくれ。」と頼みました。密かに、お茶かコーヒーに混ぜて、飼い主さんに飲ませるのです。薄めたのでは効かないだろうから、濃くして飲ませるのですが、多分、体に合わなくて、副作用で下痢を起こして、ほとんど効果はないかも知れません。しかし、何もしないで塀の中に投げ込まれるのを待っているよりは良いと思いました。 しかし、結局爪の垢は貰えず、今日に至っています。 |