夜の訪問者−25−(最終回) その夜、やって来た幽子に光義が言った。 「とうとう、やったな。お前の恨みもこれで果たせたわけだ。」 「そうね、ありがとう。私も本望よ。でも、あたし明日は天国に行かなくちゃならないの。こうしてあなたのところに来られるのも今日が最後なのよ。」 「そうか、そうなるとちょっと寂しいなあ。」 「あんたもそう思ってくれるのね。嬉しい!あたしが天国に行ったら、早めに呼んであげるわね。」 「よせよ、俺はまだ死にたくないよ。」 「だけど、あんたはこれから女を見付けて結婚するのでしょうねえ。」 「それはするかも知れないよ。俺だって男だからな。」 「そんなの嫌よ。私、あんたに惚れちゃったから天国から見ていて、結婚なんかしたら許さないからね。」 そう言うと幽子は、光義の太股を思い切り抓(つね)った。 「イテテッ、やめろよ。俺は、お前と結婚しているわけじゃないんだから、焼き餅を焼かれる筋合いはないぜ。」 「そんなこと言ったって、あんたが他の女と結婚するなんて許せないわ。」 そう言うと、もう一回力任せに腿を抓った。 「イテテッ!」 そのとき光義は目が覚めた。起き上がってみると、立てかけてあった置き物が自分の腿に倒れかかっていた。記憶の鮮明さから考えて、さっきまでのことが夢であったとは思えなかった。 深夜2時の時計がボ〜ン、ボ〜ンと鳴った。 −完− |