人妻−10−
次にデートをしたのは、2週間後の月曜日だった。食事をし、いつものホテルに行った。 毎朝の電車で会っているとはいえ、身体を交えるのは10日ぶりである。朝の電車の中では、高まる欲望を抑えていた。その反動もあってか、私達はむさぼるように愛し合った。 心地良い疲労感が残る愛の行為の後で、私が聞いた。 「休日は何をして過ごしているの?」 「家事や買い物が多いですけど、たまに公園を散歩したりします。」 「僕も、普段は身体を動かさないので、休日は良くウォーキングをするよ。」 「この季節は、気持ちが良いですね。」 国分寺から行くとすると、立川にある昭和記念公園だろうと思った。私は、そこで逢えたらと思ったが、彼女の迷惑になってはと思い話題を変えた。 そして再び、彼女に挑んで行った。 月曜日の情事は、どうしても疲れが残る。それは仕事とは違う疲れだった。 翌日の朝、庶務担当の洋子がオフィスに置いてあるコーヒーを持って来て言った。普段は自分で淹れるのだが、今日は彼女が気を利かせて持って来てくれたのである。 「部長、お疲れのようですね。」 「そうかい?そうでもないけどね。」 「でも、さっきあくびをなさっていたわ。」 「そうだったかなあ・・・」 「コーヒーで元気になってください。」 洋子は、笑いながらそう言うと、私の前から立ち去った。 彼女は、入社2年目に入るが、なかなか気が利いた女の子である。営業1課の所属であるが、私のスケジュール管理や、経費関係の書類の整理、来客時の茶の接待など、秘書的な役割を果たしてくれていた。細かいことに気が付くし、営業部全体の動きにも確かな目を持っているようで、「最近、営業4課の元気がないみたいです。」などと情報を入れてくれる。そんな彼女だけに、自分と祥の関係を見抜かれているのではないかと危惧した。 洋子とは、最初のとき挨拶の意を込めて食事を共にしたが、その後はしていない。私は、社内報を持って来た彼女に言った。 「川野辺君、君の都合が良い日に食事でも付き合ってくれないか?」 「嬉しいです。ありがとうございます。」 そう言って大きくお辞儀をすると、自分の席に戻って行った。 しばらくすると、私のプライベートの携帯にメールが届いて、洋子から金曜日の都合が良いと書かれていた。私のスケジュール管理をしている彼女だから、駄目だと言うことはできなかった。 定時退社日の金曜日、私は先に渋谷にあるレストランに行って、洋子が来るのを待っていた。 ―続く− |