妖精の歌−05−
「ねえ、あっちにフリー・フォールがあるわ。あれに乗ってみましょう。」 美鈴がまた楽しそうに言います。私は、すぐにと言われてもちょっと躊躇します。 「ねえ、何か食べてからにしようよ。」 「いいわ。」 私達は、レストランに入ります。遊園地のレストランなので、大したものはありませんが、それでも十分に遊んでお腹が空いているのでおいしく感じます。美鈴も、私も、ハンバーグ・ライスに舌鼓を打ちます。 食事が終わってから再び遊園地の中を歩いてフリーフォールに向かいますが、途中で私はアイスクリームを買います。 「ねえ、これを食べてからにしよう。」 ひとつを美鈴に渡します。二人は、手を繋いで歩きながら、アイスクリームを食べます。私にしてみればこんな形でアイスクリームを食べるのは何年振りでしょう。 やがてフリーフォールの前に来ますが、また恐怖で胸が高鳴ります。すぐに座席に座れます。美鈴と並んで座り、安全ベルトを締めるとゆっくりと昇って行きます。高いところが嫌いな上に、そこからフリーフォールすると考えただけで、肝が縮み上がる思いです。 段々高くなって下の景色が小さく見えるようになります。いつ急落下するかと思うだけで私は全身に力が入り、美鈴の手を強く握り締めていることにも気がつきませんでした。 落ちる瞬間は、ほんの数秒なのでしょうが、私には長い地獄への坂道を落下しているように思えました。乗り物から降りても、しばらく胸が高鳴っていました。 それからしばらくベンチに座って休憩です。 「美鈴さんは、高いところ平気なんだね。僕は、どうも苦手で・・・。」 「そうみたいね。私の手をしっかりと握っていたわ。」 「ごめんね。」 「いいの、三橋さんのそんなところが、好きだわ。」 「いやー、大の男が恥ずかしい。」 しばらくお喋りをしていましたが、このときふと思い付いて私が言います。 「ねえ、あっちの方にお化け屋敷があったけど、行ってみない?」 「えっ、お化け屋敷?」 「幽霊屋敷だったかな?」 「私、そういうのは苦手だわ。」 「スリルがあって、おもしろいよ。行ってみよう。」 今度は私が手を引いて行きますが、美鈴の方が、腰が引けています。入り口にから入って行くと、早速、お墓に蜘蛛の巣があって骸骨やら死体が転がっていました。 ―続く― |