男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2025/04/13 3:55:40|小説「遭難記」
遭難記−10−
遭難記−10−
 
 前の男を見よう見まねで踊るのだが、元々音感のない俺はとても早いリズムに追い付いて行けない。5分程踊ったところで、踊りの輪から逃げ出した。村の長が、笑いながら俺を迎えた。モナはしばらく踊っていたが、やがて輪から離れて俺の横に座った。
 祭りは、夜遅くまで続いた。人々は、老若男女共、飲んで食べては踊り、踊っては飲んで食べていた。
 満月が空の真上に来たとき、やっと祭りが終った。すると若い男や女達は、手を取り合って繁みに入って行った。このような風習は、昔の日本でもあったと聞いたことがある。
 俺がその様子を眺めていると、モナが俺の手を引いた。俺との時間を過ごすようである。俺は、手を引かれるままモナの後に着いて行った。モナの家族たちは、全く知らん顔である。
 モナが連れて行ったのは、俺の家だった。家に入ると、すぐに抱き合った。キスを交わす。モナも、最近はすっかりキスが上手になっていた。
 この村の男女には、キスやセックスの前の愛撫のような習慣はないようだった。俺のところに通って来る女達も、キスには驚いたようだったし、愛撫をしても最初はくすぐったがった。しかし、何度かしているうちに慣れて行って、やがて自ら俺の手を取って自分の乳房や秘密の部分に導いたりするようになった。無論、最初にそうなったのはモナだった。その夜、モナは初めて俺の家に泊まった。
 俺は、少しずつ村の暮らしに溶け込んでいった。道具を借りて、川に釣りに行ったり、たまには遠く海にまで出掛けた。海の魚は美味しいらしく、モナの家族達も喜んでくれた。俺は、村の若者達を連れて海に行った。そのために、ジャングルの道を切り開いた。海までは距離があるので大変な作業だったが、若者達は積極的に働いた。俺の指導によって、若者達の釣りも上手になっていた。釣りに行くときは、往復に時間がかかるので泊りがけである。そのために、浜に小屋も作った。海では、魚釣りの他、岩場の海老や砂浜の貝などが食べられることも教えた。
 森では、若者達に教えられて、弓や槍でウサギに似た動物の獲り方を教わったし、女達からは畑の作り方も教わった。そうしているうちに、俺はすっかり村の生活に溶け込んでいった。
 村の生活でひとつの障害は、言葉だった。俺は、家を指差して「いえ」と言ったり、魚を指差して「さかな」と言ったりして、言葉を教えたし、彼等も同じようにして彼等の言葉を教えてくれた。彼等との会話は、日本語と彼等の言葉がごっちゃになったものだったが、それでも時を経るとともに、何となく意思が通じるようになっていた。
 俺の横には、常にモナが寄り添っていた。俺とモナの関係は村の人々も公認のようだった。
              ―続く―







2025/04/12 4:50:41|小説「遭難記」
遭難記−09−
遭難記−09−

 女は無言のまま、俺が寝ている寝台に近付いて来た。そして寝台の横に立つて着ているものを脱いだ。俺は仰向けに寝たまま、女の様子を見ていた。
 女は、俺の横に身体を横たえると、俺に抱き着いて来た。俺は、据え膳食わぬは男の恥と思ったが、モナのことが気になった。モナは、俺のことを自分の男と思っている筈である。どうしたものかと躊躇しているときである。再び、入り口の扉が開けられて、月の光が差し込んだ。俺が、そっちを振り向くと、やはり女が立っていた。体つきからモナだとわかった。
 モナは、ゆっくりと近付くと、女に何か話し掛けた。女も笑い声で何かを答えている。モナは、何か優し気な言葉を女に掛けると、そのまま出て行った。女が、再び俺に抱き着いて来た。どうやら、ここに来ることはモナの了解済みのようだった。
 俺は、女を抱いた。女は喜びの声をあげた。その声が外に聞こえそうなので、俺は慌てて、身体の動きを緩めるほどだった。
 俺のところに食事を運んで来る女は5人ほどいた。次の日の夜から、彼女達が交替で俺の家にやって来た。最初の女がミク、次がミト、そしてナム、ミナ、ルリである。いずれも16歳から20歳ほどの年齢だった。
 無論、モナが来ることが多かったが、彼女達が鉢合わせをすることはなかった。俺は、モナが俺のところに来る女達の順番を決めているのではないと思った。村を歩いているときも、彼女達が仲良さそうに話をしているのを度々見掛けたから、憎み合ったり嫉妬しているのではないと思えた。
 村には、若い男達もいる。俺のところに来る女達が、若者と親しそうに話をしているのを見掛けることがある。時には、一緒に森の中に入って行くこともあった。どうやら、性に関しては極めて開放的な民族のようだった。
 村の祭りがあった。
 広場では大きな焚き火が焚かれ、その周りに人々が車座になって座っている。焚き火の傍には大きな鍋が置かれて、料理が煮られていて、人々の前には椰子の葉が敷かれ、焼いた魚や煮た芋、果物などが並べられていた。しばらくすると、焚き火を囲んで踊りが始まった。男も女も太鼓や弓の形をした弦楽器の音に合わせて、踊りに興じている。身体を前後に揺すりながら激しく動く派手な踊りである。
 踊りが終ると、男も女も談笑しながら料理を食べながら酒を飲んでいる。俺の横には、モナが座っていた。最初は独特のにおいになかなか馴染めなかったどぶろくのような酒だが、何度か飲んでいるうちにあまりにおいも気にならなくなり、今ではすっかりなじみ深いものになっていた。
 しばらく飲んだり食べたりした後で、また踊りが始まった。男も女も、激しい踊りに陶酔状態に陥っているように見えた。一人の女が、踊りの輪から離れて俺の前に来ると手を差し伸べた。踊りの輪に加われと言っている。ちょっと躊躇したが、笑顔を作って女に導かれるまま踊りの列に加わった。
              ―続く―







2025/04/11 1:12:24|小説「遭難記」
遭難記−08−
遭難記−08−

 俺が呆然と駆け去って行く女を見ていると、モナが気にするなという風に俺に抱き付いた。まるで見られていたことは気にしていないようである。モナは、俺の手を自分の乳房に導いた。
 俺は、モナにキスをした。ここではキスの風習がないのか、最初は驚いたようだったが、不器用ながらすぐに応じてくれた。
 しばらく抱き合っていたが、やがて滝の水から出て、村の方に歩いて戻った。その間、モナの手は俺の腰に回されていた。途中で何人かの畑作業をしている女達に出会った。彼女達は、俺達の様子を珍しいものでも見るように見ていたが、すぐに作業に戻った。農作業と言っても、複雑なものではなかった。ときどき木でできた鍬で耕すが、大部分は草を刈ることだった。
 村に戻ると、俺は自分の家に向かった。俺が家に入ると、モナも後ろから着いて来た。そして俺の手を取ると、床の敷物の上に一緒に座り、俺に抱き着いて来た。俺を抱くようにして、顔を寄せた。キスをせがんでいるのである。俺も、モナを抱き寄せるとキスをした。俺達は、キスをしながら抱き合っていた。俺の物は、興奮ですっかりいきり立っていた。それを感じ取ったモナがおかしそうに笑った。
 そのとき、入り口の扉が開いた。若い娘が、食事の入った籠を手に持っていた。娘が、モナと何か話している。モナは、床を指差して、何か言った。娘は、籠を床に置くと出て行った。再び、モナが俺に抱き着いた。俺とモナが結ばれたのは、それからしばらくしてからだった。モナは、初めてだったらしく、ちょっと苦しそうだったが、終わったときにはケロッとした顔をしていた。
 モナが帰って一人になると、妙な感慨にふけった。東京にいるとき何人かの女達と交渉を持っていたが、こんな気持ちは初めてだった。青春時代に初体験をした、そんな気持ちになっていた。
 その後も、毎日のようにモナはやって来た。この村は、性には開放的なようだった。家族も、モナが俺のところにやって来ることには何も言っていないようだったし、食事を運んで来る娘たちが、俺達が抱き合っているのを見ても、気にしている様子はなかった。その後、目にしたのだが、野良で男女がバナナの葉を敷いてセックスをしているのを目にしたことがあったが、俺達が近くを通っても、止めようとはしなかった。
 ある夜のこと、俺が寝ていると入り口の扉が開けられる気配を感じた。見ると、扉のところには、背中をる気灯りに照らされた女の影が見えていた。
              ―続く―







2025/04/10 1:41:58|小説「遭難記」
遭難記−07−
遭難記−07−
 
 モナは、真っ直ぐに伸びた美しい黒髪をしていた。瞳は大きく、笑顔になるとえくぼが可愛い。特にちょっと首を傾げたときの可愛らしさは魅力的だった。そんなモナと腕を組んで森の中を歩いていると、年甲斐もなく胸がときめいた。
 東京にいるとき、俺に寄って来る女はけっこういた。俺に寄って来るのか、俺の財産に寄って来るのかはわからないが、女に不自由することはなかった。夜を共にすることもしばしばあったが、単なる性の捌け口と割り切っていた。ところが今、モナと歩いていると、高校時代に彼女に想いを寄せたのと同じような新鮮な気持ちになる。
 彼女が俺に親切にするのは、村の長から言われているからか、あるいは自発的なものかはわからないが、俺に好意を持っているのは確かなようだった。
 俺は、モナと過ごす時間が多くなった。その間、いろいろな言葉を覚えた。モナは日本語を、俺は現地の言葉を教え合った。無論、単語だけであるが、僅かながらでも言葉が通じると親しさが湧く。モナは、賢かった。理解が早く、教えた言葉はほぼ間違いなく覚えた。
 また動きも敏捷で、時には木に登ったり、川で泳いだりした。俺は木には登れなかったが、泳ぎはできる。あるとき、モナの案内で川の上流に行った。そこに高さ5m程の滝があり、その下が15m程の滝壺になっていた。モナは、衣服を脱ぐと水に飛び込み、水面から顔を出すと俺に手招きをした。
 俺もジーンズとシャツを脱いで、水に飛び込んだ。モナが、俺に水をかけた。俺も、モナに水をかけた。モナの笑い声が、森に響いた。しばらくじゃれ合うようにしていたが、俺は自分の物がいきり立っているのに気が付いた。それを指差して、モナが笑った。
 俺は、モナを抱き締めた。モナは、抵抗することもなく、俺にしがみつくようにしていた。俺の物が、モナのお腹に当たった。それを感じたモナがおかしそうに笑った。その様子は、まさに天真爛漫そのものだった。
 俺達は、しばらく水の中で抱き合っていた。モナの息が次第に荒くなっていった。俺は、乳房に手を這わせた。小さい乳房の上に、小豆ほどの乳首がある。そこを優しく撫でると、モナは頭をのけ反らした。
 そのとき、繁みの方でガサガサと音がした。誰かが俺達のことを見ているのである。俺は、思わずモナを突き放すようにして身体を離した。
 目撃したのは、走って去って行く若い女の後ろ姿だった。
              ―続く―







2025/04/09 4:38:39|小説「遭難記」
遭難記−06−
遭難記−06−
 
 村の長は、隣の男達と何かを喋っていたが、俺には何を言っているのかわからない。隣に座っていた娘が、空になった俺のコップに酒を注ぐ。会話ができないのは不自由なものである。ゆっくりではあるが、俺は料理を食べながら飲み続けていた。
 村の長や男達と目が合うと、俺はカンパイと言ってコップを持ち上げた。彼等も、カンパイと言ってコップを持ち上げて酒を飲んだ。カンパイが、初めて彼等と交わした言葉だった。
 その後も、カンパイを続けながらの時間が流れた。男達は酒が強いらしく、饒舌にはなっていたが、酔い崩れる様子はなかった。さすがに俺は酔いが回ってウトウトしたらしい。男も女も、そんな俺を見ながら笑っていたが、いつしか意識を失っていた。
 気が付くと、自分の小屋に寝かされていた。傍には、隣で俺に酒を注いでいた少女が寝台の横に座っていた。頭がズキズキしていた。彼女が、水甕から汲んだ水を、竹のコップに入れて差しだした。俺は、それを一息に飲んだ。彼女は、名前をモナと言った。村の長の孫娘だった。手振りで彼女が18歳であることを知った。南方なので色は黒いが、スタイルは抜群でセクシーである。再び眠って目が覚めると、彼女はもういなかった。
 翌朝、目が覚めてぼんやりしているとモナが食べ物を運んできた。焼いた魚と蒸した芋と果物だった。二日酔いであまり食欲はなかったが、食べ物を喉に押し込んだ。そんな俺をモナは笑顔で眺めていた。
 午前中寝台で寝ていたら、昼には昨日畑で出会った娘が食べ物を運んで来、夜には別の娘が食べ物を運んで来た。その後もそんなことが続いた。モナが付き添って来ることもあれば、他の娘が一人でやって来ることもあった。モナと彼女達は親し気に話をしているが、モナが他の娘たちを仕切っていることはその態度でわかった。
 俺は村の散歩をすることにした。村には、広場を中心に2〜30軒の家があった。村の中心には幅10m程の小川が流れ、魚が泳いでいた。村からは、四方の畑に通じる道があった。広場を過ぎるとジャングルに入り、人がやっと歩けるほどの狭い道である。
 畑に向かって歩いていると、後ろから足音が聞こえた。振り向いて見ると、モナだった。彼女は、俺に近付くと俺の腕を取った。顔は笑っている。俺は、彼女と腕を組むと、一緒に歩いて行った。
 途中で彼女が指さす方を見ると、バナナやマンゴーのような果物があった。畑に着いてみると、そこにはタロ芋が植えられていた。彼等は、完全に自給自足の生活を送っているようだった。おそらく着ている麻の衣類も、自分達で作っているのだろう。
 モナは、相変わらず俺と腕を組んだままだった。
              ―続く―