人妻−20−
明日は赴任して行く日である。洋子が持って来た書類の中に1枚のメモがあった。 「部長、長い間お世話になりました。私も、社長室勤務になります。部長と二人で送別会をしたかったのですが、お忙しいようなので遠慮致しました。九州に行かれても、どうぞお元気でご躍ください。 川野辺」 整ったきれいな字でそう書いてあった。私は、サッと目を通すとそれをポケットに仕舞った。自分の席からその様子を見ていた洋子は、こっちを向いてニコッと微笑んだ。 異動の日がやって来た。私は、妻と一緒に新幹線で九州に向かった。妻は、家財道具や引っ越し後の整理のためにやって来たので、それが終れば帰る予定である。 会社が社宅として借り上げたマンションは、町から15分ほど走った郊外の山の手にあった。荷物を置くために社宅に寄ると、総務の人間が迎えに来ていた。そのまま妻と共に、会社に行った。 工場長の部屋は、以前出張で何度も来ていたので、目新しいものはなかった。妻は、総務の人間に「お世話になります。」と言いながら挨拶をしていた。 2日ほどいて、妻は帰って行った。 妻を駅まで送って行ってから携帯のメールを開いて見ると、祥と洋子からのメールが届いていた。どっちも着任の祝いの言葉と、新しい任地での感想を問う内容であったが、祥のには私がいなくなってしいと書いてあり、洋子のには社長は厳しい人で仕事は忙しく私と一緒だった頃が懐かしいと書いてあった。 私は、まず祥に返事を書いた。 「メールをありがとう。 こっちに来て、最初は地域への挨拶回りバタバタして忙しかった。そのうちにゆとりも出て来るだろう。でも夜は退屈で、暇を持て余している。そんな時、君とのことを思い出している。君の、優しさと素敵な身体を思い出しては、悶々とすることがある。君のきれいな胸のふくらみや、僕を包んでくれる秘密の部分を思い出すと、逢いたい想いがつのります。」 次に、洋子に返事を書く。 「メールをありがとう。 確かに社長は厳しい人で大変だと思うが、辛抱して頑張って欲しい。あの人の下で頑張れば、どんなところに行っても辛抱できるだろう。こっちにも秘書はいるが、君ほど気が利いて仕事ができる人はいない。本当は、君に来て欲しいくらいだ。」 翌日、祥からメールが来た。朝の電車の中かららしかった。 「一人電車で通っていると、あなたと一緒だったころを思い出します。あなたの息が耳元にかかったときの興奮が忘れられません。そして、あなたとの夜のことが思い出されます。」 「僕も、君との夜を思い出します。君の黒髪、君の瞳、今すぐにでも口づけしたい。」 「してください。あなたの私の身体へのキスが忘れられません。」 このようなメール交換が始まって、内容は次第に過激なものへなって行った。 「あゝ、早くしてください。あなたが欲しいです。」 「行く、行くよ。君のお姫様が、僕を欲しがっている。さあ、早くひとつになろう。」 「待ってください。お風呂に入ってからにしましょう。」 「そんな、待てないよ。僕をじらすのはやめてくれないか。」 「でも、汗をかいていますから。」 「いいんだ、その方が君の匂いがして好きだよ。」 「じゃあ、一緒に入りましょう。私が、あなたの身体を洗ってあげますから。」 こんな調子のメール交換が続いた。 ―続く− |