男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2026/08/26 12:54:44|小説「人妻」
人妻−25−
人妻−25−

 祥とまたしばらく逢えないと思うと、やりきれないような気持ちになる。仕事中も、ぼんやりと考えていることが多かった。
 祥と逢って1か月ほどが過ぎたとき、洋子からメールが入った。社長が工場を視察するとき、秘書の洋子が同行するのだという。今までは、秘書室長が同行していたのだが、今回は特に頼んで自分が来ることになったとあった。社長も、彼女が私の部にいたことを考慮して了承したのであろう。
 社長が来た。玄関で社長を出迎えると、後ろには洋子が立っている。休憩の後、工場を視察するときも、洋子は社長の後ろを随行していた。
 社長がトイレに行ったとき、洋子が私に言った。
「後で工場長にお話したいことがあるのですが・・・」
「わかった、夕食会が終ったらホテルのバーで会うことにしよう。」
 それだけ言うと、何もなかったような態度に戻った。
 夜は、食事会を兼ねた宴席である。社長は、ご機嫌だった。工場の運営に特に問題は無かったし、翌日は、市役所や世話になっている会社や商工会議所などに挨拶をするだけである。本社でのハードな仕事に比べてリラックスしている様子だった。 
 この間、洋子や私の秘書は、控室で食事をしながら待機していた。8時に宴席が終わり、社長は自分の部屋に戻って行った。
 私は、運転手に「自分は用事があって残るから、部長達を送ってくれ。僕は、タクシーで帰るから。」と言って帰した。
 その足でホテルのバーに向かった。
 洋子は、バーのカウンターに座っていた。
「お疲れさま。社長のお供は気を遣うだろう。」
「いいえ、部長、いえ工場長に会えるのが楽しみでした。」
「そうか、ところで話と言うのは?」
「私、結婚することにしました。」
「そうか、それはおめでとう。相手は、どんな人?」
「父の会社の人で、課長をしています。」
「ふ〜ん、君のような素敵な人をお嫁さんにするなんて、幸せな男だね。」
「お願いと言うのは、結婚式に来ていただきたいのですが。」
「いつのことだろう?」
「まだ決めていませんが、1年後くらいになると思います。」
「わかった。日取りが決まったら、なるべく早く教えてくれないか。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
 洋子は、大きくお辞儀をした。
 それからしばらく本社の様子などを聞いて、私は家路についた。
         ―続く−







2026/08/25 13:27:10|小説「人妻」
人妻−24−
人妻−24−

 この日の夕食も美味しかった。下関から取り寄せたと言うフグ三昧の食事だった。祥も私も、刺身に、鍋に舌鼓を打った。酒も進んだ。
 部屋に戻ると、すぐに祥を抱き寄せ、布団に横たえた。今日が、二人が一緒にいられる最後の夜で明日は祥を送って行かなければならない。その思いが、二人を情熱的にした。
 長い抱擁と熱いキスが続く。私は、祥の浴衣を脱がせながら、全身に愛撫を加えて行った。耳たぶを咬み、うなじにキスをする。時間を掛けながら、徐々に唇を下の方に移動させ、まだ小さい乳首を口に含んで、舌で転がすようにした。祥の口から、歓びの声が漏れる。その声に、私の物も奮い立った。私は、堪え切れずに祥とひとつになった。私は激しく動き、祥は私の背中に回した手に力を入れていた。これまでに祥とは何回も身体を交えていたが、もっとも情熱的な行動のように思えた。
 長い情熱的な愛の時間が過ぎて行き、終わった後、二人は深い眠りに落ちていた。
 翌朝目が覚めたときは、夏の早い陽が既に窓のカーテンを明るくしていた。
 私の腕を枕にしていた祥が言った。
「もう行かなくてはいけないのね。」
「寂しいねえ。でも、また逢えるよね。」
「そうしたいけど、なかなかねえ。あなたは、転勤でまた東京に帰って来られるの?」
「う〜ん、こればっかりは何とも言えないけど、前例だと3、4年で帰っているみたいなんだ。」
「そんなに待つと、私、おばあちゃんになっちゃうわね。」
「そんなことはないよ。君は、十分に美しい。」
 そう言うと、私は覆いかぶさるようにして祥にキスをし、朝の食事前、二人はしばし愛の時間を過ごした。
 いよいよ出発である。旅館のチェックアウトを済ませると、祥を博多まで送って行くために車に乗り込んだ。
 別れは、寂しいものである。次にいつ逢えるかはわからない。祥がそう何度も九州に出て来ることはできないだろうし、私が東京の本社に出張で帰ることはあるだろうが、その時はおそらく自由になる時間はないだろう。
 私は、祥の膝に手を置いたまま、無言で車を走らせていた。
 博多駅で彼女を見送ると、無性に寂しくなった。まるで人生の目標を失ったような空虚な感じだった。
 それでも、社宅に帰ってからの彼女とのメール交換だけが楽しみだった。
         ―続く−







2026/08/24 14:21:31|小説「人妻」
人妻−23−
人妻−23−

 久し振りの逢う瀬で、しかも旅先である。二人は、これまでになく気持ちが昂っていた。
 夕陽が沈むのを見終えると、私は祥を抱き寄せてキスをした。祥も応じた。舌を絡ませる熱いキスが続く。
 夕食前に身体を交えたばかりなので焦る必要はなかった。お互い背中に回した手に力を入れて抱き合い、キスを交わしていた。
 二日目は、萩の町と山口市、津和野を見て歩いた。祥は、裾の短い白いワンピースを着ていた。私には、白い色が却って扇情的に見えた。
 萩の町で松下村塾や白壁の町を見て歩くと、山口市に行った。市内の瑠璃光寺の五重塔を見たとき、祥は立ち止まって見入っていた。私は、五重塔を背景に祥の写真を撮った。美しい祥は、瑠璃光寺五重塔の美しさと見事にマッチしていた。
 山口市から、島根県になる津和野の町に向かった。ここは鯉が泳ぐ流れがある古い町並みの静かさが人気の町である。さすがに暑い夏では人も少ないが、それなりの情緒があった。お稲荷さんにお参りしたとき、祥は長い間何かを祈っていた。
 2日目は、山口市に戻り湯田温泉に泊まった。古くから親しまれている温泉街で、老舗の旅館やホテルも多い。この日、私達は旅館に泊まった。和室の雰囲気もまた良いものである。
 汗を流すために、早速風呂に入る。昨日のように部屋に風呂は無いので、浴衣姿でそれぞれの大浴場に向かう。途中で出会う男達は、一様に祥を凝視するように見ている。彼女の洗練された美しさは、男達の目を惹くのである。
 そういうことはこれまでに何回もあった。レストランや食堂でも、男達の目が祥の方を見ていることに気付いていた。私は、そんな祥と一緒にいること、そして身体の関係まであることを自慢したい気持ちだった。
 部屋に戻ると、既に布団が敷かれていた。祥はまだ帰って来ていない。私は、冷蔵庫からビールを取り出して飲んでいた。
 しばらくして祥が帰って来た。湯上りの彼女は、化粧をしなくても美しかった。色白なうえに肌のきめが細かい。それが上気して、頬はほんのりピンク色である。昨日はずっと一緒だったので気が付かなかったが、今日別々の風呂に入って気付いたことだった。
 私は、祥にビールを継ぎながら言った。
「今日はまた一段ときれいだよ。」
「改まって、何をおっしゃるの?」
「だって昨日は一緒だったから気付かなかったけど、本当にきれいだよ。」
 私は、そう言うと祥を抱き寄せてキスをした。祥は、笑いながら私のキスに応じた。
         ―続く−







2026/08/23 14:15:35|小説「人妻」
人妻−22−
人妻−22−

 私は、祥を抱き留めるようにして言った。
「ようこそ。待っていたよ。」
「やっと逢えましたね。」
 そんな挨拶を交わした後で、祥の荷物を受け取ると、駐車場に向った。
 車に乗ると、すぐにキスを交わす。
「逢いたかったよ。」
「私も。」
 彼女の熱い息が耳にかかる。私も胸が高鳴っていたが、そうしていることもできず車を走らせた。
 良い天気で、青空が眩い。外の気温は30度を超えている。私は、車のエアコンを思い切り効かせて走った。
 関門トンネルを抜けると、私は会社の縛りから解放されたような気持ちになり、手を祥の膝の上に置いた。祥も、その上に自分の手を重ねた。
 下関の唐戸市場に行き、そこで昼食をとることにした。大きな市場ではたくさんの店があって新鮮な魚介を売っており、中には食堂や寿司屋もある。私達は、寿司屋に入り刺身と海鮮丼を注文した。ビールを1本だけ取って祥に勧めたが、私が車の運転をするのを気にしてか、一口飲んだだけでそれ以上飲もうとはしなかった。
 それでも新鮮な魚が美味しいのか、舌鼓を打っていた。
 食事が終わると、外に出て関門海峡を眺めた。潮流が激しく、川のように流れている。祥はそれが珍しいのか、しばらく見入っていた。
 その後、角島大橋を通って角島に渡り、明治維新の町萩に向かう。町の見物は翌日にすることにして、予約してあったホテルに向かった。
 ホテルでチェックインを済ませると、部屋に入る。部屋は5階にあり、窓から海が見える。
 私は、海の景色に見惚れている祥の後ろから近付くと、彼女を抱き締めた。
「逢いたかった。ずっとこの日を待っていた。」
 彼女の耳元で囁く。
「私も・・・」
 彼女が首を捻じ曲げて私の方を向いた。私は、その唇に自分の唇を重ねた。祥が身体の向きを変え、激しい抱擁とキスが続いた。二人は、むさぼるように舌を絡めて唇を吸いあった。
 そこからは馴染み合った二人に、躊躇いや遠慮はなかった。一緒にベッドに倒れると、激しく愛をむさぼり合った。
愛を交し合うと、夕食前に風呂に入ることにした。部屋には、テラス側に天然温泉の露天風呂があった。二人は、部屋で裸のまま一緒に入る。
 風呂は6畳ほどの広さで、岩風呂になっていて、中庭に面していた。中庭には、白い砂利が敷き詰められ、縞の上には松が植えられていた。
 私は、祥の身体を洗い、祥が私の身体を洗った。お互いに、秘密の部分まで手を伸ばして洗い合った。洗い終わって浴槽に入ると、二人は抱き合ってキスを交わしていたが、やがてひとつになった。お湯が大きく揺れた。
 風呂から出ると、ちょうど夕食の時間である。夕食も、海鮮物が多かった。昼間飲めなかったので、ビールが美味しかった。このときは、祥も遠慮なく飲んでいた。
 部屋に戻ったときは、窓から赤い夕焼けの中に太陽が沈むのが見えた。二人は、窓辺に立って沈む夕陽を見ていた。私の手は祥の肩を抱き、祥は私の腰に手を回していた。
         ―続く−







2026/08/22 12:30:47|小説「人妻」
人妻−21−
人妻−21−

 九州に赴任してから慌ただしい最初の1週間が過ぎると、次第に時間的にゆとりができて来た。
 残業することも少なく、顧客との接待など夜の飲み会も営業部時代に比べるとずっと少ない。工場長を相手に、一緒に飲もうという部下などいなかった。どこで社員に会うかわからないので一人で飲みに行くのも気が引ける。夜は時間を持て余し、時間のゆとりが却って恨めしくなった。
 そんなときの慰めが、祥とのメールだった。
 彼女は、相変わらず夫との夜の交渉は無いようだった。私との交わりですっかり目覚めた若い肉体は、男を欲しがっていた。それがメールとなって私との交渉になっていた。
「あなたに逢いたい。あなたが欲しいです。」
「僕も、君に逢いたい。君の全身にキスしたい。」
「あゝ、キスしてください。舐めてください。私の耳に、おっぱいに、そして私が一番感じるところにも。」
「いいよ、君の身体はみんな甘い、美味しいよ。乳首が可愛いよ。そして、あそこも。」
「あゝ、いいわ。気持ちいい。あなたは、本当にタフだわ。だってもうすっかり元気になっているもの。」
「そりゃあ、君が素敵だからさ。」
 毎晩のように、こんな調子のメールが続いた。
 私は、夕食後に一人で飲みながらだったが、彼女は何をしながらメールを書いているのだろうと思う。いずれにしても、一人でいるに違いない。そして心の中では、私との逢瀬を思い出しているのだろうと思った。
 工場の仕事は大きな問題もなかった。製造計画などは本社から示してくれるし、技術上のことは製造部のメンバーがしっかりしているので問題はなかった。人身事故や火災などが起こらないようにするのが工場内の主な仕事だったし、一番大きなのが地元対策である。役場や商工会の行事などには、金を出したし、夜の付き合いもした。
 着任して4か月が過ぎたとき、祥からのメールに夏休みにこちらに旅行に来たいとあった。長崎に大学時代の友人がいるので、会いに行く途中で寄るとのことだった。私は、「待っている。楽しみにしている。」と返事を送ると、早速、計画にとりかかった。
 祥と一緒にいられるのは2泊3日の予定である。まずどこに行くかが問題である。長崎や佐賀は友達と行くだろうことを考えて、結局山口県の山口市や萩、ちょっと足を延ばして津和野などに行くことにした。そのことをメールで送ると、彼女から、山口県は行ったことがないし楽しみにしていると返事が来た。
 私は、宿やレンタカーなどの手配を終えると、祥が来るのを心待ちにしていた。久しぶりに逢えると思うと、遠足の前の子供のような興奮を覚え、夜など眠れないこともあった。
 私は、社長に電話をして、3日間の休暇を取った。当日の昼、私は博多駅まで祥を迎えに行った。
 淡いピンクのワンピースに身を包んだ祥は、小さなスーツケースを手にしていた。私の姿を見付けると、小走りにやって来た。
         ―続く−