男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2026/11/04 6:10:10|エッセイ
虹ケ浜
 虹ケ浜は、夏は海水浴場であると共に、初夏から秋までは僕のキス釣り場になっています。
 虹ケ浜は、遠浅で干潮時は釣りには向きません。
 僕は、夜釣りはできません。老眼で目が見えず、餌もつけられないし糸が縺れたら手の施しようがないのです。また釣って来るのは午前中に限られます。夕方に持って帰ろうものなら、飼い主さんの小言が飛んで来ます。しかも生ごみの収集日の前日でないといけません。アラを保管するのを嫌がるからです。
 以上のような事情により、僕の釣りは大潮のときの満潮時に限られてしまうのです。
 ということで次回の釣りは11月9日(月)(月齢1日で大潮)に予定しました。
 今年のこれまでの累計釣果は653尾、700尾を目標に頑張りたいと思うのですが、そろそろキスのシーズンも終ります。どうなりますことか・・・







赤い糸・白い糸−40−
赤い糸・白い糸−40−

「おっ、こりゃあ、難しいや。変な突起が邪魔をしてなかなか難しいよ。」
「あっ、こっちもです。結ぶに結べない状態です。」
 二人の神様が赤い糸と白い糸を引っ張って来て、お互いに悩んでいる。見ると、両方の糸にコブのような突起があって、結ぶのを困難にしていた。
 その頃、地上では・・・・・

「ならん、絶対にならん!」
青年の前で怒鳴っているのはその父親である。
「でも、僕には彼女しかいません。お父さんが何と言おうと僕は彼女と結婚します。」
「許さん。相手の父親を誰だと思っているんだ。この前の選挙で、こっちの対抗馬で邪魔をした川城の娘だぞ。俺に煮え湯を飲ませるような思いをさせた男の娘なんて、絶対に許さん。」
 青年は、父親の部屋のドアを勢いよく閉めると部屋から出て行った。
「駄目よ、沙織。お父さんが絶対に許してくれないわ。だって、この前の選挙では結城さんとお父さんは激しい選挙戦、向こうはありもしないゴシップを流してお父さんの名誉を傷つけたのよ。」
 結城健治と川城沙織の父親は、町内で元々仲が良くない。互いに同業の建築業を営んでいる商売敵である上に、新人として先の町会議員選挙に立候補、健治の父親は落選、沙織の父親は最下位で当選したのだった。
 この町の選挙戦は、いつも激しい。しかも16人の定数に17人が立候補した。1人だけが落選する選挙は嫌が上にも激しくなる。
 財産を投げ出すほどのお金もつぎ込んでの選挙戦だっただけに、二人の間には大きなしこりが残っていた。
 健治と沙織は、高校時代からの知り合いである。健治が野球部のピッチャーで活躍、沙織はマネージャーとして入部して来た。健治の方がひとつ先輩である。
 健治も沙織もよく勉強ができた。健治は東京の大学に、沙織は地元の大学に進んだが、高校卒業後久し振りの同窓会で再会してから交際を始め、その後もメールのやり取りをして交際を深めて行った。大学を卒業すると、健治は父親の後を継ぐために父の経営する建築屋に入り、沙織は隣の市の会社に勤めた。
 二人は、それぞれの父親の仲が良くないことは百も承知であったが、お互いを想う気持ちを抑え切れずに将来を誓い合い、共に両親の許可を得る努力をしようと話し合ってのことだった。
 お互いが親に話した翌日の公園、二人がベンチに座ったまま話をしていた。
「やはり反対されたよ。」
「私も、そうなの。まだ父には、話していないのだけど、お母さんからして反対なのよ。困ったわねえ。」
「でも諦めないよ。僕は、沙織のことが好きなんだ。」
「私だって、健治さんのことが好きよ。」
「でも、困ったねえ。駆け落ちしてもいいけど、僕も今会社を辞めたら、親爺一人じゃとてもやって行けないと思うんだ。僕の新しい技術や経営手法でないと、ここのところの不況でこの先大変なんだよ。」
「そうねえ・・・・・」
 二人は、解決策も思いつかないまま黙り込んだ。
 その後も何度か機会を見付けては、二人で親を説得しようとしたが、それぞれ頑として聞き入れなかった。
 二人とも、このままではいけないから駆け落ちでもしようかとも言ったが、現実を考えるとそれもできなかった。悶々とした日が続き、すぐに半年が過ぎて行った。そして健治がとうとう言った。
「よし、こうなれば最後の手段に訴えることにしよう。」
               −続く−







赤い糸・白い糸−39−
赤い糸・白い糸−39−

 それをきっかけに、吾作は奈緒美の美容院に通うようになった。来る度に手土産を持って来る。裏の畑で西瓜が取れたからとか、新商品のビールが発売になったとかいった類のものである。そんな吾作に、いつしか母親も奈緒美も好意を持つようになっていた。
 独身の吾作が、奈緒美をデートに誘ったのは、3度目に来たときのことであった。店が休みの日に田沢湖にドライブに行かないかと誘ったのである。奈緒美は、することもなかったのでその場でOKした。
 その日が来るまで、まさか配達用の軽トラックでデートじゃないかと心配だったが、それは杞憂だった。当日、店の前に停まったのは、二人乗りのスポーツカーだった。
 田沢湖までおよそ2時間、吾作は喋りっぱなしだった。それは吾作の、奈緒美がデートを受け入れてくれた嬉しさを表していた。
 秋の気配の漂う田沢湖は美しかった。スイス村、森林公園などに寄りながら、湖畔のレストランで食事をした。デートの間中、吾作は奈緒美を退屈させなかった。冗談を飛ばしては、奈緒美を笑わせた。奈緒美がこんなに笑ったのは、盛岡に帰って来てから初めてのことだった。
 食事が終って、湖畔の広場に車を停めたとき、吾作が言った。
「おれ、奈緒美さんのことが好きだ。結婚のことも考えて欲しいだ。」
しかし奈緒美は返事を躊躇した。確かに吾作は楽しい人だが、結婚相手としては考えたこともなかった。
「いいんだ。すぐに返事をしなくても。だけんども、考えておいて欲しいんだ。」
奈緒美は、黙って頷いた。
 家に帰ると、早速母親に相談した。母親は言った。
「そりゃあ、あんた。結婚したがいいだよ。わたしゃあ、お父さんと、あんたが一生独身でいるんじゃないかと心配してたんだ。それに吾作さんは、いい人だんべ。」
 いきなり結婚に賛成されて、却って真剣に考えてくれているのかどうか疑わしく思えた。
 吾作は、1と月毎に美容院にやって来た。相変わらず冗談を飛ばしては奈緒美を笑わせた。そして頭のセットが終ると、奈緒美をデートに誘った。奈緒美は行きたいような行きたくないような気がしたが、断わる理由もなく誘いに応じた。
 デートは、ドライブのときは宮古や十和田湖の方へとだんだん遠くへも行くようになっていたし、映画を一緒に見に行くこともあった。そんな中で、奈緒美が物足りなさを感じていたのは、吾作が垢抜けないことであった。
 東京での長い生活の中で、奈緒美は洗練されていた。また男を見る目も肥えていた。東京で知り合った男達に比べて吾作はいかにも田舎者に見えたのである。
 ある日、そのことを母親に話した。すると母親が言った。
「あんた、そりゃあそうかも知れんけど、結婚はそんなもんじゃないわ。吾作さんは、優しいよ。あんたは気が強いから、ちょうどええんじゃなか。あたしゃあ、そう思うよ。夫婦なんて、一緒に暮らしてみて初めて良さがわかるもんだよ。」
 奈緒美が、吾作のプロポーズに同意したのは秋もかなり深まった頃の、最初のデートの場所であった田沢湖畔で車を停めたときだった。
「この前言ったこと、どうだんべ。」と聞く吾作に、奈緒美は「はい、よろしくお願いします。」と笑顔で答えた。

 その頃、雲の上では・・・・・
「良かったねえ。何とか間に合ったね。」
「んだ、お陰さまで。」
「これからは、こういうのが多くなるんだろうねえ。」
「若いときは一人で頑張っていても、やがて年をとると一人でいることが寂しくなるんだ。」
「そうだねえ、この二人も幸せになるといいね。」
 そう言うと、手伝いに来ていた他の神様は自分の持ち場に帰って行った。
            −続く−







赤い糸・白い糸−38−
赤い糸・白い糸−38−

「あっ、いけね。忘れてただ。」
「どうしました、岩手の神様。」
「ここにいい女がいるんだけど、まだ独身だべ。」
「どうして今まで放っておいたのです?」
「若い頃は気をつけていただけども、東京に出ているうちに目を離してそれきり忘れていただよ。」
「そりゃあ、大変だ。今からでも遅くないんじゃない。」
「間に合うだべか?」
「いくつになるの?」
「40歳だんべ。」
「じゃあ、他のを後にしても、それを先に結ばなくっちゃいけないね。」
「んだ。やってみっか。」
 その頃、地上では・・・・・

 奈緒美は、東北特有の色白な可愛い女の子であった。
 高校時代は、学校でも男の子達の憧れの的だったが、卒業するとすぐに美容師の修行のため東京に出た。最初の頃は大変だったが、才能に恵まれていたのか、どんどん腕を上げて行き、俳優など有名人のヘアメイクを担当するようになっていた。しかし、東京での生活の全てが順調だったわけではない。失恋もしたし、経営者に金銭上のことで騙されたこともあった。
 美容師の生活も大変である。経営者は、賃金の安い若い人を採用したがった。不景気になるとその傾向は顕著になり、奈緒美はそれを肌で感じ取っていた。自分の店を持つことは夢であったが、資金的に難しかった。
 40歳を迎えるとき、母親が経営している美容院を手伝うため、故郷の岩手に帰ることを決心した。
 盛岡に帰ってからの奈緒美は、東京に比べて田舎であることをひしひしと感じ取っていた。仕事をしていても、いろいろなことがあった東京での20年間が、今更ながらに思い出される。想いを寄せたことのある彼との遊びに行ったこと、楽しく騒いでいた仲間とのことなどが、走馬灯のように頭をよぎる。
 近所の男達も、東京の人間に比べれば野暮ったく見えた。多くの仲間は結婚して、子供が中学生とか高校生になっていて、同窓会に行っても話題が合わない。
 そんな中で、奈緒美は次第に今の暮しに懐疑的になっていた。
 ある日のことである。一人の男が、美容院に入って来た。母親と奈緒美は、同時にそっちに振り向いた。年は奈緒美と同じくらいであろうか、ジーンズにT−シャツ姿で、腰に手ぬぐいを挟んでいた。
「あの〜、ここ男でも大丈夫だんべか?」
「ええ、大丈夫よ。」
母親が、そう言った。
「おらあ、近くで酒屋をやってるだ。今度、東京で甥っ子の結婚式があるんだが、東京のファッションに合うような頭にして欲しいんだ。ここには東京帰りの美容師さんがいるって聞いたもんで。」
「ええ、娘ですよ。有名人のセットもしたことがあるんですよ。」
そう言いながら、奈緒美の椅子に案内して座らせた。
 男は陽気な性格だった。自分は大内吾作だと名乗り、商売のこと、近所のことなどをしきりに喋っていた。奈緒子は、笑いながら話を聞いていた。
 1週間後の昼過ぎのことである。美容院の前に軽トラックが停まると、吾作が降りて来てドアを開けて入って来た。
「これ、東京のおみやげだ。」
そう言って、奈緒美に菓子箱を渡した。
「おらの頭、評判良かっただよ。岩手にも、こんなセンスのいい床屋があるのかって聞かれただよ。」
 奈緒美は、そう言われて嬉しそうに微笑んだ。
            −続く−







赤い糸・白い糸−37−
赤い糸・白い糸−37−

 次のコンパのときである。男3人は、先に来て座っていた。女5人は、揃って後からやって来た。こういうとき、一番気になるのはどこに座るかである。できれば自分の好きな相手の傍に座りたい。男は、誰が隣に来てくれるかが気になり、女はどこに座るかが気になる。
 最初に入って来たさくらが、「私、ここ。」と言って、光一の隣に座った。「じゃあ、私はここ。」と言って反対隣に座ったのは梅子である。おとなしい梨江は、孝三の傍の端の席に座った。
 席に座って乾杯が終ると、賑やかにお喋りが始まった。さくらと梅子は、しきりに光一に話し掛けている。端っこの孝三と梨江は、黙ってみんなの話を聞いていた。そんな梨江に、しきりに話し掛けているのは裕二である。
 みんな和やかに談笑しているように見えるが、心の中ではそれぞれの駆け引きが行われていた。
 その頃、雲の上では・・・・・

「こう縺れちゃったのは、どうすれば良いのかねえ。」
「いっそのこと切っちゃえば?」
「そんなことをしたら大変だよ。後で結べなくなっちゃうよ。」
「こまったねえ・・・・・」
 その頃、地上では・・・・・

 「光一君、あとで話があるんだけど。駅前の喫茶店で待っていてくれない?」
 授業が終って、教室を出るとき、さくらが他の者に聞こえないように言った。
 光一が、言われたとおり待っていると、さくらがやって来た。内容は、二人だけで飲みに行きたいと言うものであった。光一は、それではみんなに悪いからと断わった。
 その後も、梅子と桃恵が光一に二人きりでのデートを申し込んだり、飲みに誘ったりしたが、同じように断わっている。一方、裕二は梨江を誘ったが、梨江は裕二をあまり好きではない。梨江は、どっちかと言うとおとなしい孝三に気があるようである。ということで、要するに好き嫌いが複雑に交錯していて、うまい組み合わせが出来ないのである。

 その頃、雲の上の神様達は、相変わらず縺れた糸をどうして良いものか困っていた。
「どうしよう、このパズルは解けそうにないよ。」
「困ったねえ、まだノルマは果たしていないし、今月も残り少なくなって来たし・・・・・」
「そうだねえ、これにかまっていたら他の作業が進まないよ。」
「それに彼等は学生だろう。まだ早いんじゃないかなあ。」
「そうだね。この辺で放っておこうか。」
「そうだ、そうだ。それがいいよ。」
 金毘羅さんを初めとして、神様は縺れた糸を放り出して、次の糸を捜しに行った。
            −続く−