人妻−04−
愛の行為が終わった後の静かな時間が過ぎていく。二人は、私の腕枕で静かな会話を交わしていた。 「君は、とても情熱的で素敵だった。」 「あなたも力強かったですわ。」 「こんな魅力的な奥さんを持っている旦那さんが羨ましいよ。」 「でも、私達はもうずっとしていません。」 「なぜだろう?君はこんなに魅力的だし、セックスだって素晴らしいのに。」 「主人は、私より一回りも年上なのです。歳のせいかも知れません。」 「僕だって、50歳だよ。君よりは、ずっと年上のはずだ。」 「でも、あなたはとても力強くてエネルギッシュです。私、虜になりそうです。」 「僕だって、君を好きになった。また逢いたい。」 そう言ってキスをすると、また彼女に挑んで行った。 その後の会話で、彼女の名前は祥と言い、歳は35歳だと言った。そして、携帯の電話番号とメールアドレスを交換した。 時計を見ると11時近くになっていた。私は、彼女のことを考え帰ることにした。何より彼女の家庭のことが気になったし、女性の場合は同じ洋服を次の日に着て行くと会社で疑われると女の子達が話しているのを聞いたことがあったから泊まるわけにはいかない。 ホテルを出て駅まで歩き、そこでタクシーを拾い、一緒に乗った。祥は国分寺のマンションに住み、私の家は国立にあったので隣町である。最寄り駅も隣になる。 タクシーの中では、二人は無言で手を握り合っていた。 タクシーは、1時間ほどで彼女のマンションに着いた。かなり大きなマンションであることから、彼女の夫はそれなりの地位にあるものと思われた。 彼女のマンションから15分で私の家である。 家に帰ると、妻は起きていた。残業の多い私だったから、先に寝ていることもあったが、この日はパジャマに着替えながらもまだ起きていた。 「今日も、遅かったのね。」 「うん、いろいろあってね。僕は風呂に入って寝るから、先におやすみ。」 私はそう言うと、そそくさと風呂場に向かった。祥とのことを感付かれるのを恐れたからである。 風呂に入ると、今日の出来事を思い出していた。 いつの頃からか、私は妻と寝室を別にしていた。ベッドに入ってから彼女にメールを打とうかと思ったが、彼女の迷惑になってはと考えて思い留まった。疲れもあってか、いつしか深い眠りに落ちていた。 翌日から、彼女のことが頭から離れなかった。食事をしているときも、電車で通勤しているときも、仕事の間さえ彼女のことを思い出していた。 ―続く− |