男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2026/10/05 13:12:38|男の手料理
ツナマヨ素麺
 今日の昼食は、ネットで紹介があったツナマヨ素麵にしました。素麺に、ツナ缶とマヨネーズを載せ、麺つゆをちょっとだけかけただけのものです。
 作るのが簡単なわりには、僕が余計な手を加えていないだけに美味しかったです。







赤い糸・白い糸−10−
赤い糸・白い糸−10−

 次に会ったとき、慎吾が聞いた。
「ねえ、この前の話、考えてくれた?」
「ええ・・・・・、でもなかなか決心がつかなくて。」
「僕のこと、嫌いなの?」
「いいえ、そんなことないわ。」
「じゃあ、いいじゃないか。結婚しようよ。」
「でも・・・・・」
 煮え切らない恵子の態度に、慎吾はちょっと怒っているようだった。慎吾が畳み掛けるように聞いた。
「じゃあ、どうするの?このまま待っていろって言うわけ?」
「お願い、もうちょっと待ってよ。仕事のこともあるし。」
「待つって、いつまで待てばいいの?」
「そうね、もうちょっと。」
結局、それ以上聞くこともできず、慎吾は話題を変えた。
 その後、しばらくは自分からは聞かず、恵子が自分から言い出すのを待つことにした。しかし、一向に話すような気配はない。
 そんなある日、恵子は常務に呼ばれた。
「望月君、沢村君とはどうなったね?」
「はい、お付き合いしています。」
「そうか、それでうまく行きそうかね?」
「ええ、プロポーズされました。」
「ほ〜っ、それは良かった。おめでとう。」
「いえ、それがまだお受けしていないんです。」
「えっ、それはどういうことかね。嫌ならはっきり断わっていいんだよ。何も僕が紹介したからって、結婚しなきゃならないって法はないんだからね。」
「ええ・・・・・」
「もし君が嫌なら、彼には別な女性を紹介しなくちゃならないしね。」
「・・・・・」
「まあ、いいや。どっちにしてもイエス、ノーは早めに決めないと、お互いを縛るだけ縛って結局は無駄な時間を費やしただけにしかならないからね。」
「はい。」
 次のデートのときである。恵子が切り出した。
「私、この前のお話をお受けしたいと思います。よろしくお願いします。」
慎吾の顔が輝いた。しかし、彼は恵子が常務の「別の女性を紹介する。」という言葉が決定打になっていること知る由もなかった。

 恵子が慎吾のプロポーズに返事をしている頃、雲の上では神様たちが次のような会話を交していた。
「岩手の神様は、本当に動きが遅いよなあ。さっきも赤い糸を持ってウロウロしていたぜ。」
「それに比べて大阪の住吉さんはせっかちだからなあ。岩手さんが赤い糸を持ってウロウロしている間に5、6本の白い糸を持って来ては引っ込め、持って来ては引っ込めしていたよ。とうとう痺れを切らしていい加減にしろって言ったところで、やっと結ぶことができたんだ。」
「まあ、いずれにしても無事に結べて良かったよ。」
                −続く−







赤い糸・白い糸−09−
赤い糸・白い糸−09−

 見合いの食事会は2時間ほどで終った。終ったとき、常務が言った。
「良かったら、これから二人で一緒にデートでもどうだろうか。僕達がいたんじゃ、ゆっくり話もできないだろうから。」
 ここで嫌とも言えず、恵子は言われるまま慎吾と店を出た。
「どうしましょうか。どこか行きたいところはありますか?」
慎吾が聞いた。
「私、別に・・・」
「じゃあ、浜離宮にでも行ってみましょうか。今、菜の花がきれいな筈ですが。」
「はい。」
 恵子は気乗りがしなかったが、ここですぐに逃げ出すわけにも行かず、言われるまま一緒にタクシーに乗り込んだ。
「実は、僕は何が何だかわからないまま、常務にここに連れて来られたんですよ。」
「そうだったんですか。」
「そしたらあなたが現れて紹介されたでしょう。やっと見合いだったことに気付きました。」
「あらっ!そうでしたの。お気の毒様でした。」
「いえいえ、とんでもない。あなたのような素敵な人で良かったです。」
「まあ、お世辞の上手な方ね。」
「お世辞じゃありませんよ。あなたはきれいだし、それにけっこう自分に素直なところがある人です。」
「そんなことわかりまして?」
「ええ、食事のときの様子でわかりました。食事を本当に美味しそうに食べていました。好き嫌いなどあまりないでしょう。」
「そうですね、でも私、食事で褒められたのは初めてですわ。」
「ちょっとした仕草で、その人の性格ってけっこうわかります。癖のある人は好き嫌いが多いし、美味しいものを食べても素直に喜ばない。自分を表現するのが苦手なのでしょうね。」
 そんな会話で、恵子は少し慎吾に興味を持った。
 慎吾は、言葉遣いや態度は優しかったが、けっこう強引なところがあった。恵子の意見を聞きながらも、最後はけっこう自分の思いどおりに進めて行った。優柔不断な男が多い中で、慎吾のそういう態度は恵子にとって頼もしく思えた。結局、その日のデートの最後には、次回のデートの約束をさせられていた。
 二人のデートが始まった。メールを通じて、慎吾から会う日時と場所を提案して来る。大抵は前もってあらましの予定を話しておいたから、断わる理由はなかった。恵子は、慎吾となら結婚しても良いと思うようになった。しかし、仕事にも未練があった。今、ひとつのプロジェクトに参画していて、自分で新しい事業の提案をして採用されたばかりである。これが完成するには2、3年はかかるだろうし、もしその提案がうまく行けば、更に次の活躍の場所も与えられるだろう。会社を辞めたくはないという意識もあった。
 デートを重ねて半年ほどしたとき、慎吾がプロポーズした。しかし恵子は明確な返事をしなかった。自分で会社を選ぶか、慎吾を選ぶか、決心できなかったのである。
              −続く−







赤い糸・白い糸−08−
赤い糸・白い糸−08−

 「岩手から来た神様は、仕事が遅いよなあ。」
「うん、あのゆっくりペースでやられたんじゃ、こっちも調子が狂っちゃうよ。」
 昼休み、神様達が陰口を叩いていた。
「何しろ、東北地方から来た神様には閉口するよ。向こうがノロノロと一本の紐を持って来たときにはこっちは、2本や3本は処理できるぜ。」
「そういえば、今度は大阪の住吉さんとペアだぜ。住吉さんはこれまたせっかちだからなあ。」
「ホント、大丈夫かなあ。」
 そんな噂をしているとき、午後の始業のベルが鳴った。ここでの作業が始まって3日目、神様達は重い腰を上げで仕事についた。
 その頃、地上では・・・・・

 「恵子、先月のお見合いの相手、どうするのよ。向こう様は随分ご執心みたいだけど、そろそろ返事をしてあげないと失礼だわよ。仲人さんからも、どうかって催促されているのよ。」
「だって、あの人背が低いのよ。私がヒールの高い靴を履いたら、私より小さく見えるんだもの。」
「あなた、その前もなんだかんだ言っては断わったわね。」
「だって、あの人だめよ。私、イケメンじゃないと駄目なの。」
「あなただってもう29歳よ。いい加減にしないと行きそびれるわよ。」
「だって主任になったばかりだもの。会社だって私を必要としているのよ。そんなに急ぐことないわよ。」
「でもね、赤ちゃんを産むんだったら、早い方がいいわよ。高齢出産って、いろいろ弊害もあるようだし。」
「あっ、いけない。もう会社に行かなくっちゃ。」
そう言うと、恵子は慌てて家を飛び出した。
 望月恵子は、大手電気会社のOLである。家は裕福で、渋谷に住んでいた。
 ここ数年、ある会社の重役をしている父親を通じて、かなりの縁談が持ち込まれていた。大抵は断わるのだが、仕方なく見合いまで付き合うこともあった。しかし、何だかんだ言って結局は断わっていた。
 そんなある日、常務に呼ばれた。この常務は、恵子の父親と大学時代の剣道の後輩で、何かと恵子に目をかけてくれていた。部屋に入ると、早速話を始めた。
「望月君、君に紹介したい人がいるんだが。」
「どなたでしょうか。」
「うん、男性だよ。好青年だし、君が付き合ってみないかと思ってね。」
「でも私は主任にさせていただいたばかりですし、もうちょっと会社のために頑張りたいと思っています。」
「実は、君のお父さんからも頼まれていてね。お父さんは、早くお孫さんの顔が見たいらしいよ。」
「・・・・・」
「今度の土曜日、時間を作ってもらえないだろうか。」
「はい。」
 親の言うことなら何とか逃げることができたが、会社の上司ではそうも行かなかった。恵子は、結局常務の言うことに従った。
 土曜日、恵子は一人で家を出て、常務が言った赤坂の料亭に向かった。
部屋に案内されると、常務夫妻と一人の青年がいた。
「こちらが沢村慎吾君、こちらが望月恵子さんだ。」
常務が二人を紹介した。
「沢村君は、僕の剣道部の後輩でね。商社に勤めているんだが、頑張り屋で優秀な社員なんだよ。」
 常務は、慎吾を褒め上げた。
             −続く−







赤い糸・白い糸−07−
赤い糸・白い糸−07−

 車は、両脇を果樹園に囲まれた道路を西に向かって走って行った。やがて正面に高い山が見えて来た。筑波山である。中腹の大きな駐車場に車を停めると、そこから歩いて登る。ロープウエイやケーブルカーもあるのだが、久美代は敢えて歩く方を選んだ。
 季節は秋であるが、坂道を登っていると汗ばんでくる。久美代は、今日はスラックスに胸の開いた薄手のセーターを着ていた。
 その胸の部分にうっすらと汗をかいているのが見える。それを見た光太郎は、ゴクリと唾を飲み込んだ。光太郎も久美代も多くは喋らなかった。時折、久美代が遅れそうになる。また急な坂道では足が止まる。そんなとき、光太郎は手を差し伸べた。
 50センチほどの岩場を登るときのことである。光太郎が久美代の手を取ってグイッと引き上げたとき、勢い余って久美代の体が寄り掛かってきた。二人は抱き合った格好である。光太郎は、瞬間身体を離そうとしたが、久美代がそうさせなかった。じっと光太郎の目を見詰めたのである。その時間はほんの数秒であったのかも知れないが、光太郎には随分長い時間のように思われた。
 そのときから、二人は急に親しみを感じるようになった。頂上から見える麓の景色は、秋晴れの空の下で美しかった。遠くには土浦の町も見えている。そこで久美代の作ってきた弁当を食べ、お互いの経歴や生い立ちなどを話し合った。
 下山はロープウエイを使った。ロープウエイの中、二人の手は握られていた。
 駐車場から麓近くまで降りたとき、久美代は車を停めた。そこには筑波山神社があり、参道にはがまの油やみやげ物などを売っている店が並んでいる。久美代は、真っ直ぐ歩いて神社の境内に入って行った。神社では、結婚式が行われていた。白無垢の衣装を着た花嫁と羽織袴の新郎が並んで本殿の方に歩いている。本殿の前に進んだ久美代は、一生懸命何かを祈っていた。
 二人は、その後も毎週のようにデートを重ねた。久美代の家に行くこともあったが、両親も暖かく光太郎を迎えた。
 何度目かのデートのときである。那珂湊などをドライブし、大洗の水族館を見て歩いた。その帰り、久美代は海岸で車を停めて、二人は海辺に降り立った。海は外洋のわりには比較的静かだった。海岸に向かって立っている二人の背中を夕陽が照らしている。
「久美代さん、僕と結婚してください。」
 光太郎が唐突に言った。久美代はちょっと驚いた顔をしたが、すぐに真顔になり、「お願いします。」と言った。光太郎は久美代を引き寄せてくちづけをした。不器用なくちづけだったが、二人にはとても甘く感じられた。
 それから二人はそれぞれの両親に報告し、結婚の準備を進めた。
 以下は、その様子を見ていた雲の上の神様たちの会話である。
「さすがに筑波さんはしっかりしている。酔っ払いの宮崎さんとは随分違うなあ。」
「そうだよねえ、女の子の方をけしかけるのも新しい工夫なんだろうね。」
「うん、そう思うよ。それにしてもあの女の子の演出は大したものだよ。朴念仁かとも思える男を見事に捕まえたんだからね。」
「確かに。ミニスカートや胸の開いたブラウス、セーターなど着ている物からしても、女に飢えている男を掴まえる効果は絶大だものね。」
「僕達も見習わなくちゃあね。」
 神様達は、感心したようにお喋りを続けていた。
              −続く−