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| 所沢航空発祥記念館に展示中の「零戦」=所沢市並木 |
「日本の航空発祥の地」百周年を記念して所沢市並木の所沢航空発祥記念館に展示中の世界で唯一オリジナルエンジンで飛行可能な零戦(海軍零式艦上戦闘機)の設計者、堀越二郎が登場する映画2本が今年、相次いで公開される。
夏に宮崎駿監督(71)の新作アニメ「風立ちぬ」(スタジオジブリ)と12月封切り予定の120万部ミリオンセラーとなった百田尚樹さん(57)著「永遠の0(ゼロ)」原作で、山崎貴監督、岡田准一主演で映画化される。
所沢市在住の宮崎監督の「風立ちぬ」は、2008年の「崖の上のポニョ」以来5年ぶりの製作。作品は戦前、三菱内燃機(現三菱重工業)に勤務し、戦闘機を設計していた堀越二郎の生涯がテーマ。
飛行機乗りに憧れていた少年が大人へと成長し、飛行機の仕事に就こうとした時、戦争の時代が始まる。その時代に製作したのが戦闘機(一部所沢市で試験飛行)。美しいものを作ろうとした結果、それが兵器となり、人の命を奪ってしまうという葛藤を描き、堀辰雄の「風立ちぬ」の恋物語を絡ませている。
同館の白砂徹事業課長は「宮崎監督と話しをする機会があり、父親が零戦を製作していた中島飛行機に部品を納入していた宮崎航空興学という会社を経営していたそうです」と話し、零戦への造詣の深さに驚いたという。
一方、「永遠の0」は、百田尚樹さんの小説。百田さんは、放送作家で06年に「永遠の0」で(太田書房)で作家デビュー。物語は、日本軍敗色濃厚の中、仲間から「卑怯(ひきょう)者」とさげすまれた零戦パイロットの姿を描く。孫らは、祖父のことを調べ始めるが、元戦友たちの証言から浮かび上がってきた祖父は、すご腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗りだった。祖父は何故特攻を志願したのか。
白砂課長は「3年前に読んだ際、非常に感銘を受け、所沢に零戦展示企画のきっかけともなった。『人は人のために死にうるか』という究極テーマに真正面から取り組んだ小説だ」と鮮烈な感動を覚えたという。その上で「零戦は太平洋戦争の象徴的存在であるだけでなく、当時の国力・技術を証明するものとして、日本人にとって戦艦大和とともに別格との思いが深まる」と話す。その後、零戦は米国の民間博物館から貸与され、展示している。
昨年暮れ、映像製作プロデューサーが同館を訪れ、3月の特別展エンディング時に、零戦エンジン始動音の録音を要請し、映画で本物の音を流すことになった。秋には同館で「永遠の0」展や大型映像館での試写会も準備している。堀越氏出身地の群馬県藤岡市でも夏に展示会を開く予定という。