蛍―08―
二人とも衣服を付けたまま草のベッドの中にいた。
彼女は、私の腕枕に頭を載せていたが、山登りをし、洞窟の掃除や焚火の火をおこしたりして疲れているのだろう。しばらくすると軽い寝息をたて始めた。
私の顔のすぐ傍に彼女の頭があった。髪の毛の匂いがした。
私は、このとき初めて彼女に女を感じた。私は、彼女の背中に手を回して優しく撫でたが、彼女が目覚める様子はなかった。そうしているうちに、私も再び眠りに落ちていた。
真夜中に目が覚めた。焚火が消えかけていた。私は、彼女を起こさないように気を付けながら起き上がって洞窟の中に集めてあった枯れ枝を持って来て焚火にくべた。すぐに火がついて炎が上がった。
私は、焚火の傍に置いた丸太の椅子に座って炎を見ていた。思えば不思議な出会いである。山でいろいろな人に出会うことはあったが、こうまで彼女と親しくなるとは思わなかった。最初の下山で道に迷ったことが、知り合うきっかけだった。
そんなことを考えているとき、彼女が起きて来て私の横に座った。
「起きたの?」
「えゝ、よく眠りました。」
彼女の、顔が火に照らされて、赤く輝いている。
「美紀さん、可愛い。」
私は、そう言うと、彼女の背中に手を回して、頬にキスをした。彼女は、拒む様子はなかった。私は、勇気を得たように今度は唇にキスをした。彼女はそれにも応じた。
しばらく焚火の傍にいたが、彼女の手を引いてベッドに行った。
彼女を横にすると、覆いかぶさるようにしてキスをする。キスは次第に濃厚なものになって行った。私は、自分のものがいきり立っているのを覚えた。
私は、彼女のシャツのボタンを外していった。彼女は、肌シャツは着ているものの、ブラジャーはしていなかった。私は、肌着の中に手を入れると、彼女の乳房に触れた。柔らかい感触が手に伝わって来る。指先が、彼女の乳首に触れた。小さな乳首である。
今まで、彼女の裸は何回も見ていたが、触れたことはなかった。滝で泳いでいるときは、全く女性であることを意識しなかったのだが、今は違う。隣に横たわっている彼女は、私にとって完全な“女”だった。
私は、キスを続けながら、乳房を撫で、乳首を指で摘まんだ。彼女は、切なそうに身体を捩っている。キスをしながら彼女の身体に愛撫を加えた後、ひとつになった。その間も、彼女は切なそうな表情を浮かべていた。
終わった後で、私が聞いた。
「どうだった?これで良かったのかな。」
彼女は、返事をすることなく私を抱き締めた。それから二人は、抱き合ったまま眠りに落ちた。
夜が明けた。彼女は先に起きて、焚火に枯れ枝をくべていた。私は、彼女の後ろから近付いて、うなじにキスをした。彼女は、振り向いて私にキスを返した。
私は川に釣りに行き、彼女は芋を焼いた。魚と焼き芋の朝食が終わると、二人は帰り支度をした。
―続く−