男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2019/11/14 4:17:03|小説「紅葉の歌」
紅葉の歌-02-

紅葉の歌-02-

  「あれだけではお世話になった何分の一にもなっていないですよ。でもお礼ということでなくてもいいですよ。美津子さんのような素敵な女性と食事できるだけで、僕も嬉しいものですから。」

「ええ、そう言っていただけると嬉しいですわ。私も、これから昼食を一人でとるところだったのです。一人の食事って、おいしくありませんもの。」
 私達は、車を連ねて郊外にあるレストランに行った。そこは普通のレストランで、特に高級とかいうところではなかった。美津子はハンバーグを、私は鮪のステーキを頼んだ。「美津子さんは、幾つになるんでしたっけ。」
美津子はあどけない感じの顔をしていた。ちょっと見ると高校生だと言われても不思議でない顔つきである。
「23歳になります。故郷の母親はそろそろ結婚して安心させてくれって言うのですけど、なかなかいい人との出会いの機会も少なくて独身でいます。」
「でも、そんなに綺麗なんだから引く手はあまたでしょう。」
「そんなことありません。私のような女など誰も見向いてくれませんわ。それより宮村さんは、ご結婚なさらないんですか。」
「ああ、離婚したばかりではね。それに、結婚生活の中で女の怖さ、ずるさも見てきましたからねえ。」
「世の中の女性がみんなそうだとは限りません。中には優しい人もきっといますわ。」
「そうだね。美津子さんは優しいものね。」
「あらっ、そんなことはありません。私は仕事ですから優しく見えたかもしれないけど、本当はきつい性格なんです。両親からも、よくそう言われました。」
「入院しているときにいろいろな看護師さんのお世話になったけど、やっぱり美津子さんが一番優しかったよ。確かにキチッとしているところはあったけど、心の奥の優しさがにじみ出ていたんだろうね。本質的に優しいですよ。」
「そう言ってくれるのは宮村さんだけですわ。でもそう言っていただけて嬉しいです。」
私達は、食事をしながらお喋りを続けていた。
                       -続く-






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