赤い糸・白い糸-27-
多くの神様達は、真面目に働いていた。そういう神様の下で結婚した男女は幸せな結婚生活を送っている。それは結ばれた糸を見ればわかる。ちゃんと太さの揃った糸がきれいに結ばれている。大部分はきれいに結ばれているのだが、中には不揃いの糸もある。片方の糸が太かったり、あるいは色褪せたりしているものもあるし、中には切れ掛かっているものもある。 出雲の神様の組織には、追跡部というのがある。結ばれた糸の品質を確認し、フォロー・アップするのである。 特に、芸能界の係などは大変である。結婚、離婚が繰り返される度に、その原因は何かとか、今後の対策をどうすべきかというようなことが検討させる。そこで結婚生活のパターンの典型としてよく比較されるのが、山口百恵と松田聖子である。山口百恵のようなパターンを理想として掲げ、そのようにするよう、作業場に指針を出していた。 そんな追跡部の神様たちの会話である。 「いやだねえ、こんなセクションに回されて。」 「仕方がないさ。去年の成績が悪かったんだろう。」 「だけど、やはり工場の第一線で働きたいものだよ。」 「今の仕事に全力を尽すことだね。そすりゃあ、いずれ認められるよ。」 「うん、じゃあ頑張ってみるか。ところで今日の仕事は何だっけ?」 「今週は、太い糸と細い糸が結ばれているのを重点的にチェックするみたいだから、それを探してフォローするんだよ。」 「そうだったよなあ。さて、行くか。」 話をしていた二人は、結ばれた糸の方に歩いて行った。 -続く-
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