男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
CATEGORY:小説「夜の釣り友」

2021/08/28 18:08:48|小説「夜の釣り友」
夜の釣り友-15-
夜の釣り友-15-
 
 次の日の夕方、私は「友達と飲んでくる。」と言って、綾乃の家を訪ねて行った。綾乃は、私の好きな日本酒を用意して待っていてくれた。
 飲みながらお喋りをした後で、私達はこの前のように愛し合った。私は、2、3日に一度の割で彼女の家を訪ねた。そんな日がしばらく続いた。彼女は、次第に愛の歓びを知っているようだった。女が愛の歓びを覚えて行くのを見るのは、男として大きな喜びだった。私は、次に彼女と逢うのを心待ちにしていた。
 秋が深まり、瀬戸内にも木枯らしが吹くようになったある日、彼女を訪ねて行くと、彼女は不在だった。玄関のチャイムを押しても、反応がない。今までに、こんなことはなかった。私は、彼女が病気で倒れてでもいるのではないかと思い、玄関のドアを開けてみた。鍵はかかっておらず、中に入ってみたが、人のいる様子はなかった。ベッドルームや浴室を見たが、そこにも綾乃はいなかった。
 仕方なく帰ろうとしたとき、テーブルの上に封筒があった。表には、「光岡様」と書かれていた。私は、急いで封を開けて読んだ。そこにはこう書かれていた。
「光岡様、私は自分の故郷の海へ帰ります。もう二度とお会いすることはないと思います。
 私の正体は、シロギスです。私が、あなたに近付いたのは、姉の仇を討つためでした。最初のとき、あなたが釣り上げた大きなシロギスこそ、私の姉でした。彼女は、お腹に子供をかかえていました。そんな姉を釣り上げて殺したあなたが憎かったのです。私は、人間に姿を変えて貴方に近付いて寝首を掻くつもりでした。
 しかし、接してみてあなたが優しい人であることがわかりました。ましてや愛し合うようになると、私はあなたを心から愛してしまいました。姉の仇であるあなたと、私の愛するあなた、ふたつの矛盾する心の間で私は悩みました。
 あなたに抱かれながらも、常にこれではいけないと思い続けて来ました。部屋には、ナイフが隠してあって、何度あなたを刺そうと思ったことでしょう。しかし、できませんでした。
悩み悩んだ挙句、貴方を殺すことはできず、やはり帰らなければいけないと思いました。そしてこの結論に達したのです。
 あなたが健康を保たれ、奥様と仲良くお過ごしくださることを心からお祈りしています。
優しい愛をありがとうございました。
           綾乃」
 
 私は、そうだったのかと愕然とした。
 それから3日後、私は再度綾乃の家を訪ねたが、そこには家があった跡形もなく、ただ長い海岸の松林が続いているだけだった。
            ―完―






2021/08/27 15:08:43|小説「夜の釣り友」
夜の釣り友-14-
夜の釣り友-14-

 シャワーを浴びながら、私は石鹸をつけて彼女の身体を洗った。
 彼女の身体は美しかった。均整のとれた体型に、透けるような色の白さである。秘部には薄い草むらがあって、白い身体の中でその存在を強調するかのようだった。先程まで私を迎え入れてくれたところだと思うと、愛おしさを覚える。私は、石鹸の泡が付いたままの彼女の身体を抱き締めると、キスをしながら愛おしい部分に手を添えた。彼女の口から、「ああ~ッ」という声が漏れた。
 私は、彼女の身体を流し、細い身体を抱き上げると、元のソファに連れて行った。そして再び、ひとつになった。
 二度目の行為が終ると、テーブルに着いて飲み直した。彼女は、初めての経験に幾分羞恥心を覚えているようで、無口になっていた。
 しばらく飲んでいて、時計を見ると7時を過ぎていた。外は薄暗くなり始めている。私は、家に帰ることにした。そのことを告げると、彼女は寂しそうな顔をした。その表情に、私は後ろ髪を引かれる思いであったが、これ以上ゆっくりしているわけにもいかなかった。
「また来るよ。」と言いながら出ていく私を、彼女は庭先まで送って来た。人がいないのを確認して彼女にキスをすると、もう一度「また来るよ。」と言って、彼女に背を向けた。
 家に帰ると、妻に獲物のキスを差し出した。
「あらっ、酒臭いわね。あなた、お酒を飲んで来たの?」
「うん、帰りにばったり高校時代の同級生に会ってね、それで駅前の居酒屋で飲んで来たんだ。」
「連絡をくれればよかったのに。」
「ごめん、ごめん、懐かしさについ話に夢中になって電話をするのを忘れていたよ。」
 妻は、それ以上何も言わなかったが、私は急ぐように風呂場に向かった。湯に浸かりながら、今日の綾乃とのことを思い出していた。
 風呂から出ても、次はいつ会おうか、どのように愛そうかなどと、綾乃とのことばかり考えていた。
                    ―続く―






2021/08/26 18:56:50|小説「夜の釣り友」
夜の釣り友-13-
夜の釣り友-13-
 
 私は、綾乃の手を取ると、ソファに導いた。私も横に並んで座ると、キスからの愛撫を繰り返した。乳房に唇を這わせると、彼女はソファの背に背中をのけ反らせて喘いでいる。
「君が欲しい。」
私は、耳朶を軽く嚙むようにしながら囁いた。彼女は、返事こそしなかったが、決して拒んでいる様子ではなかった。
 私は、彼女の前に膝まづくと、ゆっくりと近付いて行って彼女の下着を脱がせた。白いワンピースがお腹のところだけに残っていて、それが余計に私の情欲をそそいだ。
 私は、ゆっくりと彼女に近付いてひとつになろうとした。彼女は、少し腰を引いた。それは初めての経験であることの証のように思えた。私は焦らなかった。自分の年齢が、抑制することに躊躇いをさせなかった。ゆっくりと秘部を愛撫しながら、彼女のそこが受け入れてくれるようになるのを待った。
 ひとつになったのは、10分もしたときだった。彼女は痛そうにしていたが、少しずつ進めて行った。ひとつになったとき、彼女はしっかりと私の背中を抱き締めていた。そのとき、私は弾けそうになった。それは、今までにない大きな快楽だった。しかし妊娠させてはいけないという理性が働いた。私は、彼女から離れると同時に弾けた。
 私達は、しばらく抱き合ったままでいた。
「綾乃さんはとても素敵だった。痛くなかった?」
「少し痛かったです。でも、苦痛ではありませんでした。」
「そう、それなら良かった。慣れると痛みは無くなり、気持ち良くなるんだよ。」
「わかるような気がします。」
「またしてくれる?」
「えゝ、お願いします。」
「シャワーを浴びない?一緒に。」
「はい。」
彼女は私の言葉に素直に従い、二人は裸のまま浴室に向かった。
                    ―続く―






2021/08/25 17:55:44|小説「夜の釣り友」
夜の釣り友-12-
夜の釣り友-12-
 
 私は立ち上がると、綾乃の方に歩いて行った。その間も、彼女も私の目を見続けていて、目と目が合ったままだった。私は、彼女の横に立つと、顔を両手で挟んで唇を近付けた。彼女が、目を閉じた。私は、彼女の唇に自分の唇を合わせた。
 彼女の唇は柔らかかった。ねっとりと私の唇に吸い付いて来るような柔らかさだった。私の情欲に火がついた。私は、舌を差し入れるようにして強く吸った。彼女も、私の舌に自分の舌を絡ませてきた。長いキスが続いた。
 私は、キスを続けながら、彼女の胸に手を持って行き、ワンピースの上から乳房に触れた。ワンピースを通して、彼女の乳房の柔らかさが伝わって来る。しかし、それが邪魔だと思った。私は、ワンピースの背中のジッパーを下げると、ブラジャーのフックを外した。そして手を彼女の胸に入れると、乳首に直接触れた。それは小さく可愛かった。男性を知らないものの乳首である。
 私は、彼女の上半身を脱がせると、その場で立膝になり、乳首を口に含んだ。彼女の口から、小さな喘ぎ声が漏れた。彼女は頭をのけぞらせるようにして悦びを表現していた。私は、もう一度キスをすると、額から頬、首筋にキスの雨を降らせた。手は優しく乳房を撫でていた。
 私は、彼女の手を取ると、私の股間に導いた。私の物は、十分にいきり立っている。彼女は、ちょっと驚いたようだったが、私の導くままに軽くズボンの上からそこを握るようにした。初めての経験のようだが、怖がったり、臆したりすることがなく、生来素直な性格のようだった。
 性に対しては、妙に恥ずかしがったり、臆したりする女がいるが、男にとってはいささか興ざめである。歓びは、素直に歓びとして表現する方がより良いセックスを楽しむことができる。そのためには、酒も重要な役割を果たす。少々恥ずかしがり屋でも、酒が助けてくれることが多いからである。
 そういう意味で、綾乃は容姿の美しさと併せて、性格も美しい女と言えた。私の欲望は、彼女の私の愛撫に対しての反応に、益々盛り上がっているようだった。
                    ―続く―






2021/08/24 19:06:12|小説「夜の釣り友」
夜の釣り友-11-
夜の釣り友-11-
 
 綾乃は、けっこう酒が強かった。ビールをグラスで立て続けに3杯飲んだが、平然としている。無論、私も弱い方ではない。しかし、さすがにビールの瓶が3本空いたときには、二人とも飲むペースが遅くなっていた。
 ビールの後、綾乃は私が持って行ったワインを開け、私には冷やした地元のお酒を出してくれた。このときから、ゆっくりとした会話の時間が始まった。
 私にしてみれば、綾乃の身の上が知りたかった。こんなところに一人で住んでいることも不思議だったし、どんな仕事をしているのかもはっきりわからなかった。釣りに行くのは土日が多かったので何か仕事をしているのだろうけど、それが何かは言わなかった。
 その話に触れようとすると、彼女は上手に話題をはぐらかした。私が知っているのは、彼女が最近大分から引っ越して来たことだけだった。それ以上に聞いて彼女の機嫌を損ねるのは怖かった。私は、彼女の身の上について聞くことはやめた。
 食事は楽しかった。料理は美味しいし、彼女はずっと快活で、会話の間笑顔を絶やさなかった。私の話す言葉に、ひとつひとつ相槌を打っていた。
 酔いとともに、彼女も私も饒舌になっていた。彼女も決して多弁な方ではないし、私もどっちかというと無口な方である。それを多弁にしているのは、酒の力とお互いが相手に対して好意を持っているからだと思った。
 彼女が私に好意を持っていなければ、家に呼ぶこともしないし、ましてやこうして一緒に飲んだりはしない。だから彼女が私に好意を持っていることについては疑う余地がない。
しかし、歳の差こそあれ、私達は男と女である。確かに私は彼女の父親以上の年齢であったが、男であることに変わりはない。彼女が、私を男として意識しているのか、あるいは単なる年寄りの釣り友達として意識しているのか、それがその時の私の一番の関心事だった。
お喋りをしながらも、酒は進んで行った。私は4合瓶が空きかけていたし、彼女もワインを半分ほど空けていた。
 話が途切れたとき、私は彼女の目を見詰めた。彼女も、じっと見つめ返して来た。そんな時間が長く続いたように思えたが、実際は数十秒だったのかも知れなかった。
                    ―続く―






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