男と女

「男と女」について、本当にあったことをエッセイに、夢や希望を小説にしてみました。 そして趣味の花の写真なども載せています。 何でもありのブログですが、良かったら覗いて行ってください。
 
2025/02/05 3:38:56|小説「妖精の歌」
妖精の歌−09−
妖精の歌−09−

 それから数日、私は仕事も手につかないくらいでした。仕事中もボーッしていて、部下から「どうかしましたか」と聞かれるほどでしたし、車で走っていてぶつかりそうになったこともありました。毎日家に帰れば美鈴にメールを書きました。ところが、今までだと何でも書けたのですが、会ってからは書く内容に困るようになりました。
 会いたい、と思う気持ちは募るばかりですが、それを書くのも何か心に咎めるような気がしましたし、好きだと繰り返し書くのもいかにも不自然なような気がするのです。美鈴のことを大好きであることには違いないのですが、好きになれがなるほど、上手に書きたい、うまく表現したいという気持ちが強くなります。すると途端にキーボードに向かう手が重くなってしまうのです。回数は増えるものの、メールの文章は短いものになっていました。
 一方、美鈴からも毎日のようにメールは届いていましたが、それは生き生きとした文章でした。日々の楽しかったこととか、保育園であったことなどが簡単であるけど素直な表現で、端的に書かれています。
 文章を書くにも、性格やその人の心の状態が大きく影響するようです。自分でも、美鈴に会う前の方が自分の気持ちを正直に表現できたように思います。
 美鈴と会ってから何度も、また会いたいと思いますが、そう休暇ばかり取っているわけにもいきませんし、休日もなかなか都合がつきません。結婚前の息子を持ち、家庭に荒波を立てるわけにもいきません。私にとって、じっとパソコンに向かって美鈴からのメールを読み、また美鈴にメールを書いているときだけが一番幸せな時間でした。
 しかし一ケ月もすると、会いたいと思う気持ちがどうしても強まり、いよいよ居ても立ってもいられない気持ちになります。ある日のメールの最後に、私はとうとう「どうしても、また会いたい。」と書き加えました。
 美鈴からもすぐに返事が来て、「今度の土曜日、講習会があって東京に出て行くから、そのときに会いましょう。」と言ってくれました。美鈴から希望を与えられた私に、再び明るい日々が戻って来ました。日々の行動が活発になり、ちょっとしたことでも笑顔でいられるようになりました。
 男が女を、あるいは女が男を好きになることは、本当に不思議なことです。普通、町で出会っても何の感情も持たない男女が、好きになったということで、相手のすることが気になり、会えないだけで胸が苦しくなってしまうのです。
 美鈴が出て来る日がやって来ました。昼間は講習があるので、美鈴と会えるのは夕方です。私は昔の仲間が出て来て宴会があるからと言って家を出、美鈴と会う約束の新宿に出掛けて行きました。
                ―続く―







2025/02/04 5:07:08|小説「妖精の歌」
妖精の歌−08−
妖精の歌−08−

 美鈴と私は、一緒にベッドに倒れ込んで、そのまましっかりと抱き合ってキスをしました。激しいキスとともに、私は手で乳房を撫で、全身を愛撫します。私の手が秘密の部分に到達したとき、美鈴は体をビクリと震わせました。
 それでも秘密の部分への愛撫を緩めないでいると、美鈴は次第に全身を硬直させていきます。
 しばらく続けていると、「アーーーッ!」という喘ぎとともに、美鈴は最初の絶頂に達していました。それからすぐに彼女の全身の力が抜けて、グッタリとしていました。キスを続けながらもしばらく休んで、私はもう一度愛撫を繰り返します。今度はゆっくりと美鈴が燃えていきます。頃合いをみて美鈴とひとつになろうと試みるのですが、美鈴のそこはまだ十分に開発されておらず、私の物をスムースに受け入れてくれません。私は焦らずゆっくりと美鈴の中に入って行くことにしました。
 ちょっと無理をすると痛そうなので、いったん引き、またゆっくりと入っていきます。美鈴の潤いを上手に利用しながら、やっとのことでひとつになったとき、私は既に最高の快感に昇っていました。
 私は、ゆっくり、ゆっくりと動いていきました。美鈴の部分は、私の物をきっちりと締め付けてくれています。それがどんなに大きな快感を私に与えてくれたことでしょう。私は、数分もしないうちに絶頂に達して、思わず自分の迸りを美鈴のお腹に放っていました。
 こんなことは、ここ数年来、否、数十年来ないことでした。妻との間のセックスは義理程度にはしていましたが、そこからは決してそんな大きな快感を得ることはありません。青年時代のような興奮を覚えたのは、本当に何年ぶりのことだったでしょう。
 しばらく休んで、もう一度二人は体を交えます。このとき、やっとゆっくりと美鈴を愛撫し、普通に時間をかけたセックスをすることができました。このまま泊まって行きたい、そう思いましたが、美鈴も私も明日は仕事です。二人はモーテルを出て、駅に向かいました。
 駅で美鈴の車を降りるとき、私は、美鈴に言いました。
「また、会いたい。」
美鈴は、黙ったまま頷いていました。
 見送りに来た美鈴は、ホームに立って私を見送りました。彼女は笑顔ながらも、別れを惜しむように目に泪を浮かべていました。
 帰りの新幹線の中、私は美鈴のことで頭がいっぱいでした。窓からの景色を眺めていましたが、何も記憶に残っていません。今までメールのやり取りだけの付き合いだったのですが、実際に会い、しかも体を交えた今、私はすっかり美鈴の虜になっていました。
               ―続く―







2025/02/03 4:46:05|小説「妖精の歌」
妖精の歌−07−
妖精の歌−07−

 モーテルのガレージに入れた車を降りると、私が美鈴の手を引いて部屋に向かいました。部屋に入ると、すぐに美鈴を抱きしめてキスをしました。遊園地での身体の触れ合いで、二人とも十分に気持ちは昂っていたのです・美鈴のキスは少しぎこちなかったのですが、私が上手にリードするとすぐに唇と唇がピッタリと合い、お互いに強く吸い合います。
 私が舌を差し入れて、美鈴の口の中を混ぜ、舌を絡ませるようにすると、美鈴の口から喘ぎ声が聞こえます。二人は、全身をピッタリとくっつけていました。
「さあ、まずシャワーを浴びよう。今日は、疲れただろう。」
 そう言うと、美鈴のブラウスのボタンを外します。美鈴は、キスのせいか、半ば意識を失ったように立ちつくしています。ゆっくりとボタンを外してブラウスを脱がせると、今度はジーンズのホックを外して下ろしていきます。
 ブラジャーとパンティーだけの姿の美鈴が目に入ると、そのまま裸にするのが勿体ないような気になり、もう一度抱きしめてキスをします。美鈴をすっかり裸にすると、自分も着ている物を脱ぎ、美鈴の手を引いて浴室に誘います。
 私は、先に入って、シャワーのお湯の温度を調節し、適温になってから美鈴をシャワーのところに来させて、お湯をかけます。肩から胸、背中へとお湯をかけていきます。美鈴は、少し恥ずかしそうにしながらも、私のなすがままにさせてくれていました。
私はシャワーの蛇口を壁にかけて石けんを取ると、美鈴を座らせ、タオルに塗って背中を流します。背中を強くゴシゴシと擦ると、美鈴は背中を伸ばすようにして気持ち良さそうにしています。美鈴が気持ち良さそうにしてくれていることで、私はますます元気良く背中を流します。
 一通り背中を流したところで、悪戯心が湧きます。石けんで泡だらけの手を前に回して、美鈴のふくよかな胸に触ります。美鈴は一瞬、私の両手を掴みましたが、すぐに力を緩めます。それに勇気を得たように、私はゆっくりと美鈴のちょっとボリュームがあってしかも形良い乳房を撫でていきます。そして乳首を指先で摘むようにすると、美鈴が頭を仰け反らせて「アー!」と声を出します。
 私は、彼女の声を封じるようにキスをします。私は美鈴の後ろからゆっくりと乳房を揉み、背中にキスの雨を降らせます。美鈴は、次第に強く感じ始めてくれます。私は、美鈴を自分の方に向かせると、もう一度唇にキスをします。物覚えのいい美鈴は、今度は上手に情熱的なキスを返してくれました。
 二人はしっかりと抱き合い、情熱の炎を燃やしていきます。私は美鈴を立たせて、タオルで体を拭くと、手を引いて浴室を出ます。浴室を出たところで、美鈴を抱き上げベッドに運びました。
                     ―続く―







2025/02/02 6:54:54|小説「妖精の歌」
妖精の歌−06−
妖精の歌−06−

「気持ち悪いわ。」
 幽霊屋敷の前で、思わず美鈴が私にしがみつきます。次のシーンでは、四谷怪談のお岩さんが井戸の中から出て来ているのですが、顔が怖いくらいでとてもリアルです。次のシーンでは、いろいろなお化けがいました。ろくろ首や、一つ目小僧、傘のお化けなどがたくさんいます。お化けもたくさんいると賑やかです。
 美鈴も、ちょっとホッとした様子です。次のシーンは荒れ果てた野原、人魂がふわふわと飛んでいます。奥の壁が開くと、そこからゆっくりと人形が出て来ます。やせ細って、青白い顔は焼けただれ、見るからに恐怖心を煽るような幽霊がこっちに近づいて来ます。美鈴が、怖そうに私に体を寄せます。
いよいよ近づいて来たとき、その人形が急に歩き出して美鈴に襲いかかりました。
「キャーーー!」
美鈴が、私にしがみつきます。実はそれは人形ではなく、本物の人間だったのです。
そのとき、美鈴の胸が私の腕に触れました。私は、彼女の身体がビクッと震えたのを敏感に感じ取っていました。
「ごめんなさい。」
あまりにびっくりした美鈴に、幽霊が謝っていました。
 幽霊屋敷を出た私達は、再び遊園地の中を歩いて行きます。ジェット・コースターやフリーフォール、幽霊屋敷などでお互いに恐怖感を体験した私達の心はすっかり近しいものになっていました。
 遊園地を出る頃には、太陽は富士山の陰に隠れていました。私は美鈴の車の助手席に乗っています。そのまま樹海の横を通り過ぎて南下して行きますが、私はこのまま帰ることに寂しさを感じます。
 遠くにモーテルの看板が見えたとき、美鈴の耳元で言いました。
「ねえ、あそこで休んでいかない?」
これは自分でも思っていない言葉でした。
 恐怖による緊張は、人の心を昂ぶらせます。普段なら素敵な美鈴にこんなことばを言う勇気はなかったでしょう。しかし、この時はごく自然に口から出たのです。
 美鈴は、ちょっと躊躇ったようでした。しかし、私の方を一瞥すると、「いいわ。」と言って、ハンドルをモーテルの方に切りました。
                ―続く―







2025/02/01 4:29:36|小説「妖精の歌」
妖精の歌−05−
妖精の歌−05−

「ねえ、あっちにフリー・フォールがあるわ。あれに乗ってみましょう。」
美鈴がまた楽しそうに言います。私は、すぐにと言われてもちょっと躊躇します。
「ねえ、何か食べてからにしようよ。」
「いいわ。」
 私達は、レストランに入ります。遊園地のレストランなので、大したものはありませんが、それでも十分に遊んでお腹が空いているのでおいしく感じます。美鈴も、私も、ハンバーグ・ライスに舌鼓を打ちます。
 食事が終わってから再び遊園地の中を歩いてフリーフォールに向かいますが、途中で私はアイスクリームを買います。
「ねえ、これを食べてからにしよう。」
ひとつを美鈴に渡します。二人は、手を繋いで歩きながら、アイスクリームを食べます。私にしてみればこんな形でアイスクリームを食べるのは何年振りでしょう。
 やがてフリーフォールの前に来ますが、また恐怖で胸が高鳴ります。すぐに座席に座れます。美鈴と並んで座り、安全ベルトを締めるとゆっくりと昇って行きます。高いところが嫌いな上に、そこからフリーフォールすると考えただけで、肝が縮み上がる思いです。
 段々高くなって下の景色が小さく見えるようになります。いつ急落下するかと思うだけで私は全身に力が入り、美鈴の手を強く握り締めていることにも気がつきませんでした。
 落ちる瞬間は、ほんの数秒なのでしょうが、私には長い地獄への坂道を落下しているように思えました。乗り物から降りても、しばらく胸が高鳴っていました。
 それからしばらくベンチに座って休憩です。
「美鈴さんは、高いところ平気なんだね。僕は、どうも苦手で・・・。」
「そうみたいね。私の手をしっかりと握っていたわ。」
「ごめんね。」
「いいの、三橋さんのそんなところが、好きだわ。」
「いやー、大の男が恥ずかしい。」
 しばらくお喋りをしていましたが、このときふと思い付いて私が言います。
「ねえ、あっちの方にお化け屋敷があったけど、行ってみない?」
「えっ、お化け屋敷?」
「幽霊屋敷だったかな?」
「私、そういうのは苦手だわ。」
「スリルがあって、おもしろいよ。行ってみよう。」
 今度は私が手を引いて行きますが、美鈴の方が、腰が引けています。入り口にから入って行くと、早速、お墓に蜘蛛の巣があって骸骨やら死体が転がっていました。
                ―続く―







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