カツマタクラス

 
2025/12/16 20:10:49|その他
閑話休題
ちょっと話題をテレビ番組に変えたい。先日、ベルトラツキという贋作家の特集がNHKであった。大変貧乏であった彼は、ある日有名画家の作品、特に作品の名前はあって誰も見たことのないものを描いて、それを妻に有名画家の作品としてクリスティーズというオークション会社に出し、売ってもらった。高値で売れたことに味をしめて、何十もの絵を売ってたいそうな金持ちになったという内容だった。ご丁寧にその当時だったら作りそうな有名画廊のスタンプを貼り付けて売ったという。
ほとんどの購入者が日本の企業・個人だったということで、憤懣(ふんまん いかりいきどおり)やるかたない買わされた側のキュレーター(美術館の美術管理担当者)とベルトラツキを対話させたが、本人は最後まで悪いと思っている様子はなかったという番組だった。
考えられないのは、オークション側の態度やヨーロッパの芸術家たちの態度である。それまで、贋作で数限りない煮え湯(にえゆ ふゆかいな思い)を飲まされてきた背景があるのかもしれないが、文化の継承者や創造者として何ともあわれな存在に思えた。もちろん、贋作者は芸術家の価値無しと思うが。僕の模写・制作物、すごいでしょと言いたいのなら、他人の署名など書くべきではない。「だます」つもりだったことは明白である。
だまされた、あるいはだますかたぼうを担いだのがオークション会社である。私もだまされた側ですというのなら、そんな会社のオークションに価値は見いだせない。はっきり本物かどうかわかりませんがと断って競売にかけるべきだったのだ。それをよくやったねという態度なのだから、やはり西欧は二枚舌の文化、略奪者の文化だとしか思えない。全部を二流とは言いたくないが、かなりの部分がそうだという前提で付き合うしかないのだろう。
贋作者には聞きたい。あなたは巧妙に作った偽札を価値あるものと思うのですか?その偽札をつかまされて、ある日突然、それ、偽札ですよと言われて、本来の価値を失わされても笑って僕バカでしたといえますか?
西欧の芸術は価値があると思い、そのオリジナル(本物)さに価値を認めたのに、偽物(偽札)を問題にしない文化文化は、やはり二級なのだろう。そして、こう言いたい。
あなたの作ったのは、本物を作った創造者への冒涜(ぼうとく 大変馬鹿にする)です。それがわからない者に、創作者や芸術家を名乗る資格はない。単なる詐欺師(さぎし だまして価値をうばうもの)である。いや、ゆがんだベルトラツキは社会を冒涜したかったのかもしれないが。
お金を筆頭にして、人間の社会は信用によって成り立っている。言葉を信じるしかないのだ。それを冒涜(ぼうとく けがす、馬鹿にする)ものを社会が許してはいけない。社会の口であり耳である存在がそれを示すことができなかった現在の「日本」が、実に情けない。