川越在の昔ばなし

急速な都市化の波に飲み込まれて変貌した、かつての川越御城下の在方の村に伝えられた、主に農民の古代から昭和戦後までの歴史、風習、生活の様子などについてまとめた。 旧村の人たちの間で今も使われている方言と、それによる昔話と小ばなしも翻案して収載した。
 
2017/10/31 20:40:02|・方言・だんべえ語辞典
「コズをうつ」の意味
 「教えてgoo」というサイトに質問を掲載したところ、「fine_dayさん」からご回答を2017/09/23付けで頂きました。
「同様の疑問に国立国会図書館が文献をあたって回答しようとしたのですが、語源も漢字でどう書くかもわからなかったそうです。 http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrde …生活の中で伝えられてきた言葉なのでしょうね。」

 上記のアドレスの資料によると、次のようなものでした。
「 質問 ― 赤飯を風味良くふっくらとさせるために、蒸し上がったもち米にささげのゆで汁をかけることを、吉見町の辺りでは「こずをかく」と言っている。この「こずをかく」という言葉の意味・語源・漢字ではどう書くかを知りたい。若い世代はあまり使わないようだ。」
「 回答 ― (埼玉県立久喜図書館 2008年05月15日)
語源・漢字での表記の仕方については、該当の記述は見つからなかった。
『日本国語大辞典 第2版 5』によると、〈こず〉とは「赤飯を蒸す際に途中でかける水のこと」であり、埼玉県北足立郡や東京都八王子で使われる方言とのことである。同様の記述は『日本方言大辞典 上』にも見られ、埼玉県北足立郡では「こずをうつ」とも使われる。
埼玉資料の『おらあほうの標準語 続』p33には、具体的な使用例として次の一文あり。「お婆さんよ、セエロのいきが揚がって来たようだから、ボツボツこずをかいたほうがよかんべよ。」

 このコズは現在も川越市の旧家の現在95歳の女性が使っていると言うことと、かつて千葉生まれで東京に住んでいた女性が使っていたと言うことがわかっていますが、それ以上はわかりません。なお、わたしの生まれた川越市西方の在村では、テミズ(手水?)と言っていました。







2017/10/16 14:30:00|・方言・だんべえ語辞典
ラジオ体操 だんべえ語版
 最近、ラジオ体操のご当地版が話題になってますね。そこで石巻の「おらほのラジオ体操」をはじめ、いくつかの地方版を聞いてみましたが、やっぱりその土地なりの方言でやると楽しそうだなと感じました。

 そこで、だんべえ語で自分で号令掛けながらやってみました。これってやみつきになりそうですけれど、今時、このあたりでは流行らないでしょうね。 (一部修正済み)

「腕ェめえから上ェ上げて、背ェ伸びのゥ運動ゥ」
   「いーち、にぃ、さーん、しぃ、ごお、ろーく、なーな、はーち」
「手足の運動―っ。手ェ振りながら足ィ曲げ伸ばしてーっ」
「腕ェグルグルまーすべーっ」
「足ィ横ィ出して、腕ェ横ィ振って、そん次ぎは斜め上ェでっかくーゥ上げて胸ェ反らすーっ」
「片手ェ上げながら横ィ曲げる運動」
「前下ィ曲げべーェ。やっこく、はずみィつけてェ。はんてえに起こして、後ろィそっくりけえってェ」
「手ェ振りながらねじる運動―ゥ、でっかく、でっかくゥ、腕ェ上へーっ上へ―っ」
「足ィ戻して、手ェ肩から上へ下へ、足ィ右へ左へ」
「斜め下ィ深く曲げて、まんめえで胸ェ反らすーゥ。はんてえっかあも曲げてェ、めえで胸ェ反らすーゥ」
「手ェ振って体ァまあすべェ。右ィぐるーってでっかくゥ、左もーっ」
「足―ィ戻して、両足跳びーィ。手と足ィ開いて閉じて、開いて閉じて」
「手足の運動ーゥ」
「深呼吸―っ。でっかく息ィ吸い込んで、吐き出すゥ」

「はい。おしめえ。おつかれさーん」







2017/09/30 20:18:00|・方言・だんべえ語辞典
「ノシテク」って何?
「さっき○○さんが、北の方へノシテッタな」
 ノスと言うのは広辞苑で調べるといくつか使い方があるけれど、これは載っていません。

 かつての埼玉県は入間地方を中心に台地上の畑が多いために麦の生産が全国一でした。そこで自家産の小麦粉を使ったうどんが、夏は細切りを茹でて冷し汁で、冬は幅広に切った生のままをおっきな鍋か鉄釜に投げ込んだヒボカァ(紐皮?)と、毎日のように食べられていた。粉を練ったのを3尺四方もある板の上で麺棒に巻いて薄くのばすのを「ノス」とか「ノシテ」と言った。同じようにつきたての餅を薄くのばすのも「ノス」という。
 最近のテレビドラマは面白いのがないと思ってたら、「確かにどんどん小さくなってきた。その気になれば堂々と伸(ノ)していく力があるのに、世界と勝負しようという気がないみたいだ」と、著名な脚本家が某新聞のコラムに書いていた。
 また、「あいつ悪い奴だからノシちゃえ」と言えば、「ぶん殴っちゃえ」と言うことになる。

 はじめの「ノシてった」と言うのは、自動車が普及してなかった昭和後期まで、急な用事が出来たときに、歩きや自転車で脇目も振らずに急いで行くのを見た人が言った言葉です。







2017/09/29 15:54:00|・方言・だんべえ語辞典
「コズをうつ」と「コゼエタ」って何?
 子どもの時から聞き慣れ、話し慣れた言葉を記録してきましたけれど、なぜそのように言うのか、どんな字を書くのかわからないものが多いのも事実です。
 先日も昔からのやり方で赤飯を作る90歳を過ぎた女性がいるという話から始まりました。私の子どもの頃も竈(カマド)に大きな鉄釜を乗せて薪を燃やして水が煮立つと、釜の上に餅米を入れた蒸籠(セイロ)を重ねて乗せて厚い板で出来た蓋を被せて蒸していました。蒸気が上がってくると蓋を開けて、セイロの中のササゲ豆を混ぜた餅米に、豆を煮た汁を手で振り掛けます。
 この煮汁を手で振り掛けるのを「コズをうつ」と言うのですけれど、「なんでコズというのか?」「どんな字を書くのか?」と聞かれたのですが、これにはわたしも困っています。
 (土佐(高知県)では「湿(シツ)をうつ」と言うらしいです。これなら炊いてる米に湿り気を与えるためとわかりますね)

 他にも、普通のご飯を炊く時にも昭和50年代頃までは、釜に洗った米と水を入れて竈に乗せ、薪を燃やして炊いていました。火の強さは、「はじめドンドン、中パッパ」と言って、つきっきりで燃やします。やがて釜と蓋の隙間から蒸気が噴き出して来ると火を弱め、蒸気が弱まってくるのを見極めて燃え残りの薪を竈から引っ張り出します。
 これが上手に出来ないと、生煮えというか、米粒に芯が残ったよなご飯になってしまいます。これを「コゼエタ」と言うのですけれど、音で聞き慣れてただけで意味も文字もわかりません。
 「古語の中にあるのじゃないか」と言われましたけれど、方言とか地域の言葉は毎日の生活の中にあるものですから、普通はそこまで調べて使ってるわけじゃありませんよね。







2017/09/27 19:15:00|・方言・だんべえ語辞典
だんべえ語の特徴
     カテゴリー内のあ〜わ行について増補更新しました。

   だんべえ語と、その現状
 川越御城下より西に二里半(約10km)の村で使われたものを中心に、周辺の同じ生活圏の村や町で使われた言葉を収載した。
「何々だろう」と言うところを、「だんべえ」と言う事からべえべえ言葉といわれた。
 旧村(先祖代々続いている家の多い地区)の人々も、昭和50年代頃から標準語を使うことが多くなり、地域内または旧村住民同士以外にほとんど常用されていない。急速な市街地化と生活の変化、主に東京都内や全国各地から移入した新住民の増加に影響されたと思われる。

 元々埼玉県は東京都と同じ武蔵国であり、太田道灌が江戸城を築城した時の町づくりに川越城下町の職人を動員した。城下町川越は上五ヶ町が商人町、下五ヶ町は職人町と分かれて、商人は丁寧な言葉、職人の鳶や棟梁たちは歯切れのよい言葉を使っていた。
 職人の言葉の粋で威勢のよいのを江戸人が真似て流行り、これが江戸ことばの「べらんめえ」になったといわれる。その後も江戸が川越の文化を真似たため、川越が小江戸とも江戸の母とも言われる由縁と言われる。
 べえべえ言葉は川越の近在の入間地域から、北の熊谷、西の秩父方面、南は東京の農村部から神奈川の北部・西部までだんべえ地域だったとされ、「べらんめえの江戸言葉」に近いが、「ひ」を「し」と発音することはない。
 なお一般的には「関東のべえべえ言葉」と言われているので「だんべえ語」という表現は著者の造語かもしれない。公開後も著者の幼少時の体験を思い出し次第 随時に増補更新を実施している。

    発音的特徴
@語尾に「べェ」が付く言葉が多い。どうしよう→どうすべェ。なんでしょう→あんだんべェ。そうでしょう→そうだんべェ。来ないでしょう→きなかんべェ。ちょっとだけ→ちっとんべェ。
A「来る」の否定を「こない」でなく「きねェ」、「見える」の否定を「見えない」でなく「めえねェ」と言う。
B助詞が消える。テニオハやヲヘなどが消えて、前語の母音が伸びる。
 西に行く→にしィいく。それはそうだ→そらァそうだ。車を停める→車ァ停める。そこへ行け→そけェ行け。
B動詞を荒々しく言う。へし折る→おっぺしょる。倒れる→ぶっくるけえる。
D言葉の一部が「っ」になる。嫌なことだ→やなこった。
C言葉の一部が「ん」になる。そうなの→そうなン。これだけ→こンだけ。
D母音のアイ(AI)がエエ(EE)に。具合→ぐェェ。財布→せェふ。芝居→しべェ。
G母音のアエ(AE)がエエ(EE)に。帰る→けえる。答え→こてえ。押さえる→おせえる。
H母音のアア(AA)がアァ(Aa)に。変わる→かァる。さわる→さァる。川越→かァごえ。
I「何」のナがアに。何だって→あんだって。何してんの→あにしてんの。
J「毎(マイ)」「前(マエ)」がメエに。毎日→めえんち、前庭→めえにわ。

   参考・その他の武州弁・埼玉弁の特徴比較
「関東のべえべえ言葉」と言っても生活圏により多少の違いがある。特に埼玉県は関東地方の中央部に位置する内陸県で、周辺地域と互いに影響しあってきたため方言も似通っている。
 県中央部・南部では江戸言葉に近い。県西部の秩父弁は甲州弁とも共通点を持ち、県内他地域と比べて古い言葉が残されている。県北部では群馬弁に近く、入間地域は多摩弁との関連が強いとされている。
 県中部・西部のアクセントは東京弁とほとんど同じだが、県東部では北足立郡、北埼玉郡東部、南埼玉郡・北葛飾郡全域、東京都東端部・千葉県北西端・群馬県東南端に及ぶ地域で、埼玉特殊アクセントといわれたが、いずれも近年は急速に共通語化が進んでいる。
「〜してくれ」を「〜してくんない」、「〜か」を「〜けぇ」、「〜だぞ」を「〜だど」と言うのは西部・南部地域。
「〜です」を「〜だいねぇ」、「〜じゃないか」を「〜だがねぇ」と言うのは北部地域で群馬弁と共通。
「〜じゃないか」を「〜だで」と言うのは、南部地域の表現で千葉弁と共通。
「〜してくれ」を「〜してくんろ・〜してくなんせェ」と言うのは、北部・東部地域。







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