川越在の昔ばなし

急速な都市化の波に飲み込まれて変貌した、かつての川越御城下の在方の村に伝えられた、主に農民の古代から昭和戦後までの歴史、風習、生活の様子などについてまとめた。 旧村の人たちの間で今も使われている方言と、それによる昔話と小ばなしも翻案して収載した。
 
大きな柿の木の話
 私の生れた家の前庭に大人でも抱えられないほどの大きな柿の木が立っています。裏庭にあった樹高は低くても根元が同じくらいのや、近所の農家にあった柿の木は、市街地化とともに切られてしまいましたが、大正15年に撮られた写真とほとんど変わりない枝ぶりで今も立っています。
 江戸時代から続く先祖が江戸末期か明治初めに植えたらしいと言われてましたが、はっきりわかっていません。
 毎年多くの実をつけても樹高がありすぎて、長い竹竿でも垂れ下がった枝の先っちょの実以外は取れませんでした。兄弟の多い中で私だけが、小学校高学年頃からよじ登って、先を2つに割った竹で挟んで取りました。甘くなったのを見て取るのが難しく、成長が進んで実が大きくなると、周りが渋くなる「しぶげえり(渋返り)」になります。
 この柿は「早生ニタリ」と伝えられていて、近在に同じものがなく、時々、「接ぎ木するから枝をくんな」といって、枝先をもらいに来る人がいましたけれど、なかなかうまくいかなかったそうです。
「昔は1本の木全部でいくらって言って、買いに来たもんだ」
 大正3年に村内から嫁に来た婆ちゃんが言ってました。

 日本の柿の種類は、三千種ともそれ以上とも言われますが、現在市場に出回っているのはわずか十種ほどという。ニタリ柿は今も柿の主産地の和歌山に、富有柿などまだない明治の頃からあったというが、木によって甘柿と渋柿があった。大正から昭和初めにかけてニタリの甘柿は、一荷十二貫の柿を担いで10〜20q前後の距離を売り歩いたという。(一荷とは天秤棒で荷物を前後に振分けて運ぶ量で、一貫は3、75sなので1人で45kgを肩に担いだ)その値段は一荷で金2円内外、白米3斗の価値(1斗は10升)があったと言いますからたいしたものです。
 柿は、「昨年は実がいっぱい生ったけど、今年は生らない」と、1年おきに「生り年(ナリドシ)」になるとよく言いますが、それは実をつけすぎると疲れてしまうから、翌年は生るのが少なくなるのだとか。よく、古い柿の木の幹に大きな傷があるのを見かけますが、これは「実の付きをよくするために鉈などの刃物でいじめた」のです。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」とい言いますが、「桜の枝を切ると花が咲かない。梅の枝を切らないと花付き(実つき)が悪くなる」というのと同じことで、昔の人の経験から出た言葉です。

 今は関越道のインターになっている何町歩かの広い雑木林の中にも柿の木があって、秋になると取って食べてみたけれどほとんど渋柿だった。鎮守様の参道の親指の頭くらいの豆柿は甘みも渋みも少ない不思議な味でした。
 そういえば、この鎮守様の裏参道に大きな山椒の木がずらっと生えていました。小学校の帰り道、大きな子に「これうまいんだぞ」と、言われて、同級生と2人で山椒の実を食べてみた。渋いというか辛いというか、口から唾がとめどなく流れ出て、家について井戸水を飲んで洗い流すまで止まらなかったのです。
 とはいえ、これも豊かな自然にあふれていた故郷の懐かしい思い出の一つなのです。市街化の進んだ現在の町並みの中では、到底味わうことのできない体験と言えます。
 秋になるとお店にたくさんの柿が並びますが、わたしは渋抜きした柔らかい柿は嫌いです。木で十分に甘みをつけた堅めの鶴っ子(筆柿)、百目、富有などが好きなのです。近年は夏の暑さが厳しい分、甘い柿が豊富に出回りそうで、今から楽しみです。







2017/09/21 19:28:38|・方言・だんべえ語辞典
だんべえ語・さ行 → 増補更新
【さ】 さァがしい(騒がしい)さァぎ(騒ぎ)さァる(触る)ざァる(竹笊)さある(触る)さァンねェ(触らない)さいなら(さようなら)さきおとてェ(三日前)さきっちょォ(@先端A先頭)さくい(気安い。付き合いやすい)ささぎ(豆のササゲ)ささらほォさら(ばらばら、めちゃめちゃの状態)さたァする(知らせる)さつま(サツマ芋)ざまあみろ(いい気味だ)さぶい(寒い)さるまた(猿股。パンツ)さんざっぱら(長い間)さんじゃく(子供用の兵児帯)さんだん(工面)さんねえ(されない。できない)さんまた(Y字形の道具)
【し】 しいな(未熟な米粒)しかめっつら(渋い顔)じき(間もなく)じくねる(愚図る)しけっぱた(湿気っぽい畑)じけつ(痔疾)ししゃれ(後ろへ下がれ)しじみっけえ(シジミ貝)したじ(醤油)しだす(何かをし始める)したべろ(舌)しちふり(格好だけでやらない様子)しちめんどくせェ(面倒だ)しちゃァンか(…しちゃうのか)しっちゃかめっちゃか(めちゃめちゃ)しっちゃぶく(引き破く)しっちょった(背負った)しっちらかす(散らかす)しっつァぶく(引き破く)しってンかい(知ってるかい)してェ(したい)してェん(したいの?)じでェ(@時代A土地代金)しとく(しておく)しとっぽい(湿っぽい)しどめ(野生のボケ)しなすば(中華そば)しなもン(品物)しなる(曲がる)しばやし(芝居の役者)しべェ(芝居)しむいろり(土間の囲炉裏)しめェ(お終い)しめえっこ(末っ子)しもごい(下肥。糞尿)…じゃァ(…では)しゃかん(左官職)じゃがたら(馬鈴薯)しゃくう(掬い取る)じゃけつ(セーター)しゃてェ(弟)じゃまっけェ(邪魔)しゃらくせェ(生意気だ)じゅゥくうゆうな(つべこべ言うな)しょお(塩)しょうぎ(小ざる。笊)じょォぐち(屋敷内の私道)しょうべェ(商売)しょっぺェ(塩辛い)じょうり(草履)しょんべん(小便)しりっぱしょり(尻端折り)しりゃあしねえ(知らない)しわんぼ(けち)しんめェ(新前。見習い)しんぺェ(心配)じんよう(土固め作業)
【す】 すいっちょ(馬追い虫)すいふろ(風呂)ずうてェ(体格。図体)すえェ(酢和え料理)すっからかん(一文なし)すがる(動物の交尾すぐる(選り分ける)すけてくんな(手伝ってくれ)すける(手伝う。手助け)すけねェ(少ない)すぐる(@良品を選び出すA木の剪定) すっからかん(一文無し)ずっこける(ずり落ちる)ずった(引きずった)すっぺェ(酸っぱい)すっぽーる(放り投げる。投げ捨てる)すべえか(しようか)ずねェ(特別大きい(デケエよりも))すまし(冷や汁)すりがね(火事が近い時の早鐘)するってえと(そうすると)すべえ(しよう。やろう)するン(するの?)すれっからし(世間ずれした人)すンど(…するぞ)すんなァ(…するのは)
【せ】 せえ(仕業)ぜえ(在方。村落)せェ。せェたけ(背丈)せど(家の裏)せどぐち(裏口)せともん(陶器)せどんち(裏の家)せな(兄)ぜね(銭。金)せまっくるしい(狭くて窮屈)せわあねえ(簡単なことだ)せわしねェ(慌しい)せんぜえもん(前栽物。野菜)せんの(以前の)せんみ(蝉)せんみつ(嘘つき)
【そ】 そうかァ(そうかい)ぞうさもねェ(た易いこと)そうすべェ(そうしよう)そうだいねェ(そうですね)そうなン(そうなのですか)そけェ(そこへ)そけェら(そこらあたり)そそらそっぺえ(いい加減なやり方)そのかし(その代わり)そらっぷいてる(知らんふり)そらっぺェこく(嘘をつく。騙す)それェ(それを)それっちんべえ(そんな少しだけ?)そんじゃぁ(それでは)ぞんぜェ(無礼な態度)そンだから(それだから)そんで(@そして。Aそれで)そンとき(その時)そンとけェ(そのところへ)







2017/09/21 19:26:05|・方言・だんべえ語辞典
だんべえ語・か行 → 増補更新
【か】 かァ?(買う?)かァとった(蚊を捕った)かァかみ(川上)かァくだり(川下り)かァごし(川越し)かァざれェ(川浚い)かァじも(川下)かァずな(川砂)かァぜェふ(皮財布)かあながれ(水死体)かァねェ(買わない)かァねェかい(食べないかい)かァばった(干からびた)かァむき(皮むき)かァら(@瓦。A川原)かァる(@代わる。A変わる)かァン(買うの?)かァンねェ(変らない)かィい(痒い)かいぶし(蚊除けに生草を火にくべる)かかあでんか(恐妻)かがみっちょォ(トカゲの一種)かぎィかァ(鍵を掛ける)かくし(服の隠し。ポケット)かくなす(隠す)かくねっこ(隠れんぼ遊び)かくねる(隠れる)かけえる(抱える)がしゃがしゃ(クツワ虫)かしゃァもち(柏餅)がしょうき(乱暴。荒っぽい人)がすりんかー(気動車)かせェで(急いで)かせる(虫に刺された。草にかぶれた)かせる(変な宗教などに染まる)かたす(片付ける)かつぎや(縁起担ぎ)かっきる(欠き切る)かっくらァ(掻き込み食い)かっこ(子供の駒下駄)かっこむ(@駆け込む。A掻き込む)かったりィ(疲れる。疲れた)かっぱく(掻き出す)かたっぽ(片方)かっぱらう(@大急ぎで走り去る。A盗む)かっぱらった(@走り逃げてきた。A盗んだ)かて(うどんの具)かてめし(具入り混ぜ御飯)かてェ(固い)かてェん(固いの?)かどっちょ(角)かなァねェ(かなわない)かまいたち(つむじ風に棲む架空動物)がまげえろ(蝦蟇)かまァねェ(かまわない)かみいい(髪結い)から(まるっきり。さっぱり)からかみ(襖)からっきし(まるっきり。全然)からっけつ(一文無し)かれェ(辛い)かんじょうする(数える)かんそう(干し芋)かんたんふく(ワンピース)かんのーち(寒の内)かんまァす(掻き回す)
【き】 きィきる(木を切る)きごや(薪小屋)きしゃご(おはじき)きそっぱ(紫蘇)きたねェ(@ずるいA汚い)きたン(来たの?)きたんべ(来たでしょう?)きちげェ(気違い)ぎっつ(バッタ虫)きてェだ(不思議だ。奇態)きてェん(来たいの?)きとくな人(感心な人)きなかった(来なかった)きなかんべェ(来ないでしょう)きなくせェ(きな臭い)きぬう(昨日)きぬうのよらァ(昨日の夜は)きねェ(来ない)きびしょう(急須)きびがわりい(気味が悪い)きもン(着物)きやあしねえ(来やしない)きゅうすなった(気絶した)きゅうそん(市や町で昔からの集落)きょォつける(気をつける)きらィる)来られる?)きるン(切るの?)きれえ(嫌い)きんぜェ(近在)
【く】 くいてェ(食べたい)くいてェん?(食べたいかい?)くいぶち(@食費。A杭打ち)くィる(掴まる)くィる?(くれる?)くゥ(食べます?)くゥべえ(食べよう)くゥン(食べるの?)ぐえェわりい(病気だ)くげんだ(体調が悪い)くさわけ(村の創始者)くず(燃料用の落葉)くずはき(落ち葉かき)くそ(糞)くそったれ(馬鹿野郎!)くそっぱじ(恥かき)くそんべえ(大きい蠅。糞の蠅)くだらねえ(つまらない)くちい(満腹だ)くちじゃァ(急須に茶の葉を継ぎ足す)くちべろ(舌)くっかく(齧り取る)くっちゃべる(おしゃべりする)くっつける(@取り付ける。A貼り付ける)くっつぶす(噛み潰す)くでえ(くどい言い方)ぐでなし(愚痴が多いろくでなし)くでにぶつ(三つ編みにする)くね(生垣)くねェゆう(垣根を結ぶ)くびっくくり(首吊り)くびったけ(異性に夢中)くびったま(首筋)くびねっこ(襟首)くべる(炉に薪を継ぎ足す)くらァ(来ます)くれえ(暗い)くれらあ(あげるよ)くわばら(桑畑)くんな(@頂戴。下さい。A来るな)くんねェ(呉れない)
【け】 けェきった(毛を切った)けェこや(蚕を飼う小屋)けえす(@返すA帰す)けェだす(水を掻き出す)けェど(屋敷前の公道)けェどう(街道。主要道路)げえぶん(外聞)けェぼり(小川をせき止める漁法)げェもねェ(くだらない。馬鹿らしい)けえらねェ(帰らない)けえる(帰る)けえるべェ。けえんべェ(帰ろう)けえるン(帰るの?)げえろ(蛙)けえんな(@帰りなA帰るな)けえんべえ(帰ろう)けちくせえ(けちん坊)けっつまずく(つまずく)けつっぺた(尻)けつめんどォ(尻穴)けっとばす(蹴り飛ばす)けば(毛)けぶ(煙)けぶってェ(煙い)げろ(嘔吐)げろっぱ(山草のギボウシ)けんむくじゃら(毛深い)けんも(毛虫)
 ※「けえど」と「けえどう」の差は町村道か現在の国道並かにある。因みに公道から家までの私道は「じょうぐち」。
【こ】 こォ(来い)こいた(@言ったA屁をした)こいだけ(これだけ)こィびしゃく(肥(糞尿)の柄杓)ごうぎ(立派なこと。豪華)こうこ(野菜の漬物。つけもん、とも言う)こうしゃくいう(説明したがる)こうもり(洋傘)こうるせェ(とてもうるさい)こうもり(洋傘)こいおけ(糞尿桶)こぎたねェ(とても汚い)こきゃァがった(言いやがった)こけェら(ここら辺)こごった(糸が絡んだ)こさ)木の枝が込みあった状態)こしかけ(椅子)こじょく(少食)ごしょォらく(暢気者。気楽者)こしれェ(身支度)こすい(ずるい)こすっかれェ(ずる賢い)こせえる(作る。拵える)こぜえた(生煮えになった)こそっぺェ(@愛想のない人。A物の滑りが悪い)こっきりしょうがつ(収穫終い休日)こっくり(幼児が頷くこと)こづけえ(@小遣い銭。A学校の用務員)ごっつぉう(ご馳走)こっぱ(木切れ)こっぴでェ(ひどいを強く言う)こてェさんねェ(得でたまらない。とても有難い)こどきょう(弱虫。小心者)こにくたらしい(とても憎い)こねェだ(この間)このせつァ(この頃は)こば(板の端)こまけェ(細かい)こまっちゃくれ(大人びた子供)ごまよごし(胡麻和え料理)こむずかしい(厄介。とても難しい)こめェかき(土壁の下地の竹格子)こらァ(これは)ごろごろさま(雷)こわい(食べ物が硬い。噛みきれない)こんくれェ(この位)こんこんさま(幼児語の狐)こんじょうわりい(意地が悪い)こんだァ(今度は)こンだけ(これだけ)こんめ(小梅)
 ※「ごっッォう」の発音は、文字では表記しにくい。
 ※ ごまよごし(胡麻和え料理)の類語=みそよごし(味噌和え)、すええ(酢和え)。







2017/09/21 19:25:38|・方言・だんべえ語辞典
だんべえ語・あ行 → 増補更新
【あ】 ああ?(ええ?)あァさんねェ(合わさらない)あァねェ(@人に逢わないA物が合わない)あいつ(彼)あいてェ(逢いたい)あおでェしょォ(青大将蛇)あかっこ(赤ん坊)あかねェ(開かない)あかっぱじ(恥)あがりこむ(寄り込む)あがりはな(座敷の上がり端)あかるんだ(果物が熟した)あかんべえ(嫌ァだよ)あきねェ(@商いA飽きない)あくてえ(悪態。悪口)あぐ(あご)あけねェ(開けない)あげもン(野菜のてんぷら)あさづくり(朝飯前の仕事)あさっぱら(朝方。早朝)あしいれ(婚前婚)あしたなさァ(明日の朝は)あしっつるし(アシナガバチ)あすく(あそこ)あすび(遊び)あすぶ(遊ぶ)あせもん(汗疹)あたりめえ(当たり前)あちい(@暑い。A熱い)あつぼってェ(厚い)あてずっぽ(いい加減な)あなっこ(穴)あに(何)あにかしたン(どうかしたの?)あにくわねェつら(何食わぬ顔)あにこく。あにこきゃがる(何を言う)あにゆってんだ(何を言う)あ〜ねえ(合わない)あばよ(さよなら)あばらっぽね(肋骨)あまげえろ(雨蛙)あめェ(甘い)あめっぷりしょうがつ(雨降りの農休日)あめんぼう(@氷のつらら。Aみずすまし虫)あらァ(あれは)あらかべ(土塗りだけの壁)あらなァ(藁縄)あらぬか(稲の籾殻)ありんどう(蟻)あるん(有るの?)あれっちんべぇ(あんな少しだけ)あんこ(餡)あんころもち(餡入り餅)あんしろ(何しろ)あんだ(何だ)あんだんべェ(@何でしょうA何だろう)あんちゅうこった(なんということだ)あんつうことを(何ということを)あんつうんだ(何て言うんだ)あんつっても(何といっても)あんで(何で)あんでもねェ(何でもない)あんとか(何とか)あんひたァ(あの人は)あんべえわりい(@体調が悪い。病気A都合が悪い)あんよ(幼児語の足)
【い】 いいあんべえ(ちょうどいい状態)いいあんべえです(挨拶。いい日ですね)いいかァ(良いかい)いいだんべえ(いいだろう)いいつぎ(回覧板代わりの口頭での伝達)いいつてェ(言い伝え。伝説)いかねェ(@行かない。A良くないこと)いきあった(途中で出会った)いきもん(生き物)いくべェ(行こう)いくん(行くの?)いけしゃァしゃァ(ずうずうしい態度)いけねェ(行けない)いける(野菜を保存のため土に埋める。ウンメルと同じ)いごく(動く)いごかねェ(動かない)いしあたま(わからずや。堅物)いしっころ(石)いせめェり(伊勢参り)いっかど(ひとかどの)いっかるか?(乗せられるか?)いっける(乗せる)いっこく(頑固者)いったンべェ(行ったろう)いっちょォれェ(余所行き着。晴れ着)いっちょめえ(一人前)いってんべェ(行ってみよう)いてェ(@痛いA居たい)いてェん(@痛いの?。A居たいの?)いどげェ(井戸さらい)いどころね(うたた寝)いぬっころ(犬)いねこき(稲の脱穀)いねぶり(居眠り)いぶい(煙い)いぶくせェ(煙ったい)いましがた(さっき)いまちっと(もう少し)いも(里芋)いら(とても沢山)いんぎん(隠元豆)
【う】 うすぎたねェ(@ひどく汚い。Aずるい人)うすっきびわりい(薄気味悪い)うすっくれェ(薄暗い)うすべってェ(薄くて平ら)うすべり(薄い畳。上敷き)うそっこき(嘘つき)うそっぺえ(嘘)うそべェこく(嘘ばかりつく)うたァうたァねえ(歌を歌わない)うたうてェ(歌の旅芸人)うちのもン(@家の人。A家の物)うっかく(割り欠く)うったまげた(びっくりした)うっちゃぁすれた(忘れた)うっちゃァる(捨てる)うっちんだ(死ぬ)うってくんな(買物で「下さい」)うっとォしィ(@うるさいA天気・陽気が悪い)うでっこき(力の限り。精一杯)うでる(茹でる)うなう(田畑を耕す)うるせェ(うるさい)うるぬき(野菜などの間引き)うれしがった(喜んだ)うわっつら(表面)うわっぱり(上着)うんこ(糞)うんだら柿(熟し過ぎた柿)うんと(沢山。イラと同じ)うンま(馬)うんまかねえ(@良くない。A旨くない)うんまける(水などをぶちまける)うんまのべろ(木蓮の花)うんめェ(旨い)うんめづけ(梅漬け)うんめる(@熱湯に水を入れるA土に埋める)
【え】 えェけェた(絵を描いた)えっかど(いっかど。ひとかど)えだ(粗朶。薪にする木の小枝)えっちゅゥ(褌)えばる(威張る)えぼげえろ(いぼ蛙)えれえ(偉い)えれえこった(大変)えれえもんだ(立派なものだ)えんがァ(縁側)えんこちゃする(幼児が座ること)えんでえ(縁台)えんぬした(縁の下)
【お】 おいし(祝事の小さい丸餅)お犬様(秩父三社のお使いの山犬。狼)おいねえこと(残念なこと。ご愁傷)おいばなし(放し飼い)おおごと(大変なこと)おおしいつく(蝉のツクツクボウシ)おかしい(@恥ずかしい。A面白い。B変だ)おかしいから、やだ(恥ずかしいから、嫌だ)おかちめんこ(みにくい顔)おかって(台所)おかぶ(陸稲)おがみや(祈祷師)おき(木を燃やした残り火)おきゃっこと(ままごと遊び)おくり(奥の方)おけェ(お粥)おけえし(お返し)おけら(@虫の蛹。A一文なし)おこさま(蚕)おこわ(赤飯。こわめし)おさァる(教わる)おさめえる。おせえる(押さえる)おせえる(教える)おしめ(おむつ)おしめェ(お終い)おしゃっつら(顔。面)おじや(雑炊)おせえ(おかず。副食)おせェなあ(遅いなあ)おせえる(@教える。A押さえる)おだあげてる(おしゃべりしてる)おたっッァん(間違った紐の結び方)おたまげェろ(蛙の子)おちゃおけ(お茶受け。間食)おちゃぞっぺェ(お茶菓子。漬物)おっかあ(お母さん)おっかく(折り欠く)おっかけとく(立てかけておく)おっかねェ(怖い)おっかぶせる(覆い被せる)おつけ(お汁。味噌汁)おっけえす(追い返す)おっことす(落とす)おっこぼす(こぼす)おっころばった(転んだ)おっそわけ(お裾分け)おったおす(押し倒す)おったてる(押し立てる)おったまげる(すごく驚く)おっちばる(縛る)おっちんだ(死んだ)おっつく(帳尻があう)おっつける(押しつける)おっつぶす(押しつぶす)おっとばす(追い払う)おっぱさむ(押し挟む)おっぱしる(急いで走る)おっぱじめる(始める)おっぱずす(外す)おっぱめる(無理にはめ込む)おっぴれェた(水が溢れた)おっぴろげる(勢いよく広げる)おっぷせる(押し伏せる)おっぷりまァす(振り回す)おっぷるく((埃を)ふるい落とす)おっぺしこむ(押し込む)おっぺしょる(へし折る)おっぺす(車などを押す)おっぽォる(放り出す)おっぽォりこむ(放り込む)おてしょう(小皿)おてんとさん(太陽。天道様)おとう(お父さん)おとうか(狐)おとてェ(一昨日)おなめ(舐め味噌)おにっぱ(犬歯)おにゃァそと、ふかァうち(節分の鬼は外、福は内)おはれェ(御祓い)おひきげェろ(ひき蛙)おひまち(部落の親睦宴会)おひる(昼食)おまじねェ(お呪い)おめェ(お前。あなた)おめェだす(思い出す)おめえり(お参り)おめェんち(あなたの家)おもいど(重いよ)おゆゥェい(お祝い)おらァ(私は)おらが。おらんち(私の家)おらがもん(私の家のもの)おらんほうじゃァ(私の方では)おれべえ(俺だけ。俺ばっかり)おんでる(自分から出る)おんぼろ(ひどく古いぼろ)おんまるめる(乱暴に丸める)
 ※「おたっッァん」と「おゆゥェい」の発音は、表記しにくい。







2017/09/05 14:11:00|・方言で伝える民話
27.オッポリ池 → (一部修正)
                              翻案・左向家白生
 むかしむかし、西の方から突然ノッシノッシって大男がやってきたんだと。入間川ァ越えて左足ィ小ヶ谷の田ン中に突いたとこで、右足ィ山に突っ張ってションベンしたんだと。
 途方もねえ大男だもんだからションベンの勢いもすごかったんで、その先のイコノベにゃァ底知れねえ池ができたんだと。この池はだれ言うとなくオッポリっつうようになったと。
 小便しながら大男の体が左へかしいだんで、深くのめり込んだ小ヶ谷の足跡ァ深―い池ンなって、この池もオッポリってゆっていた。
 軽くついた右の足跡は、低い山の元に浅い池が残ったけんど、清水がチョロチョロって湧き出したんで、清水の池って人は呼んでいた。そのあたりが大葦っつうようになったんは「大男の足跡」からなんだと。
 大男が両足ィついた小ヶ谷と大葦の間は2里半あって、池辺のオッポリ池はそのちょうど真ん中の東ッ側にあるから、大男は西の方からやって来て、東向きンなってションベンしたことになるんだと。

 そのションベンの溜まった池辺のオッポリ池は四百坪あって、そこいら一帯の田圃ォ潤していたけど、この節ァ地下水が下がっちまって大部分が草が生い繁っている。左足ィ突いた小ヶ谷の池は、堤防工事の時に埋めたてちまって、その跡にゃあ住宅が出来ちまった。
 大葦の池も下の方の田圃の役に立ってたけんど、これも水が涸れちまって、今はゴミ捨て場ンなってるみてえだ。

★標準語訳 川ァ越えて(川を越えて)左足ィ(左足を)ションベン(小便)イコノベ(池ノ辺)にゃァ(には)っつうように(と、言うように)かしいだんで(斜めになったので)ゆっていた(言っていた)けんど(けれど)っつうようになったんは(言うようになったのは)そこいら(そこら辺)この節ァ(最近は)跡にゃあ(跡には)けんど(けれど)なってるみてえだ(なっているようだ)
 * オッポリの意味については、意味不明のままである。(投げ捨てることをオッポゥルと言うのだが)
★解説 小ヶ谷、池辺は現在の川越市南西部の入間川東岸にある大字で、大葦は狭山市下奥富の小字らしい。
 全国各地にある巨人伝説の1つと思われ、本編の「3.鬼の石にかけた橋」(坂戸市)、「4.川に捨てた刺の橋」(川越市)に登場したダイダラボッチが富士山の方からやってきたときのことだろうと思われる。
 巨大な足跡が水の湧き出す池になって下流域の田圃を潤したということで、巨人に感謝することで旱魃にならないように祈ったのであろう。
 人間とは比べようもない位の大男と言うことだが、その何れもが悪者にされていないばかりか、国作りというのか農業国であった日本の古代からの人々に敬われていた話ばかりであるため、近在にまだ埋もれている話があるのではないかと興味は高まるのである。







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